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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第三章 海だ‼ 孤島だ‼ 異能者だ‼ 前編
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本戦第1回戦 鉄対ゆず胡椒

先生であり前回の優勝者である鉄の試合です。

鉄は主人公の本戦における大きな敵となる予定です。



 対戦の組み合わせの日の翌日。闘技大会本戦初日。昨日と同じ会場のはずなのに中には大きなリングが出来ていた。予選ではバトルロワイヤルのため映像からでしか見ることが出来なかったが本戦では1対1だからである。リングも頑丈に設計されているがそれよりも交換がしやすいように大きなパネルが敷き詰められている。よほどのことが無ければ壊れることはないが異能者たちが全力で戦うことが出来るようにするための配慮である。


 何よりも周りの観客に被害及ばないように結界が四方に張られている。その結界は理論上は異能者が複数で同時に攻撃しても壊れない頑丈さを有している。そして何よりも少しずつ違う性質の結界を多重に展開することで強度を高めるという高度な結界まで使用する自重を知らない異能者たちが作り上げた傑作のひとつである。


 その会場を眺める形で本戦が今始まろうとしていた。


『みなさん‼ 長らくお待たせしました‼ 楽しみにしていましたか? 私は楽しみでしたよ‼ いよいよ闘技大会の本戦が始まりますよ~‼』

【始まりますよ~‼】

『『『うおおおぉぉぉぉぉ‼』』』


 予選の時と同様に司会と実況と務めるリンと一向に喋る気配のないクマの着ぐるみを着た解説のクマさんがテンション高く喋る。それと同時に観客席の方から歓声が沸く。今日と言う日を楽しみにしていたのはここにいる観客ほぼ全てが歓声を上げることで同意していることが分かる。


『さ~て‼ 今回初めの一回戦は~』

【テツ選手とゆず胡椒選手です】

『ちょっ‼ だから、それ私のセリフ‼』


 リンの横からクマがセリフをかっさらっていきリンがツッコむ。観客席の方は生暖かい空気が辺りに満ちる。その空気を察したのかリンはカメラに向かって咳き込む。


『コホン。それではクマさん‼ 本戦から出場する選手が混じって始まりますよね‼ 本戦の最初と言うことで前回優勝者であり優勝候補のテツ選手と予選を見事に勝ち上がってきたゆず胡椒選手の見どころはどこですか?』


 リンは最初と言うこともありクマに聞くといつの間にかいたのかすぐにスケッチブックを観客に見えるように表にする。


【そうですね。テツ選手は前回優勝者と言うこともあり有名ですがいまだに成長して行っているらしいですからね。ゆず胡椒選手も強いことは確かなんですが勝負になればいいんですけど……】

『えっ? そんなに強いんですか?』

【強いですよ。正直何度も来ている方やテツ選手を知っている方は分かっていると思いますが圧倒的です。少なくとも彼1人で戦争を終わらせたとか武装集団を1人で無双したとか新幹線を素手で止めた地球に迫ってくる隕石を殴って粉砕したとかとかいろんな逸話が存在しますね】

『あ、あの? それって……じ、事実何ですか……?』


 あまりにも現実離れした逸話の数々にリンは口元をひきつらせながらリンはクマに聞いた。


【もちろん。多少は尾ひれがついてますね】

『ですよね』


 そんなことだろうとリンは安堵の息を吐いた。もしそれが世間で当たり前のように知られてたらこんな所にはいないだろうとリンは考える。


【でも、事実もありますよ】

『え?』

【そうですね……。新幹線と止めたとか武将集団相手に無双したというのは事実ですね。正直テツ選手も含めて上位4人に関しては別次元ですね。経験の差は大きいです】

『は? え?』


 クマの言葉に理解が追い付かなくなりリンは喋っているのか口から声が漏れ出ているのか分からない状況になる。


【そんなに難しく考えなくていいですよ。見ればわかりますから】


 クマの説得力のある言葉にリンは考えるのをやめた。


『ということで‼ 選手たちの入場です‼』


 この掛け声と同時に2つある入口からゆず胡椒は入場してくる。それの反対側にある入口からは何故か誰も出てこない。


『どうしたんでしょうか? テツ選手が出てきません‼ 』


 時間になっても入場口から現れない鉄に観客たちは何かあったのかとどよめきが辺りに広がる。最初の最初で選手が現れない。その動揺は思っているよりも早く広がる。


『これは……どういうことでしょう‼ テツ選手が現れません‼ 寝坊でしょうか‼』


 リンはとりあえず場をつなぐために喋る。相手のゆず胡椒も相手が来ていないことに困惑する。

どよめきが支配する空間で待つこと2分と30秒。後と30秒で一回戦目から不戦敗となる波乱の幕開けになるかと会場が思い始めた時。空から何かが落ちる音がした。その音の方を向くと勢いよく何かが落下するが見えた。


 落下物は地面に行き良いよくぶつかると落下した衝撃で土煙が舞う。


「ふぅ……。何とか間に合ったみたいだな」


 土煙の中から鉄が出現したのである。鉄は入場口からではなく空から降ってくるというとんでもない方法で入場してきた。


『き、キター‼ 遅れてきましたテツ選手‼ なんと空から登場しましたテツ選手‼』

『『『うおおおおぉぉぉぉぉ‼』』』


 遅刻しているがその派手な登場に会場が沸きあがる。


「すまんな。人助けをしていたら遅くなってしまった」

「あ、ああ……」


 鉄の迫力と派手な登場にゆず胡椒も曖昧に返事をするしかなかった。2人はリングに入ると直ぐに戦闘態勢を取る。


『とにかく、両者が揃いました‼ 本戦第1回戦‼ スタート‼ ……えっ?』


 リンのスタートの言葉と同時にゆず胡椒は吹き飛ばされる。ゆず胡椒自身も含めて観客すらもいきなり吹き飛ばされていることが理解できていなかった。

鉄のいた所には鉄とひび割れた足跡を残して誰も居なかった。そして、ゆず胡椒のいた場所には鉄がいた。


 技でも何でもない。そう。鉄はシンプルに全力で踏み込んで体当たりしただけである。ただし、その速さと威力は見た通りのほぼ一撃必殺と言えるレベルであるが。その衝撃ををもろに受けたゆず胡椒は結界に大きくぶつかり結界を揺らす。揺らすのである。いくら、死なないと言ってもそんなもの喰らえばタダでは済まないのは自明の理である。


 ゆず胡椒は結界から地面に落ちるとそのまま動かなくなった。鉄は片腕を大きく上げる。


『…………』


 リンは唖然として眺めているが完全に動かなくなったゆず胡椒と片腕を上げる鉄を見て慌てて終了の合図を出す。その一瞬の出来事に観客は息をのむ。大きな力と言うものは大なり小なり人を恐怖させる。


『『『わあぁぁぁぁぁぁぁぁ‼』』』


 その少し後には観客たちはその圧倒的な姿に歓声を上げる。圧倒的な力というものは多くの物を魅了するのだ。倒れたゆず胡椒は医療チームが大急ぎで瘢痕で言った。鉄は片腕から両腕に変えて観客たちに振る。


『しゅ、終了~‼ 勝者はテツ選手‼ 圧倒的です‼』


 リンは鉄が完勝したことを告げる。


【ね? 圧倒的でしょう?】

『そうですね。これを見てしまうとクマさんが言っていたことが本当だとしても信じますね』


 リンの言葉にクマは満足げにうなずく。


【とは言っても、今回は新人の方にも強そうな人が多いのでその人たちにも頑張ってほしいですね】

『と、いうことは今回は白熱し戦いが見られるということですね‼』


 クマの言葉にリンは嬉しそうに言う。クマは先程と同じようにうなずいて言った。


【それじゃあ、どんどん行っちゃいましょう】

『行っちゃいましょ~‼』


 こうして、闘技大会の本戦は幕を開けた。

次回『馬皇対サライラ』


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