本戦第2回戦 真央VS鉄 その2 決着
更新です。
少しだけ編集しました。
遅くなったうえに短いですが楽しんでもらえればと思います。
「それじゃ、鉄先生耐えて見せてね?」
「おう。かかってこい」
「黒太陽‼」
真央がそう告げるとばら撒いた魔法陣たちが地上をめぐる星たちのように動き始める。それは徐々に速度を増していき、やがて鉄の頭上でバラバラだった魔法陣は平面ではなく球体の器のような大きな別の魔法陣へと変貌する。ありとあらゆる真央が創りだすことのできる属性がある一点にある魔法陣に放たれ続ける。
その魔法陣に集まった魔法たちはある時は混ざり合い、ある時は反発してその時に生まれたエネルギーさえも取り込み小さく黒い光が生まれる。そしてまた大きくなっていく。やがてそれは魔法陣を真っ黒に染め上げ真上のはるか上空に今いる建物と同程度の大きさまで膨れ上がる。
その姿はまさしく黒い色をした小さな太陽のようであった。
真央が転生してから作り出した魔法の1つである。あらゆる魔法同士をぶつけて生まれたエネルギーを魔法陣で創りだした場にとどめて反射、増幅を繰り返すことで本来は爆発的な威力の魔法となるはずだった物である。
しかし、偶然か必然か。ある順序の時に全く別の反応が生まれたのが始めりである。真央も解析してはいるがそれがどんなものであるか分からない。真央は試すために一度指先ぐらいの最小の塊を身の丈ほどもある岩の塊に放ったことがある。それが岩に触れた瞬間、黒い塊は一瞬で岩を飲み込み跡形もなく消し飛ばしたのだ。真央はこれを見て自分で作り出した物であるが禁術レベルで扱いの難しい魔法であるを確信した。同時に使いこなすことが出来たら切り札になるとも。真央は他の方法でもできないかとたくさんの組み合わせをしてみたが結局最初に見つけた1通りしかこの形にならなかった物である。
真央の創りだした黒い塊はレーザーのように鉄に向かって放出される。
さすがにそれを貰ったらまずいと分かっているのか鉄も警戒していつもより大きい動作で余裕を持って躱していく。レーザーが地面に触れるとクレーターが生成される。鉄の読みは正しく最小限で避けていたら間違いなく巻き込まれていただろう。
「……」
真央は制御にいっぱいいっぱいなのか無言でどんどんと鉄の方に向けて放っていく。その波状攻撃を鉄は異能と持ち前の身体能力と勘で真央の攻撃をかわし距離を詰める。そして、真央の近くまで行くと鉄は真央に拳を突きだした。
「もらった‼」
「それはどうかしら?」
「なにっ‼」
鉄の拳は真央の身体を突き抜けた。そこには何の感触も存在していなかった。まるで何もない所を殴ったかのように。真央の幻影ごと拳にレーザーが放たれた。とっさに鉄は体を動かして致命傷だけは避ける。その時に突きだしたひじから先が当たり焼けた爛れる。
「‼ 少し油断したか‼」
鉄は跳んで距離を離す。その最中でも鉄は回復に集中する。
「……はぁはぁはぁ」
真央も黒い太陽と併用して幻影の魔法を使用していたため大きく消耗したのか真央の幻影は肩で息をしながら少しの間だけ隙が生まれる。
「ふんっ‼」
その若干のインターバルの間に鉄は気合の入った掛け声と共になんと右腕を再生させる。
「っ‼ 苦労して削ったのを一瞬で再生とか……どんだけ規格外なの‼ ってか‼ 反則レベルじゃない‼」
その出来事に真央は思わず鉄にツッコミを入れる。肩で息をする程度ならば誤魔化せていただろうが真央の大声によって鉄は察知したのだ。
「ヤバッ‼」
「その手の隙はあまり関心せんぞ‼ 隙ありだ‼」
「残念‼ それも偽物よ‼」
「甘いな‼ 幻影は破らせてもらうぞ‼」
声自体も幻影に乗せて鉄を騙した真央。しかし、そのことも予想していたのか鉄は真央に止めを刺すために空ぶった拳をそのままリングに叩きつける。
「‼」
地面が大きく揺れる。それに合わせて真央が使っていた幻影たちが一斉に姿を消す。
何故幻影は姿を消したのか。それは黒太陽と幻影を併用していたためである。本来あの魔法は真央をもってしてもかなりの集中力を使って制御し続けているものである。制御を放棄するとたちまち大爆発を起こすか一瞬で消え去ってしまうのである。そして、更に幻影の制御である。
そのような集中的に制御をこなしている状態に予期しないような事態が起きるとたちまちに真央の演算能力が容量を超えてしまうのである。
「そこにいたか」
動くことのできない真央をすぐさま見つけ高速で向かってくる。真央は体勢を立て直して慌てて対処しようとするが先程の揺れによって躱すどころか体を大きく動かすことが出来ない。そして、鉄の一撃は真央のとっさの強化魔法の上からダメージを与えた。
鉄は確かな手ごたえを感じると真央はその場で動かなくなった。そして、真央の持つ身代わりの宝珠が砕け真央はリングの外へ転移され勝者の鉄のネームが映し出される。
『き、決まった~‼ テツ選手の勝利だぁぁぁぁぁぁ‼ 』
「「「うおぉぉぉぉぉ‼」」」
リンの判定の声と共に会場は湧き上がる。
『魔王選手もいいところまで来ましたがさすがは歴戦の王者‼ 驚異の再生力と身体能力でコマを進めた~‼』
鉄は連れてきた真央を案じながらも会場へのアピールを忘れない。やられた真央は悔しそうな顔をしながらも鉄を眺める。こうして、鉄と真央の戦いは鉄の勝利という形で決着がついたのだった。
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