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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第一章 魔王たちは出会う
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幕間 少し前

我慢対決の少し前の時間です。ちょっとシリアスはいります。

 いつもの放課後の前のHRの時間。このクラスの担任の先生の話で真剣な表情で話を切り出す所が話の最初であった。


「最近、この近辺での行方不明の人が増えています。その中にはウチの生徒たちは含まれていませんが絶対に一人で帰らないように。だから当分部活もなしです。私たち先生も防犯のためいろいろ見回ります。なるべく早めに帰るようにしてください。そして危ない状況なら必ず近くの人にと助けを求めるように」


 そう担任は言いうといつものように放課後のチャイムが鳴る。だが、心配性なのか教壇に手をついて、念を入れるようにもう一度言った。


「本当に気をつけろよ。物騒だからな。日直、挨拶」


 日直の女子生徒は号令をかける。


「きりーつ、気を付け、礼、ありがとうございました」

「ああ、さよなら」


 そう言って先生は生徒たちに挨拶するとそのまま職員室に向かって行った。馬皇はいつものメンバーを誘って帰ろうとまずいつもつるんでいる友人たちと合流した。いつものようにのんびりと挨拶をして1通り喋った後、友人の中の1人であり、このメンバーのリーダーであるノリの軽そうな男、田中洋介(たなかようすけ)は言った。


「じゃあ、今から帰るか。ついでに何か買って帰ろうぜ」


 洋介がそう言うと「あー、そうだな」とか「そうすっかぁ」とか各々の返事をする。馬皇はその中で1人だけ違う返事をした。


「すまん。これから用事があるんだ。先帰っててくれ」


 馬皇は用事があるのか今回も買い食いしに行くことを断った。最近の付き合いの悪さに呆れたように洋介は言った。


「またか、近付き合い悪ぃな。昨日もそうだったろ」


 不良然としている口調だが、基本的に優しい佐藤幸太郎(さとうこうたろう)が言った。


「悪いな。少しばかり戦ってるんだ。あいつにだけは勝ちたいんだ」


 聞いている感じだと、馬皇がアプローチをかけていることだろうと勝手に想像した。クラスで馬皇と真央が屋上に行っていたことおそらく告白でもしたのだろうと勝手に広がった。完全に誤解であるが。学校で。それも1つのクラスで話を広がるのは早いのである。


「何してるか知らないが、真田さんとはうまくいってるのか?」


 洋介は馬皇と真央の関係を聞いた。周りも興味あるのか聞き耳を立てている。


「バカ野郎‼ なんでそうなる‼」


 明らかに憤慨した感じで馬皇は言う。馬皇は本気で嫌そうな顔をするが気恥ずかしいのだろうと周りはそう判断して馬皇の反応に他の奴らもニヤニヤし始める。


「ほうほう」

「それは、詳しく教えてほしいな」


 しばらくからかっていると、馬皇は居心地が悪いのか突然背を向けて屋上に向かう階段を上り始めた。


「……じゃあな」


 連れない態度で振り返らずに片手を振ってこの場を去る馬皇。


「おう、成功したら報告しろよ~」


 と洋介が言うと


「だから違うって言ってんだろ‼」


 馬皇はとっさに振り返り大声で返した。その後に動揺していたのか何かが落ちるような音がした。馬皇が踏み外したのだろう。また、階段を上がる音が聞こえてきたのでおそらく無事だろうと洋介たちは判断する。


「大丈夫か? あいつ。それにしても魔王コンビ仲良いのな」


 魔王コンビとは馬皇と真央のことである。どちらもまおうという名前であるからだ。ちなみに真央のそういった情報は馬皇の情報と交換で女子の真央を知っているグループから聞いた話で二人とも魔王を名乗ってんだから魔王コンビだね。というところからこの名前が最近広がった。


 知らぬは本人ばかりであるが。


「ああ。告白でも成功したんかね」


 さっきまで喋っていなかった角松小太郎(かどまつこたろう)がそんなこと言う。


「いや、どうにも屋上には真田さんだけでなく山田さんも一緒に居るらしい」


 洋介が言うと幸太郎は洋介の説明に補足を入れた。変わった3人組に何をしているのか気になり始めるメンバーたち。


「しかも、屋上から飛び降りた馬皇が山田さんを屋上に連れってたらしいぜ」

 

 屋上から飛び降りるという明らかに非常識な行動を起こしたことを幸助は言ったのだが、悲しきかな思春期真っ只中。そんな行動よりも同じクラスの女子である山田さんを連れて行ったということの方が洋介と小太郎は重要だったようだ。


「まじかよ」


 洋介はうらやましそうに屋上の方を向いた。


「うらやましいな。それにしてもあいつたまにすげえコトするよな」


 小太郎は無表情で洋介と同じように屋上の方を見る。


「で? 本音は?」


 幸太郎はおなじ思考をしているであろう2人に聞いてみる。


「むしろ恨めしい」

「許すまじ」

「何であいつだけ」

「ゆ・る・す・ま・じ」


 低い声を出して今にも呪詛であいつを殺せたらという視線で屋上を見た。単純に小太郎が先に行ってそれに続く形で洋介が言う。洋介に関しては同じことを2回言っているのは感情があふれているからか。


「お前らもいろいろ大概アレだよな」


 幸太郎は呆れながらもこのゆかいな仲間たちと学校を後にした。


 その翌日、洋介たちを含む20人近くの生徒が一斉に行方不明になる事も知らずに。

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