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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第二章 異世界からの来訪者
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暗躍‼ 暗躍ゥ‼

投稿です。面白い話を作るって難しい。


 時間は少しさかのぼる。どこかの暗い室内の出来事である。そこには円卓があり、その中心には映像が映し出されていた。


 それは馬皇が暴走していた映像だった。どこからか映し出していたのだろう。大暴れである。しばらくすると次の映像に移り変わった。今度は鉄の映像である。肉体だけで銃弾すら無傷で弾き飛ばしているのが分かる。次には炎を操る少年。その次には辺り一面を凍らせる少女。異能者の能力を使うシーンを次々と映し出していた。


 映像が終わると影が映し出された。人の形をしているが誰なのかは分からないようになっている。影は10人いた。その影には数字が振られていて次々と音声が出てくる。辺りはざわめいていた。しばらくすると顔の上半分を隠すような独特の仮面をつけた男が円卓の中心に立ち丁寧にお辞儀をした。


「いかがでしょうか? この圧倒的なパワー。多種多様で1人でもこれですよ。異能者を生み出す薬を量産できるならぜひとも欲しいとは思いませんか?」


 仮面をつけた男は異能力者を生み出すことが出来ると言った。仮面の男の言葉から影たちは各々に喋り始める。


「イイネッ‼ その発想は面白いヨ」


 1番は楽しそうに言う。


「欲しいな。これを量産できれば一儲けできるな」


 2番は欲望のままに言った。


「ふむ。こういった能力を持った兵士を作り出すことが出来るのならばぜひとも出資したいものだが、不老不死の薬を作り出すのが先だろう。その過程である若返りの薬も実験場が派手にやられたのだろう? そんなので大丈夫なのかね?」


 3番から明らかに高齢だと分かる声だった。不老不死の薬に多額の出資金をかけているのだろう。どうにかして死ぬ前に入手したいのか完成を急がせる。


「これはあくまでこの人間の能力だろ。異能が存在することは知っているが、量産できる当てがあるのか? それにかかる費用の見積もりは? 少なくともこの映像だけなら出す気にはなれんな」


 5番は異能者の存在を知っているらしく異能者を作り出す薬には半信半疑だった。10番だけは沈黙を保ったままだが残りの番号の人物たちも思い思いに口を出すが大体似た様な意見だった。


 仮面の男は考えるポーズをしてから説得するようなポーズに帰る。男たちの言葉に答えた。


「3番様。実験場はやられましたが資料もサンプルの大部分も無事なので何も問題ありません。後5年、いや後2年待っていただければ完成品をお届けさせていただけます」


 不老不死の薬の方を優先しろと言った3番の男に謝罪を述べる。3番は不機嫌な声音のまま異能者の話題を聞いた。


「ふん。長いな。それで異能者だったか。そいつらの能力を生み出すことが出来るのは本当か?」

「はい。薬を作る過程での失敗作の一部で異能者を生み出すことが出来たのでまず間違いないかと」

「おお」

「偶然でそんなものができたのか」


 口々に同じような驚きの感想が飛び交う。仮面の男は申し訳なさそうに言った。


「しかし、まだ問題がありまして」


 仮面の男の言葉に2番が代表してか言った。他のメンバーも気になるのか黙っている。


「その問題とは?」

「元々の素養がないと死にます」

「致死率は?」

「90%でございます」

「駄目ではないか‼」


 5番は怒鳴り声を上げた。飲めばほとんどが死ぬと分かっている薬など何の価値もない。


「いいえ。5番様。10%は成功しているんですよ」

「それがどうした」

「成功例から飲む前を後からどこに反応するのかの差異から薬がどこに聞いているのか分かればどうとでも対処できます。それに、精神操作に特化した個体をその時に入手できたので戦闘向きの異能者を作った後に操ることもできます」

「ほう。それで? 異能者を作り出してどうするつもりなんだ?」


 5番は話を聞いて興味を持つ。仮面の男は5番の肯定的な興味に嬉々として語りだす。


「いえ。そう言った異能者を作り出して操れれば戦力になります。それに興味はありませんか? 量産された異能者と天然の異能者との戦い。不老不死のが完成する間の暇つぶしになりますし、互助会とかいう異能者集団からのカモフラージュになりますよ」


 仮面の男は娯楽として言っているのだろうことが分かった。


「うむ。だが、しかし」


 一斉に思案しているようで室内は沈黙が支配する。すると、10番は何がおかしいのか大声で笑い出した。


「はっはっはっはっはっはっ‼」


 ずっとしゃべらなかった10番が笑い出したことに他の番号たちはぎょっとする。


「どうかなされましたか?」


 仮面の男は当然笑い出した10番に訊ねた。すると、10番は喋り始めた。


「おもしろい。やってみるがいい。資金も私の方は今の1.5倍に上乗せしてやろう。他の皆様もよろしいですかな?」


 上機嫌で10番は言った。他のメンバーも何もないようで10番に乗る。


「さすがですね。10番さん思い切りがいいわ」

「損するのは10番だけだしな。構わねえよ」

「うむ」


 反応して喋ったのは3人だが概ね他のメンバーも異論はないのか黙っている。


「それでは、薬の方はどちらも滞りなく進んでいるということで今回は終了です。お疲れ様でした。人類の大いなる進化のために」

『人類の大いなる進化のために』


 仮面の男は影に向かって組織の挨拶と共にお辞儀をする。影は終了と同時に姿を消していく。最後には10番だけが残った。


「では、私も失礼するとしよう。よい結果を期待している」

「もったいなきお言葉」


 仮面の男は深く敬礼すると10番の影も姿を消した。


 すべての人が退出した後仮面の男は仮面を外す。


「ふう。暗躍するのも大変ですね。今回の出来事は真央様をそらすのに異能者の皆さんや馬皇さんを利用しましたがこれで、誤魔化せればいいのですが。まあ、真央様には指一本触れさせませんがね。はっはっはっはっは」


 ケイスケだった。ケイスケは乾いた声で笑うとすぐさま真顔に戻る。


「とりあえず怪しまれないように戻りますか。そろそろ終わる頃合いでしょう」


 ケイスケもこの場所を後にした。





 馬皇が目を覚ます前、学校の廊下まで戻ってきてケイスケと2人きりになった真央はいつの間にか消えていたケイスケを問いただしていた。


「……っていうことが有ったんですよ」


 真央がどこに行っていたのか問うとケイスケはそう答えた。


「長い。それに、もっとましな嘘がつけないの?」


 バッサリだった。魔法を使うまでもなくケイスケが嘘をついていることが分かった。ケイスケは真央の指摘を無視して話を続けた。


「馬皇さんと真央様はどうなるのか? かみんぐ・すーん」

「ていっ」

「グェ」


 真央は笑顔で話を聞かないケイスケにドロップキックをお見舞いした。ケイスケの腹に真央の両足が刺さった。ケイスケはカエルがつぶれたみたいな声を出して倒れた。


「ふうっ」


 真央は起き上がりいい仕事をしたと手で額をぬぐう。


「ひ、ひどいじゃないですか‼ ま、真央様。も、もっとやって下さい」


 ダメージが抜け切れていないのかケイスケの言葉はとぎれとぎれである。しかし、顔は恍惚をしてもう一度と腕を広げていた。


「やるわけないじゃない。気持ち悪い。それで、ホントのところは?」


 真央は冷たい目でケイスケをにらむ。あくまでも言うつもりはないのかケイスケは同じことを言った。


「暗い部屋でですね、むぐっ‼」


 真央は何かを隠しているときにいつも同じことを同じことを言う事を知っている。言おうとしていることが分かるとケイスケの口をふさぐ。


「もうわかったから‼ 暗躍してたのね。暗躍」


 真央は追求することを諦めたのか暗躍の一言で済ませた。


「そうです。暗躍です」

「言う気はないのね」

「はい。必要なことではあったので少しだけ抜けさせてもらいました。今夜は少し用事があるのでお先に失礼いたします」

「……分かったわ。お休みなさい。ケイスケ。何かあったら呼ぶわ」

「お任せください。このケイスケ・シンシ。真央様のためなら火の中、嵐の中、女子トイレの中」

「女子トイレの中まで来んでいいわっ‼」


 真央はそうツッコんで保健室の方へ向かって行った。ケイスケも自分の鞄を持って歩き出す。ケイスケはふと気が付くと鞄のチャックが空いていることに気が付いた。


「危ないですね。危うく気付かれちゃうじゃないですか。用心。用心と」


 そう呟いて鞄を閉じた。そこからは先程まで顔の上半分を覆い隠す仮面が鞄の中から外を覗いていた。

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