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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第三章 海だ‼ 孤島だ‼ 異能者だ‼ 前編
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夕食

闘技大会についての説明会です。

次回は闘技大会に入ります。

 卓球を終えて馬皇は飲み物をおごらされた。馬皇は悔しそうに軽くなった財布を見て呟いた。


「くそぉ」

「ふふふ。ご馳走様」


 上機嫌でおごってもらったお茶を持ち馬皇に言った。真央は勝利の美酒を一気に飲み干す。


「馬皇さん。ご馳走様です」


 由愛もおごってもらったこと感謝するとサライラも同じように馬皇に言った。


「お父様。ご馳走様です?」


 サライラは疑問形で言っているために由愛の真似をしていることは分かっているが馬皇は感謝されているのは素直に嬉しく感じる。馬皇はぶっきらぼうに言った。


「気にすんな。勝負の結果だ。それにしても勇次はどこ行ったんだ?」


 いつの間にかいなくなっていた勇次が気になるのか馬皇は真央たち聞いた。


「さぁ?」

「知りませんわ」


 真央とサライラは興味なさげに答える。


「勇次さんはここに来る途中で女の人に連れていかれましたよ」


 由愛の答えに馬皇はおろか真央も驚く。


「そうか。あいつそういえば準優勝者だったしな……」


 初めは驚いていたがよくよく思い出してみると闘技大会の準優勝者である。馬皇は1人納得してうんうんとうなずく。


「変わり者がいたものね。あの男に付き合う女がいるなんて」


 初めて会ったときに欲望をぶちまけた勇次を知っているためか真央の言葉はきつかった。


「それよりもそろそろ夕食の時間ではなくて」


 サライラの指摘で馬皇たちは時計を見ると夜の7時になろうとしていた。


「やべっ‼ 確か夕食は7時からだっけ‼」

「ええ‼」

「そうですよ‼ のんびりしてる場合じゃないですよ」


 サライラを除いた3人は慌てて夕食の会場に向かう。階段を下りる道中で鉄と遭遇した。


「おっと‼ いたな。時間になっても来ないから部屋に向かっていたんだがどうやらうまいこと会えたみたいだな」


 鉄の言葉に長く待たせることにならず馬皇たちは安堵する。


「すいません。時間見てなくて遅れました」


 馬皇が申し訳なさそうに言うと鉄は馬皇の肩を叩き笑顔で答える。


「なに、気にすることはない。 素直に謝れるなら咎めたりはしないさ。それじゃあ、全員そろったことだし向かうとするか‼ 飯の途中で明日のことを話すから聞いてくれよ」


 鉄は気にしない様子で食事の会場に向かう。馬皇たちも黙って鉄についていく。


 歩きながらも夕食のメニューが気になるのか由愛は鉄に聞く。


「鉄先生」

「なんだ? 山田さん?」

「今日の夕食のメニューってなんなんですか?」

「この島で取れる魚を使った料理だ。前にもここに来たから言えることだがうまいぞ」

「そうなんですか。楽しみです。そう言えば勇次さんについて鉄さんは何かご存じなんですか?」


 ふと気になったのか由愛は勇次のことを鉄に聞いてみる。


「ああ。知ってるぞ。そう言えば勇次とは仲良くなったみたいだな。喧嘩っ早い所はあるがいいやつだ。少し落ち着いたのか今回は一昨年みたいに宣戦布告してこなかったがよきライバルの1人でもある。前回も決勝で戦ったが年を追うごとに強くなっていく。今年はどれだけ強くなったのかが楽しみだな」


 由愛たちは楽しそうに語る鉄の言葉に勇次が誰に勝てていないのかを察してしまう。校内の噂だけでなくいろいろな方面に伝説を作り出しているこの男が優勝しているというに馬皇たちは納得した。


 おしゃべりをしている内に夕食の会場へと到着する。夕食に関しては個室である。松の間と書かれている札の部屋へと一同は入室する。畳の敷かれた部屋には大きなテーブルがあり座布団が人数分敷かれている。その中央には大きな鍋が置いてありその横に島で取れるであろう海の幸や野菜がずらりと並べられている。鍋の中には昆布でダシを取った出汁の香りが漂う。


「おぉ‼」

「わぁ‼」

「しゃぶしゃぶですか? おいしそうですね」

「? しゃぶしゃぶ?」

「そうだろう。そうだろう」


 サライラだけきょとんと首をかしげるが他の一同は新鮮な海の幸に釘付けでスルーされる。鉄は馬皇たちの顔に満足そうにうなずくとさっそく部屋に入って座布団に座る。


「お父様はここですわ」


 馬皇は鉄の隣に座ろうとするがサライラに引っ張られて鉄の対面の真ん中の席に座らされる。その左側にサライラが座るといつの間にか右側には由愛が座っていた。


 真央が鉄の隣に座ると鉄は鍋のコンロに火をつけた。ダシが沸くまでに鉄は明日のことを喋り始めた。


「言い忘れていたことだが明日の闘技大会について今説明しておく。基本的に予選と本戦に分かれる。明日の予選はバトルロワイヤル形式だ。会場から外に出すか身代わりの宝珠が破壊されて気絶したら終了だ。毎回の傾向からすると大体1ブロック辺り20~30人くらいになる。その中から残った2人が本戦に出ることになる」


 闘技大会での予選のブロック数はだいたい10前後である。つまり、毎回300人前後が参加していることになる。


「意外に多いのね」


 真央は組織の人間の息抜きである大会の参加者が意外に多いことに驚く。


「ガス抜きと言っても異能を思い切り使いたいという奴は多いからな。依頼とかでも使う機会はあるだろうが全力を使う機会と言うのは滅多にないしな」


 鉄の言葉に真央は納得する。異能は基本的に異端扱いであり、まだ表舞台には出てきていないものである。いくら依頼があり能力を使う機会があるとはいえ自分の限界まで使うことはないと言える。命がかかっているからだ。死ぬような可能性のある中で限界まで使うのにはリスクがある。その危険がない闘技大会は自分の限界を調べたり力試しするにはいい機会なのである。


「それに、ガス抜きだけが理由ではないぞ。この大会の見学者の中には異能者以外もいる。そういう人たちは得てして互助会のスポンサーだったり関係者だったりする。そういう人たちにアピールするには絶好の場所なんだよ。ここは」


 鉄の言葉に今度は馬皇が納得したようにうなずいた。確かにここで実力があると分かれば依頼者は指名で依頼を出しやすいだろう。依頼の種類によっては戦闘能力だけでは解決できないことが多いが戦闘力が高いということも1つのアピールともいえよう。現に戦闘に関する依頼も少なくはないのである。


「そうか。それならいろんな奴と戦うことが出来るんだな?」


 馬皇はこれからの戦いのことについて考えると自然に口元が上がる。


「お父様は戦うことになると相変わらず楽しそうになさるのね」

「そう言うなよ。サライラも大して変わらないからな」


 やはりこう言う所に関しては似たもの親子なのかサライラも馬皇と同じように笑っている。


「話を戻すぞ。予選についてはバトルロワイヤルだが、本戦になると1対1になる。後大会中に言えることだが試合では基本的に何でもアリだ。武器を使うもよし拳を使うのもよし。異能についても参加の条件は異能を持っているということだが勝ち抜く条件は異能だけに限らないことだな。ただし、気絶している奴や棄権した者に対して故意に攻撃するなどをした場合は反則負けになる。まぁ、基本的に宝珠を失うと戦闘の会場には外に転移されるんだがな」


 鉄は補足を入れて説明し終えるとちょうどいいぐらいにしゃぶしゃぶのダシが温まる。


「とまあ、難しい話はこれぐらいにして……。今日は移動だけだったが明日から本番だ。今回の闘技大会で得る物も多いだろう。全力を尽くしてくれ。乾杯」

「「「「かんぱ~い」」」」


 鉄の音頭に合わせて馬皇たちも乾杯をする。サライラがしゃぶしゃぶの食べ方が分からずに右往左往したり真央が間違って鉄の酒を飲んで酔っ払ったりと騒がしい感じであったが馬皇たちはこの宿の夕食を堪能するのだった。

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