予選最終(サライラ)
予選サライラです。容赦のない暴力シーンぽいものがありますが軽く流してもらえるとありがたいです。
本戦では各キャラの一回戦と勇次と鉄の試合模様をお送りしていく予定です。
予選は順調に進んでいきとうとうサライラの出るJブロックを残すのみとなった。
『さぁさぁ‼ 今回は新規の参加者たちが目覚ましい活躍を見せていますが‼ とうとう最後のグループであるJグループのみとなりました』
「「「「「え~~~~‼」」」」」
名残惜しそうな声を出して観客の声が揃う。
『私だってもっと見たいですが明日は本戦‼ もっと熱い戦いが見られかもしれないと思うと楽しみで仕方ありません‼』
【そうですね。今回は新人の子たちがいろいろと活躍してくれているので予選の最後まで目が離せません。それでは選手たちの入場です】
『そうそう‼ 予選も目が離せませんね~。って‼ それ私のセリフ‼』
最後の最後にクマはリンがしていた選手の入場のセリフを書いてカメラはその文字をデカデカとアップに映す。会場は2人のやりとりにたいする笑い声と共に選手たちが入場してくる姿に歓声を上げる。
「とうとうサライラさんの番ですか……。心配です」
由愛はサライラが入場してくるのを見て心配になる。怪我しないかと言うところが心配なのだろう。由愛の言葉に馬皇は頭を縦に振って同意する。
「そうだな」
「なに? やっぱり自分の娘だから心配するの? 過保護なの?」
真央は馬皇にからかい気味に言った。
「ちげぇよ‼ あいつがやりすぎないかってところがだよ‼」
「「ああ~」」
初めて会ったときにも真央たちを殺そうとしていたことを思い出して真央と由愛はひどく納得した。その納得に馬皇は微妙な顔をした。
「それで納得するとか……」
「まあいいじゃない」
真央がそう言うと歓声が沸きあがった。よく見るとサライラが中央で手を振っていた。知る人が見れば明らかに馬皇に向かって振っていることが分かるがあいにく観客席の方に手を振っているようにしか見えない。
『お~っと‼ 会場が盛り上がっています。あれは、一番の選手でしょうか? 可愛らしい子が参加していますね。…………っち。このロリコンどもが』
最後の所だけ会場が盛り上がっているのとリンが口走った言葉自体が小さかったこともあり会場席からはリンが何を言ったのか分かるのものは居なかった。ただし、一緒に解説していたクマは慌てて言葉を書く。
【リンさん。落ち着いて‼ 地が出てる‼】
クマの言葉にリンは直ぐに気が付くと何ごともなかったかのように喋り出した。
『なに言ってるんですか~?クマさん。ワタシハセイジョウデスヨ』
片言で喋っているリンから出てくる威圧感にクマはコクコクと頷くばかりであった。とは言っても未だサライラは手を振り続けていてそちらに会場の目は集中しているために特に問題なかった。
「ほら、あんたに手を振ってるわよ。サライラが」
「そうですよ。馬皇さん。ちゃんと返してあげてください。サライラちゃんに」
真央と由愛は馬皇にサライラに手を振って返してあげてと言われる。
「でも……な」
照れくさいのか馬皇は手を振るのを渋る。サライラはまだ手を振り続けている。
「ほら早くしなさい」
「そうですよ。サライラちゃんがかわいそうです」
「……。わかったよ」
馬皇が手を振るとサライラは顔に花を咲かせた。その笑顔に会場はさらにヒートアップする。
『はいはいは~い‼ 盛り上がるのは結構ですが予選を始めたいと思いま~す‼ 準備は整った? クマさん‼ Jブロックの見どころのありそうな選手は?』
サライラが目立つことが気に入らないのか強引に話を切り替えるリン。しかし、無常にもその話題が大きく切り替わることはない。
【1と2ですね】
『その心は?』
【纏ってる雰囲気がなんというか戦闘狂の類と同じ感じがします。後はAブロック6番の馬選手と似ている感じがします。後、可愛らしいですよね】
『はぁ。……なんで話題が変わらないのよ‼ ロリコンなの‼ 男はみんなロリコンなの‼』
馬皇に似ていると言われて喜びを体で表現するサライラ。リンのぶっちゃけたツッコミに観客席の女性陣が盛り上がっていた男たちに冷たい視線を向ける。しかし、どこ吹く風とでもいう様に視線をそらすだけであった。
『それはともかく‼ せっかくのラスト‼ 最後だけに開始のセリフを本戦仕様で行きますよ~』
リンは早々に気持ちを切り替えて大きく息を吸う。そして、最後も元気よく言った。
『それではみなさんご一緒に‼ レディー、ゴー‼』
「「「「「ゴー‼」」」」」
リンに合わせて会場の声を出す。
開始の合図とともに怒号が響き渡る。真っ先に狙われるのは弱そうな選手である。あれほど目立った入場をして見た目だけは弱そうなサライラに多くの選手が殺到する。
「ふふふふふふ」
サライラは笑みを浮かべると自身の武器である槍を召喚する。その槍はサライラの身長より長く190cmぐらいである。どうでもいい理由であるがこの大きさなのは前世の馬皇と同じ大きさに合わせているためである。
サライラは槍を巧みに使い選手ののど元や心臓を正確について倒していく。接近する敵たちには薙ぎ払いで間合いには侵入させず突きで止めを刺す。その場にとどまるわけではなく他に選手のいない位置に移動して1対1になる様に位置を取る。遠くからの攻撃は迎撃できるものと振れたら危ないと思ったものを直感で選択して迎撃回避を繰り返す。
「アハハハハハハハハハハハハハハハハ」
サライラは獰猛な笑みで1人また1人と止めを刺していく。その姿に襲い掛かろうとしていた選手たちは躊躇い恐怖し始める。そんなことは知らないとばかりに動きを止めた選手に突っ込んでいき片っ端から処理していくサライラ。なんというか、連続殺人鬼の殺人現場を見ているようだった。サライはテンションを上げていた。
お父様が見てくださっている。お父様が見てくださっている。そのことで頭はいっぱいである。たまに、異能を使って急に出現する敵にも冷静に対応して顔に少し血が着く。それでも笑みをやめないサライラの姿に選手たちは恐怖する。そして、その恐怖は伝染する。このまま、向かっていてもやられた奴らと同じように串刺しにされて切られて……。いくら死なないとは言っても痛みはある。軽減されるわけではないのだ。その恐怖に次々と棄権する者が相次ぐ。そんな間もなく一部の硬直している選手たちに止めを刺していくサライラ。
あっという間に生き残っているのがサライラだけになるのは必然であろう。
「もうおしまいですの。つまりませんわ」
バトルフィールド内の敵は居なくなりサライラだけが残っていた。そのサライラがそう言うとリンは慌てて終了の合図を上げる。
『しゅ、終了です‼ す、すさまじいです。すさまじいです。1番の……サライラ選手‼ なんという光景でしょうか‼ 会場には誰一人として残っていません‼ 最後にやられたのは2番の『ああああ』選手……登録名ふざけた奴多すぎだろ……ですが何と言いますか……ショッキングな光景ですね、いろいろと』
リンの言葉にクマは答えた。
【そうですね。彼女容赦ないですね。これ、下手するとトラウマになる人いるんじゃないんでしょうか】
クマのもっともな発言に会場の観客一同は一斉に頷く。
ちなみに、馬皇たちはと言うと。
「やりすぎだろぉ」
「はうううぅぅ」
「ちょっと‼ 由愛倒れないで‼ 馬皇も呆けてないで由愛何とかしなさい‼」
馬皇は呆れ、由愛は倒れ、倒れこんだ由愛を必死に支えている真央のがあった。
『な、何はともあれ本戦に出場できる選手たちが出そろいました。18時には対戦カードが決定するので皆さん忘れずに確認してくださいね~‼ 本戦では前回の大会の1位から4位までの方がシードで出場します。なので合計24名の選手たちの戦う姿が見ることが出来ます。楽しみにしていてね♪ それでは、解説、実況のリンと』
【クマでした。明日もよろしく♪】
『ちょっと‼ それも私のセ……』
リンが何かを言おうとしていたが映していた画面の映像が消えた。何はともあれ馬皇たちは本戦に歩を進めるのだった。
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