一度入ったらクリアできるまで出られませんってよくあるよね
ダンジョン編です。
結構、理不尽に書くことが出来ればなぁと思っています。
次でようやく面白おかしくかけるはず
『ピー。条件クリアヲ確認。ゲートヲ開キマス』
馬皇たちが宿泊している旅館を流れる川の上流。滝の降り注ぐ裏にはロボットの見せてくれた地図にあるようにダンジョンの入り口があった。
馬皇たちが到着すると機械音声とともに今まで何もなかった空間に扉が出現する。
「条件を満たしたらこんなところに扉が出てくるんだな」
「そんなもんでしょ。それよりもこれは面白いわね。その先はもはや別世界って言っても間違いないわ」
「まじか」
真央がそう言うと馬皇は興味深そうに扉を見る。
「ちょろっと調べてみたけど私も知らないような技術で隠ぺいされてるわ。多分外からの力全部弾き返してるんでしょうね。魔法すら受け付けてくれないわ」
「そうなると入った瞬間に何が起こるか分からないな」
馬皇がどうするかで悩んでと唸っていると真央は馬皇に言った。
「無い頭で考えったってしょうがないんだからさっさと行くわよ」
「それもそうだな」
真央に言われて自分らしくないと馬皇開き直ると躊躇なく扉に入っていく。真央そして馬皇に続いてサライラ、それらについていくように由愛が入っていく。
「いやいやいや。なんでそんな躊躇いなくは言って行けるんすか? アニキ達って現在進行形で中学生っすよね‼」
あまりにもためらいなく入っていく馬皇たちと一緒に扉を抜けると勇次は思わずツッコミを入れる。普通に考えて何が有るのか分からないのだ。勇次が慎重になるのも当たり前である。
「大丈夫よ。入ったくらい死ぬわけないじゃない」
何を言っているんだと言うような表情をして真央が答える。馬皇もここは同意とばかりにうなづく。こういう時ばかりは仲のいい2人である。もっともかなりずれた答えを言ってはいるのだが。
「いやそう言う意味じゃなくって……」
「安心しなさい。それにどんな環境であっても生き残るための魔法があるからそう簡単に死にはしないわよ」
「……はぁ。そういうもんっすか。便利っすね魔法」
「そういうもんよ。ちなみにそんなの関係なしにどんな環境だろうが問題ないのはあいつだけよ」
「おう。すげえだろ」
「褒めてないわよ」
「ホント何もんなんすか? アニキたちは?」
勇次は何んでもない風に答える真央と馬皇に呆れたようにつぶやく。その後、馬皇たちは中に入って辺りを見回すとそこは真っ白で障害物どころか入ってきた入口以外何も存在しなかった。
「こうも白いとなんか目が痛くなってくるな」
「そうですね。正直何もない白い空間なんてふつう見ませんしね」
馬皇がこの部屋についての感想を述べると由愛が馬皇に同意する。
『ハロー‼ ようこそ‼ ダンジョン・難易度ナイトメアへ‼ 私ダンジョン案内役のパスタです』
唐突に明るい声と共に目の前から地図を渡したのロボットが現れた。その声とは裏腹に丁寧なしぐさでお辞儀をする。
「うおっ‼ 確かパスタだっけ?」
『覚えていてくださったんですね‼ どうもありがとうございます‼ 馬皇様』
「すげぇな。最近のロボットは……」
人間と変わりない流暢な話し方に馬皇は素直に驚き小さくつぶやく。真央たちもいきなりの登場で思考停止に陥っておりそのままでは話が進まないため馬皇は最初に話しかけた。
「それでだ……。このダンジョンではどんなことをするんだ?」
馬皇の質問に明るく流暢な言葉でパスタは答える。
『よくぞ聞いてくださいました‼ それは簡単です‼ 私が案内いたしますので勝負またはお題を出します。それをクリアしてください。そして、全員が1勝ずつできればクリアとなり皆様には景品をお渡しします』
「何度でも挑戦できるの?」
次に真央がパスタに質問する。
『はい‼ ただし、最後でない限り連続で挑戦はできませんし一度クリアしてしまうと再度挑戦することはできません。そして、何よりもここに入ってきた以上はクリアできるまで帰れません』
「なに‼ それじゃあ、大会とかはどうなるんだ‼」
慌てて馬皇はパスタに聞いた。
『それについては問題ありません。外の時間とは断絶していますからこちらでどれだけ遊んでいただいても大丈夫ですよ‼ ヤッタネ』
大会のことを気にしなくてもいいということに馬皇は安堵の息を吐く。
『ただし、負けた場合やリタイアの場合は罰ゲームがありますよ』
表情は変わることはないが何かを含んだような言い方をするパスタに一同の動きは凍る。
『やだなぁ。どんなことがあっても死にはしませんよ。死にはね。そして、このゲームは全員が勝ちを拾うか私が飽きるまで止めることも出ることもできません。もちろん絶対にクリアできないとかの意地の悪いことはいたしませんよ。それでは意味がありませんから。クリアした暁には皆様の分の景品をお渡しいたしましょう』
パスタの言葉に馬皇たちは一度集まり円を形作る様にして話を始める。
「ちなみに他に何か聞か聞かないといけないと思うんだ何かないか? 食料とかは?」
「私は少しくらいしか持ってきてないわ」
「私もお菓子くらいしか……」
「俺もっす」
「ねぇ? お人形さん。食料とか水に関してはどうなの?」
「「「サライラ(さん)‼」」」
ひそひそとして話しているとサライラは聞いていたことを堂々と聞いていた。
『ご心配なく。このダンジョンに関してのみ、おっしゃっていただければいつでも用意させていただけます。ちなみに早めに頑張らないと廃人になるまでずっと出ることが出来ませんよ』
パスタの表情は変わっていないがにたりと笑っていたような気がした。
パスタの言葉に馬皇たちはようやくこのダンジョンのえげつなさに思い至る。いくら出るまで時間が経たないとは言ってもクリアするまで出られないのだ。下手をすると肉体的には死なないが精神的には死んでしまうだろう。しかも、ルールがあるというのがまた厄介である。
『ちなみに入ってきた時点でやらないという権利はありません』
どうしてもやらないとダメだと言っているパスタに馬皇たちはうなづいた。
「なら、最初は俺が行こう」
そう言って馬皇が先陣を切った。
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