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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第三章 海だ‼ 孤島だ‼ 異能者だ‼ 前編
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本戦第1回戦(最終) 真央対モブ一号

第1回戦の最終戦です。

楽しく読んでいただければと思います。

 本戦第1回戦も順調に進んでいきいよいよ1回戦も最後。とうとう真央の番がやってきた。


『さぁ、いよいよラストだ~‼ ラストを飾るのはこの選手たち‼ まずは予選を歌うだけで突破した魔王選手~‼ って名前物騒‼』


 リンの至極まっとうな指摘にクマは体を震わせていた。どこがツボだったのかは分からないが笑いをこらえているようだった。


【名前については選手の自由ですからね……】

『そんなこと分かってますよ~‼ それよりも解説が少ないとディレクターの人が言っているんですが大丈夫なんですか?』


 リンの指摘にギクリとでも音が付きそうなリアクションをクマは見せる。


【そ、それは申し訳ありません。私も解説しないといけないとは分かっているんですが何分こうやって映像に流れるのには慣れてないわけでして……】


 と中継越しからは全く見えないような小さな字で長々とクマは文章を書いていた。リンはあの文章を読み取り苦笑する。


『まぁ、そんなことはどうでもいいとして‼』

【そ、そうですよね‼ どうでもいいですよね‼】

『……』

【……あの? 何ですか?】

『はぁ……』


 ジト目でクマを見ていたリンはクマとお互いに見つめ合うとおもむろに溜息を吐く。リンは自分の顔を軽く2回ほど叩いて気持ちを切り替える。


『それはさておき、お相手の紹介だ~‼ 相手の選手の名前は……えっと……なになに? モブ1号? 選手? あれ? こんな選手いましたっけ?』


【忘れないで下さいよ。いましたよ。モヒカン集団の1人ですよ。ほとんどが同じブロックでしたけど1人だけブロックが違ったので勝ち抜いたようです】

『あ~……。そんなのいましたね……』


 モヒカン集団の1人と言われてリンはげんなりとした。どこの世紀末の住人だと言わんばかりにモヒカンに革ジャン、ジーンズの集団である。彼らは炎系の異能者で筒状の物から炎を出すことにこだわっている。ようは火炎放射器の真似である。


『それじゃあ、選手たちの入場だ~‼』


 リンは選手たちに入場の合図を出すと真央とモヒカンが入ってくる。真央の方には予選の歌が気に入ったのかもう一回聴かせててくれと言うような歓声が響く。


 一方で反対側の席ではモヒカンとスキンヘッドの集団のリーダーらしき男がぶっ殺せとばかりに首を掻き切るポーズを取る。そのリーダーは予選で真央の歌に一番最初にやられた男である。その取り巻きたちは殺せコールを鳴らす。


『なんとも異様な組み合わせです……。これ、負けた後に大暴れとかないですよね?』


 血の気の多そうな集団にリンは心配していることを口に出す。


【こればっかりは信じておきましょう。駄目そうだったら鎮圧用の舞台に頑張ってもらうしかありませんね】


 半ば暴走することがあり得るというクマの言葉にリンは体を震わせる。


『モヒカンの人たち‼ 絶対に暴れないでくださいね‼』


 リンは念を押すが聞こえているのか聞こえていないのか相手の反応は無い。そこにリンは不安を覚えるがそうこうしている内に真央とモヒカンの男はリングに入り戦闘の準備は完了する。


『ううぅ~‼ もうどうにでもなれ~‼ スタート‼』

「ふひひひひ‼ 良い女だな‼ 勝利した後にたっぷり可愛がってやんよ」


 開始と同時にモヒカンの男は下品な笑いを上げて喋る。足音から下半身、胸、上半身、顔といった順でなめまわすように真央を見る。


「まったく……。そんな下品な目で私を見ないでくれるかしら。気持ち悪い」


 真央は汚物を見るような目でモヒカン男に対峙する。


「へっ‼ そんなこといていられるのも今の内だけだぜぇ‼」


 そう言って真央の方へ走っていく。モヒカンの男はこの後真央をおいしくいただく予定なのか手足を焼くことから始めようとする。


「はぁ……。来なさい」


 真央は肩をすくめると目の前の魔法陣から炎そのものが飛び出し迫りくる炎を全て吸収した。そのまま鳥の形になって真央の周りを飛び回る。


「なぁ‼」


 異能が吸収されたことに驚くがモヒカンの男も負けていない。そのまま真央に突っ込んで真央に一撃を加えようと火炎放射器の筒で真央を殴りこもうとする。


「燃やしなさい」


 真央の一言に炎の鳥はモヒカンの髪と火炎放射器を燃やして溶かす。


「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁ‼」


 武器である火炎放射器自体も一瞬で溶かされその鉄の熱に手が焼かれる。炎系の異能を持っていると自然と炎に対して抵抗力を持っているがそれを超える熱量にモヒカンは転がりまわって火を消そうとする。


「髪については二度と生えてこないように燃やし尽くしてちょうだい」


 真央の命令に鳥は頷くと髪の燃える速度は上がり転げまわる速度が上がり髪は燃え尽きたと同時にモヒカンのもといやけど跡しかない焼野原の頭の男は動かなくなる。そして、身代わりの宝珠が作用して壊れた。


『勝者‼ 魔王選手~‼ これはまた、早く決着がつきました‼』

【これはまた……。珍しいですね。召喚ですか】

『きれいな炎の鳥ですね』

【そうですね。それに、かなり大きいですね】


 真央を覆うだけの大きさがあるのだ。小さいわけがないのは当然である。リンの判定に会場は沸く。それとは対照的に反対側のリーダーらしき男が苛立ちのあまり自分の得物である棍棒で地面を思い切りたたく。その衝撃音に驚きわきあがってた観客たちは驚いて喋れれなくなる。


「よくもやってくれやがったな。俺に恥をかかせやがって‼ 大会なんぞ知ったことかっ‼皆殺しにしてやる‼」


 宣言と同時に取り巻きのモヒカンたちも会場で暴れまわり始める。


『ちょっと‼ ルールぐらいは守りなさいよ‼』

「うるせぇ‼」


 モヒカンリーダーは石を複数持って解説の席に向かって思い切り投げる。それはすさまじい速度で他の観客席すらを貫通してリンの元へまっすぐと向かって行く。


『きゃあぁぁぁぁ‼』


 リンは思わず目を瞑り体をかがめる。しかし、衝撃はいつまでたってもやってこずにリンはそっと目を開ける。目の前にはクマが立っている。


『え?  クマさん?』


 盾になってくれようとしたクマにリンは名前を呼ぶ。クマはスケッチブックに新しく文章を書く。


【危なかったのですね。大丈夫ですか?】


 クマの一言にリンはうなずく。クマは心配そうに他の石が飛んで行った方を見る。そう言ってクマの視線の先を見るとリンと同じように当たりそうになり目を瞑っている由愛の前で飛んできた石を馬皇が掴んでいた。


「あぶねぇな。こいつに当たったらどうするつもりだったんだよ」


 試合を終えた後由愛と一緒に見ていた馬皇が大声でモヒカンリーダーに文句を言う。他の異能者たちも同意見なのか静かにうなずいた。幸いにして全員が恐怖で低く屈んでいたことと他の異能者たちも馬皇同様に異能や素手を使って石が当たらないように守っていた。


「はっ‼ 知ったこっちゃねぇな‼ 俺がルールだ‼」

「そうか……。なら、そのまま眠ってろ」

「なっ‼」


 いつの間にか馬皇はリーダーの後ろに現れ殴る。いきなり真後ろに現れた馬皇に驚愕しなすすべもなく倒れる。唐突な出来事に取り巻きのモヒカンたちは一瞬動きを止める。


「隙ありっす」


 勇次や他の異能者たちもチャンスとばかりにモヒカンたちを捕縛もしくは気絶させていく。


 種明かしをするとこれは真央の転移魔法である。ちらりと馬皇が真央の方を見て真央が理解したのである。こう言う時には完全にかみ合っているところを見ると相性自体は悪くないがケンカも絶えない2人なので愛称は良くもないとも言える。


「何とかなったな」

「そうっすね」

「まったくよ」


 馬皇の呟きに勇次と真央も同意した。そうこうしている内に鉄たち大人が先導してモヒカンたちをまとめる作業に入る。こうして完全になすすべもなくモヒカンたちは全員捕まり波乱の1回戦は無事に終了したのだった。

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