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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第三章 海だ‼ 孤島だ‼ 異能者だ‼ 前編
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温泉(男子パート)

温泉と言ったらやっぱり……

「ふ~。いい湯だぁ」

「そうっすよねぇ」


 馬皇たちも真央たち同様に温泉に来ていた。女性陣たち同じようにまだ温泉に入るには早い時間帯なのか他に人はいなかった。


 温泉に入る前に「私もお父様と一緒に入るんですわ‼」とサライラが言って男湯にまで着いてきて真央と由愛に連れて行かれるという一連のやり取りが少し前にあったがそれ以外は何事もなく温泉を楽しめている。


 温泉から上がった後は真央たちと合流する予定である。娯楽施設もあるようで小さなゲームセンター、卓球場にビリヤード、ダーツといろいろなものが揃っているらしいとは勇次が言っていたためである。


 馬皇と勇次は風呂に入る前に体を洗い露天風呂へと直行していた。


「それにしても良かったのか? 他にお前の知り合い居たんじゃないのか?」


 勇次がこの大会の常連だと聞いていたので他にも交友関係があったのでは? と聞く。


「気にしなくてもいいっす。知り合いは別の場所に泊まってるんで。それに明日には紹介できると思うっすよ。愉快な奴らなんで」


 楽しそうに語る勇次に馬皇は安堵した。


「そうか。ならこっちも楽しみしないとな。戦いでは負けてやらないがな」

「こっちも負ける気はないっす」


 馬皇は自信満々な顔で勇次を見る。勇次も好戦的な表情になる。


「なら大会でだな」

「そっすね。今から楽しみっす」


 2人は笑い合うとゆっくりと温泉を楽しむ。隣の女子風呂からきゃいきゃいと音が聞こえるが何を言っているのかまでは分からないがとても楽しそうである。


「あのワイワイとしている感じ良いっすよね」


 唐突に勇次がそう呟くとおもむろに立ち上がって仕切りの方へ向かう。


「どうしたんだ?」


 勇次の行動に馬皇が聞くと勇次はキメ顔で言った。


「女の子たちを見たいっす」

「……あ~。気持ちは分かるがやめとけ」


 馬皇は勇次に説得を試みる。サライラは娘だし真央については論外だ。そもそも奴は敵である。そんなことしようものなら言葉どころかまた蹴りが飛んでくる。由愛については見てみたい気もするが見た後にひどく後悔しそうな気がした。


「アニキは気にならないっすか‼ 女の子たちが裸でキャッキャウフフしているのに」

「そりゃ、気にならないと言ったらうそになるが……ばれたら気まずいぞ」


 馬皇は語尾の方の声を潜ませた。


「うっ‼」


 勇次も自分の言っていることがかなりまずいことだと分かっているのか馬皇の指摘に言葉を詰まらせる。正論である。ただ正論であった。


 しばらくして馬皇は行く気はないのか室内に戻ろうとすると勇次は馬皇にしがみつく。


「どうした? 俺はサウナに行きたいんだが」


「師匠‼ 覗きをしないのは女性陣に失礼っす‼ だから、一緒にのぞきましょう‼」


 勇次は馬皇に土下座した。完全にプライドを捨てていた。覗きたいがために土下座までする勇次に馬皇も無下にできないのかため息をついた。


「はぁ。……それでプランはあるのか?」

「はい‼」


 馬皇の言葉に勇次は目を輝かせる。勇次は露天の女子に聞かれないように声を抑えて馬皇に話した。


「アニキ。実はですね何回も来ているときに俺より前の先輩たちから受け継いできたのぞき穴があるんです」

「ほうほう? それで」


 やると言ったからには全力でする馬皇である。勇次の言うのぞき穴に興味津々で聞く。


「ばれていない穴を俺も教えてもらっているのでそこから覗きましょう」

「それは楽しみだ。それで……その穴は?」

「こっちっす」


 勇次が馬皇に手招きして露天風呂の隅へ移動する。隅の方の木目に合わせた部分だけ少しだけ出っ張っているのが近くから見ると分かる。勇次は静かにその出っ張りを引き抜くと小さなのぞき穴が完成する。

それなりに目がよくないと見ることはできないが確かにこの位置からは女性に気付かれることなく除くことが出来るだろうと馬皇は思った。


「ここからか?」


 馬皇は少しだけワクワクして勇次に言った。


「そうっす。実際はこの穴から鏡と小さいパイプを繋げて行った先にレンズがあるっす。なんでここから覗いたら別の場所が見えるっす」


 悪い笑顔で勇次は言った。


「手が込んでるな……。てかこれ考えた奴絶対馬鹿だろ」


 馬皇も予想よりも無駄に凝ったのぞき穴に馬皇は引きつる。これをこれから使う馬皇たちも馬皇たちであるが。勇次はすぐさま穴からのぞく。


「どうだ? 見えてるか?」


 勇次が覗いている横で馬皇は感想を聞く。よっぽど見入っているのか無言の勇次に馬皇はつばを飲み込む。


「そ、そんなにすごいのか?」

「…………」


 馬皇は勇次を問いただす。しかし、無反応。


「おい。……っ‼」


 あまりにも反応がない勇次に馬皇は肩を揺らす。すると勇次は倒れた。


「…………。気絶してやがるっ‼ 無茶しやがって‼」


 勇次に触ると完全に気絶している勇次だった。すぐさま馬皇も勇次がのぞいた穴をのぞく。その先には真央だけが露天風呂に浸かっていた。そして、のぞかれているのに気づいているのか口パクで何かを言っているようだった。


『覗くバカにはお灸をすえてやったわ。今回は見逃すけど覗くのもほどほどにね』


 馬皇はなんとなく理解したが真央は言いたいことだけ言ってその場を後にした。馬皇は気づいている真央に頭を抱える。


「あちゃあ。絶対楽しんでるよなぁ。あれ」


 大方真央の魔法で幻覚でも見せられたのだろう。それも悪夢の類。気の毒に思いながらもある意味自業自得だからいいのかと思う馬皇。穴を元の栓で塞いで気絶したままの勇次を連れて馬皇も露天風呂を後にする。勇次を更衣室に置いてこれから真央にどう言い訳するのか考えながら一人で温泉に浸かりなおす馬皇だった。

もう2種類ほど話を書いたら闘技大会に入りたいと思っています。

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