温泉(女子パート)
難産でした。なかなか文章が思いつかないこと思いつかないこと。
とりあえず、温泉パートです。やりたかった。
「ふ~。いい湯だわ~」
馬皇のいた部屋での馬皇の下着を防衛? に成功し見事守り抜いた。その後、真央たち一行は旅館の目玉である風呂場に来ていた。真央は一番乗りと言うばかりに服を脱いで体を洗ったのち露天風呂に直行した。
室内には大きな浴槽、水風呂、サウナがあり外にはこれまた立派な露天風呂が存在してる。まだ、夕方の微妙な時間帯のためか人はいなく貸切状態だった。
「う~。あと少しでしたのに」
サライラも外の露天風呂が気になっていたのか一緒になって外に来ているがまだ根に持っているのか恨みがましく言って露天風呂の端でダレる。透き通った湯の中で足を揺らしている。
「それはあんたがあいつの下着を持って行こうとするからじゃない。嫌われても知らないわよ」
真央も湯に浸かったままサライラの近くに移動しさすがにやりすぎだとサライラに言う。
「お父様のが欲しかったですが嫌われるのはもっと嫌ですわ」
そう言ってサライラは頭を抱える。深刻な表情をしているとさすがに真央はサライラの扱いに困ってしまう。
「お待たせしました。ってサライラさん‼ 髪をお湯につけてどうするんですか‼ 入るなら髪を上げないと痛みますよ‼」
髪を纏め上げた由愛が遅れてやってくるとサライラの毛先が湯船に浸っているのを見て慌ててサライラの方に寄る。
「問題ないですわ。いつもこうですから」
「駄目です。まったくもう‼ 髪は大事なんです‼ 馬皇さんに綺麗な自分を見てもらいたいんですよね? それならちゃんとしないと」
由愛はサライラの横にくると髪がお湯に浸からないように髪を上げる。そして、由愛は丁寧にサライラの髪を予備のゴムを使って結び始める。馬皇のことを引き合いに出されサライラは大人しく由愛に髪のことを任せた。
「できた‼」
手慣れた手つきでサライラの頭には小さなお団子が出来ていた。
「ありがとうございますわ」
サライラは鏡を見て新しく出来たお団子を触って気に入ったのか由愛に感謝する。
「どういたしまして。それにしてもいい景色ですね。遠くまではっきり見えます」
露天風呂から見える外の景色はまだ赤くはないが雲一つない空である。島の陸地の方には緑や大会が行われるであろうドームが見えてその風景が見事なコントラストを醸し出していた。
「ていうか、島に来たときには見えなかったのになんでここから見えるのよ‼ 島の灯台や船の上から見たときには影すらなかったのに‼」
真央はドームを指さして言った。本来はドーム自体目立つものであるが異能者たちの存在をばらさないために特殊なものを作る異能者の集団が無茶をしても大丈夫な強度、認識阻害などの機能が充実した、飛んでもドームであるが説明もなしにこのドームを見せられてもツッコミどころしかない。また、後々このドームについては真央たちの度肝を抜かすことになるのだがそれは後の話。
「まぁまぁ。落ち着いてください。真央さん。それよりもこの温泉すごいですよ‼ 」
由愛は興奮気味に真央に近付いて自分の肌を触らせる。普段よりもさわり心地がツヤツヤしている。真央は自分の肌を触って心なしかいつもよりきめの細かい肌になっていたことに驚いていた。
「……確かにすごいわね。これなら毎日入りたいくらいよ」
「ですよね~。こんな温泉があるならいつまでも入りたいくらいですよ。それに気持ちいいですしね~」
ほにゃりとした顔を由愛は真央に向ける。真央もさっきまでドームについて気になっていたが由愛の顔を見てどうでも良くなっていた。
「それはそうと、真央さんと由愛さんにお父様の事を聞いていませんわ。今まで観察したのですが好意を持っているのは分かりますがお父様のことどう思ってますの?」
サライラは馬皇についてのことを真央たちに聞いた。好意を持っているという所で真央たちは顔を赤くしてサライラから目を背ける。
「なんで言わないといけないのよ」
「それは、その……」
誤魔化そうとする2人にサライラはさらに追及しようとする。
「素直な感想で構いませんわ。お父様の正妻の座は渡しませんが側室でしたらなにも問題ありませんわ」
自信満々に言いきって湯船から立ち上がるサライラ。真央と由愛は思わず思考停止してしまった。
「どうかしましたか? それとも怖いんですか?」
真央たちが硬直している間ににサライラは挑発する。挑発だと分かっていながらも真央は言わずにはいられなかった。
「怖くなんかないわ‼ 私はあくまでライバルであって結婚したいとかっていうものじゃないわ。いずれ決着はつけるし‼……そりゃあ、あの時助けに来てくれたのはうれしかったんだけど」
尻すぼみに言葉が小さくなってくる真央。由愛もサライラも何が有ったのかは知らないが真央が馬皇に気があるというのが分かってしまう。
「そうなんですか。私も馬皇さんはいい人だと思いますよ。ただ、そのいつも無茶しちゃうような人だと思うんです。だから、ほっとけないというか……。後、サライラさんこの世界では一夫多妻制じゃないです。昔にはあったらしいですけど今は正妻とか側室は存在しないですよ」
由愛も恥ずかしそうに思っていることを言った後サライラは驚愕した。
「そんな‼ それではお父様の愛を私が独り占めにできるのね‼」
ポジティブに考えるサライラに2人はイラッとした。
「馬皇さんがサライラさんをお嫁さんにするとは限りませんよ」
「そうね。案外私たちと全く関係のない女の子と付き合ったりして」
由愛の言葉が若干刺々しかったが真央の言葉で3人の動きが止まる。3人はそれぞれ真央の言ったことを想像する。馬皇が見知らぬ女と姿を。3人ともに顔をしかめた。
「止めましょ。不毛だわ」
真央がそう言うと由愛たちも想像するのをやめる。その顔にはありありと不快だった出ていた。
「そうですね。なんというかすごく嫌な気分になりました」
「そうね。サライラは?」
「多分、そのお相手を殺してますわね」
サライラは獰猛な笑みを浮かべて言った。それに由愛も同意する。
「分かります。私も……」
由愛はサライラが言ったことに躊躇う。そこまではしないだろうがそれでも半ばそれに近いことはやってしましそうだと思ってしまった。由愛はサライラとあまり変わらないことをしそうな自分がいたことに驚くが不思議と嫌な感じはしなかった。
「やっぱり私は馬皇さんが好きなんだと思います」
唐突な由愛の宣言に真央は驚く。
「急にどうしたの‼」
「そうなのですね。それならば私たちも勝負ですわよ。簡単にはお父様を上げないんだから」
「そうですか。それならばこちらも負けません。サライラさん。馬皇さんは私がもらいます」
サライラは由愛に宣戦布告する。由愛もサライラも何かを悟っているのか勝負の内容は言わない。分かっているからだ。どちらが馬皇をモノにするかという。2人は笑い合った。馬皇の隣に自分がいる姿を想像して。
一方では突然の事態についていけない真央は1人蚊帳の外だった。
「どうすればいいのよ……」
由愛たちには聞こえていないが真央は外を見た。真央は2人を見て完全にやけくそだった。こうして、異能者の闘技大会とは別に馬皇をめぐる争奪戦の火ぶたが来て落とされたのだった。
次回は男性陣のパートを予定しています。




