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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第三章 海だ‼ 孤島だ‼ 異能者だ‼ 前編
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合流しました

サライラを見つけた馬皇たち。サライラはなぜか巫女服を着ているが元の服はどこにやったのか……。

 神輿が辺りを回り終えたのか神輿が動きを止めるとサライラはすぐに飛び合下りる。巫女服の恰好のままで馬皇の元まで走り寄ると勢いよく抱き着いた。


「やっと見つけましたわ‼ お父様‼」


 サライラの勢いのついたタックルに馬皇は一緒になってこけないように踏ん張ってサライラを抱き留める。楽しそうな顔をしているが途中で馬皇の体の匂いを嗅ぎ始める。そんな様子に周りの目が痛いのか馬皇はサライラを引き剥がした。


「神輿の上なんかに載って何してたんだ? サライラ?」


 サライラは残念そうにするが馬皇にたずねられて今まであったことを楽しそうにしゃべり始める。


「お父様たちとはぐれてからお父様を探していましたわ。そしたら、「よかったら神輿に乗ってくれないか?」って誘われたんですの」


 サライラは神輿の人たちの方を向いて手を振る。担いでいた人たちは気にするなとばかりに親指を上に向ける。


 相手をしてくれていた人たちにお礼の意味を込めてお辞儀すると「もうはぐれるんじゃねえぞ‼」とどこからともなく声が聞こえた。そのまま神輿は続きだとばかりに動き出した。サライラと神輿の男たちの間で何が有ったのかは気になるが馬皇はサライラの話の続きを聞くことにした。


「最初は1人で探すと言ってたんですが神輿の上ならお父様を見つけやすくなるとのことでしたのでお言葉に甘えることにしましたの」


 馬皇はサライラの言葉から善意で乗せてくれていたのだろうと理解した。何とも人情味の溢れる人たちの方に馬皇は向く。すでに男たちはいないが馬皇は再度男たちに感謝の念だけしてサライラの方へ向き直す。


「それで? 何でその格好なんだ?」


 いきさつはなんとなくわかったが、なぜ巫女服なのか分からない馬皇。


「それは、神輿の上に乗るのならこの格好だと言われたからですわ」

「おい」


 先程の感謝をなかったことにしたくなるようなことをサライラは言う。


「それで、何にもなしに来たんだな。お前自身が来ていた服は?」

「さぁ?」


 サライラはそう言う所は無頓着なのか首をかしげる。馬皇は眉間にしわを寄せると今度は由愛の方が聞く。


「なら着替えた場所は覚えてますか?」

「それなら覚えてるわ。こっちよ」


 由愛に聞かれたことに素直に答えひとり歩きだす。馬皇たちもサライラについていく。


 しばらくするとある屋台の所に出た。凍らせた果物や野菜を細かく砕いたシャーベット状の飲む見ものであるスムージーを売っているようだった。注文が来てからその場でスムージーを作っているようで人気なのか長い行列ができていた。


「ここなのか?」

「ここですわ」


 馬皇が聞くとサライラはすぐさま答える。慣れたように屋台の方に行くとサライラはお店の方に声をかける。


「スミレ~。どこですの?」


 聞き覚えのある名前をサライラは呼んで店の方から女性が出てくる。そして、サライラを見つけるとすぐさま抱き着いた。その姿勢のままサライラの頭をなでなでしている。


 サライラは抱き着かれて苦しいのかジタバタと体を動かす。


「く、苦しいですわ‼ スミレ‼」

「おっと。ごめんごめん。それでどうしたの? お父さんは見つかった?」


 スミレと呼ばれた女性はサライラを離すと用件を聞いた。


「はい‼」


 元気のいい返事をすると馬皇の所にスミレを連れて行く。馬皇たちは見覚えのある人物に声までは出さなかったが驚きを隠せなかった。


「あら? あなた達は勇次の……。そう。サライラちゃん言うお父さんってあなたのことだったのね」

「あ、はい。先ほどはどうも。サライラが迷惑かけませんでしたか?」


 馬皇が丁寧な言葉で喋っていることがおかしいのか後ろの真央と由愛は笑いをこらえている。馬皇は気づいていたが彼女と話すことを優先して話を続ける。


「気にしなくってもいいわ。困ったときはお互い様だもの。それに堅苦しいのは嫌いだから普通に話してくれて構わないわ」

「あるがとうございます。俺は負毛 馬皇です。後ろにいるのが友人の真央と由愛」


 そう紹介すると真央は睨むが馬皇は無視して話を続ける。


「ご丁寧にどうも。私は北原(きたはら) (すみれ)。菫でいいわ。勇次がいつもお世話になってます」


 菫の挨拶に馬皇たちは少し戸惑う。


「どうも。勇次に関してはまだ知り合ったばかりですけどいろいろお世話になったんで」

「そうですか。そう言えば、後で会いに来るって言ってましたね。勇次~」


 菫はサライラを抱えて勇次を呼ぶ。サライラは抵抗しているがガッチリと抑え込まれているため離れることが出来ない。しばらくすると勇次が走って出てくる。


「なにっすか~。菫さん。って‼ アニキに由愛さんと真央さん‼ 来てくれたんっすか」


 勇次は相変わらずの口調で馬皇の方へかけよる。


「ちょっと‼ 言葉遣いはきちんと直しなさいって言ってるでしょ」

「大丈夫っすよ。言葉遣いは相手見てやってるっすから」


 いつも通りの調子の勇次に菫は頭を抱える。


「それで? 馬皇君たちだっけ来てくれてるわよ」

「そんなの見たらわかるじゃないっすか」

「それでもよ。ピークは過ぎたし後は私とお母さんたちでさばけるからあんたは休憩入れなさい。後、あの大会の組み合わせ一緒に見に行くんでしょ。宣伝がてらそれ着て行ってきなさい」

「分かったっす。ついでにスマホで写真撮ればいいんすか?」

「家族にも見せたいからそうしてくれると助かるわ」


 勇次と菫は一通りのことを話すと菫は店に戻ろうとする。サライラを抱いたまま。


「菫さん。今抱きかかえている子をあなたのじゃないっす」

「チッ。ばれたか……」


 菫は舌打ちしてサライラを渋々離す。サライラは自由になったとたんに馬皇の背に隠れるように乗っかる。


「なんて羨ましい」


 彼女はそう言って残念そうに店の方に戻って行った。


「嫌いではありませんがどうにも……」


 過剰なスキンシップに辟易しているのかサライラはため息交じりに呟く。


「菫さんがすいませんっす。どうにも小さい子を見ると保護欲か何かが刺激されるのかお持ち帰りしそうになるっす」

「今までよく捕まらなかったな」


 失礼なことを言っている自覚があるのか馬皇の声は若干小さい。


「どうにも子供たちには好かれているんで小さい子をあやしているようにしか見えないらしいんすよ。不思議っすよね?」


 彼女の不思議を聞かされるが真実と言うものは分からないものである。


「それよりも本戦の組み合わせは今日決まるの?」


 真央は先程の会話から組み合わせのことを聞く。


「そうっすよ。実の所。鉄さんに頼まれまして」


 勇次は頭を掻いて言った。


「鉄先生はどうしたんですか?」


 由愛が鉄のことを聞く。


「どうにも気になることがあったらしくて手が離せないそうっす。自分も大会でてるはずなのに毎回無茶しますよね」


 勇次はうんうんとうなずく。馬皇たちも授業中であっても鉄がよく人助けをしていなくなることを知っているのか苦笑する。正直、教師としてはどうかと思う所ではあるがその行動で本当に死にそうな人が助かっていたりするため何ともいえないのが生徒指導である鉄である。


「まぁ、それはいいっす。大会の組み合わせは時間になると会場に映し出されるっす。それまでは少し時間があるんでもう少し屋台を見て周らないっすか?」


 勇次の提案に馬皇たちは異論がないのかうなづいた。


「なら、出発進行っす。この先においしい屋台があるんで行くっす」


 勇次は腕を上げて人ごみの中を1人ですいすいと進み始める。


「ちょっ‼ 早すぎだろ」

「お父様の背中……。落ち着く」

「待ってくださ~い」


 勇次の後を追う馬皇たち。


「あっちに何か面白そうなものがある」

「ちげぇだろ‼ 由愛‼ 真央を確保」

「任されました」


 由愛が一人で行動しようとする真央の手を掴んで勇次の後を追う。こうして、屋台の立ち並ぶ中で馬皇たちは全員と合流することが出来たのであった。

唐突ですが、いつも読んでくれてどうもありがとうございます。

感想、批評、指摘などがあれば書いてもらえればうれしいです。

ブックマークなどしてもらえるともっと嬉しいです。

これからもよろしくお願いします。

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