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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第二章 異世界からの来訪者
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転校生 前編

いくつかに少し分けます。

書きながらになるのでまだ何個になるか分かりません。多分これ含めて2、3個になる予定


 朝。


 馬皇は教室に入るといつものメンバーが何かの話で盛り上がっていた。


「盛り上がってるようだけど、何かあったのか?」


 馬皇は鞄を置くと話題の中心にいた洋介に話しかけた。洋介たちは馬皇に今日一番の話題を自慢げに言った。


「知らないのか? 転校生だってよ」


 確かに転校生が来るというならば中学校では話題になるだろう。偶然見かけて、それが話として広がったことでこの盛り上がりならば馬皇は納得できた。


「それでこの盛り上がりなのか?」


 話題に入ったばかりの馬皇は尋ねる。すると今度は幸太郎が答える。


「ああ。それも2人だってさ」


 幸太郎の言葉に馬皇は直ぐに思ったことを言った。


「同じクラスにか?」


 幸太郎は頷いた。


「珍しいというか本来ありえないんだけどな。普通だったらクラスを分けるだろ」

「そうだろうな」


 幸太郎の言葉を肯定してメンバー全員して首をかしげる。みんなして考えていると馬皇の背後から声がした。


「馬皇さん。おはようございます」


 由愛は真央たちの友人にするように馬皇にも挨拶をした。馬皇も笑顔で挨拶を返す。


「ああ。おはよう。山田さん」

「昨日はご馳走様でした」


 昨日のパフェの事だろう。由愛はまだ気にしていたのだろう。


 財布の中身は確かに痛かったがそれであの時のことをチャラにしてくれるのなら別に問題ないというのが馬皇の考えだ。由愛に思ったことを言った。


「気にすんな。こっちが悪かったことだし」


 元々罪滅ぼしのために付き合ったのだ。馬皇は右手で自分の頭を掻いた。由愛は頑固なのかもう一度さっきより近づいて行った。


「いいえ。それでも、感謝ぐらいはさせてください。昨日はありがとうございました」

「分かったよ。わざわざありがとな」


 顔を近づける由愛に馬皇は上半身をそらして目線をそらす。正直馬皇は今の顔は真っ赤になっていることだろう。


 それをしていると周りのクラスメイト達がニヤニヤしたり怨念のような視線をぶつけてくる。それに由愛も気づいたのか由愛も顔を真っ赤にさせた。


「そ、それじゃあ、真央さんが待ってるので」

「おう」


 お互いに何事もなかったかのように2人は分かれた。


 しかし、2人の先程のやり取りを間近で見ていた友人たちは様々視線を持っていた。


「「「ほほぅ」」」

「……どうしたんだよお前ら気持ちわりぃな」


 3人が向ける顔に何か変なことがあったのかとでもいう風に馬皇は聞いた。目の前でこそこそと洋介と小太郎は何かを言い合っているのを見ると何と言うか落ち着かないのか幸太郎を見る。


「いや。俺は知らないぞ」


 幸太郎の目は面白いものを見たとでもいう様にニヤニヤと笑っているが白々しく知らないフリをする。やがて打ち合わせでも終わったのか小太郎と洋介は嫉妬の籠った言葉を贈る。


「恨めしい‼ 恨めしい‼」


 小太郎はモテる男なんて滅んでしまえとでもいう様な雰囲気であった。


「うらやましい奴め‼」


 洋介も小太郎と同じように羨ましそうに言った。馬皇は再度尋ねると洋介と小太郎は2人が壊れたレコーダーのようにさっきと同じ言葉を繰り返した。見かねた幸太郎は2人の翻訳を始めた。


「翻訳するとこいつらはどうしてお前が最近真田さんや山田さんと仲が良いのか気になっているだとよ」


 真央については完全に誤解だと思い声高らかに言った。


「山田さんはともかく真央については違うからな」


 思いのほか仲を深めていたことに幸太郎は笑みをさらに深める。


「ほうほう。すでに名前を呼び合う仲だと」


 誤解はさらに深まりそうだった。


「「絶対に違う(わ)」」


 自分の席に座っていたはずの真央も一緒になって思わず突っ込んだ。しかし、綺麗に言葉が一致してしまい否定の言葉はことごとく裏目に出ていた。


「おお。綺麗にハモってら。さすが魔王コンビ」

「おい。魔王コンビってなんだ?」


 初めて聞いた言葉に馬皇は洋介たちに聞いた。


「無理矢理だけどお前らの名前がどっちもゴロがまおうってなるから。後はなんとなく? まあ、ぶっちゃけそれでみんな納得したからお前らは魔王コンビだ」

「なんだよ。それ……」


 馬皇はクラス中にそれが浸透していることに怒りよりも呆れの方が出てしまった。真央の方を見るがなんだか納得いかないような顔をしていた。

だが、今は言っても仕方ないだろうと馬皇は判断した。反論していてもその名前を助長するだけだろう。


「うらやましい奴め」


 洋介は再度同じことを言った。


「「「「俺らに出会いがないのはお前のせいだ」」」」


 それに続いて何故かクラスの男子の半分くらいが小太郎に混ざって言った。そして、馬皇を捕まえるために駆け出した。


「なんか増えてる‼ っていうか、それは理不尽だろっ‼ 洋介、後で覚えとけよ。お前ら‼ 近づいてくんな‼ 気持ち悪いわ‼」

「「馬皇許すまじ」」

「うおおおぉぉぉぉぉぉ」


 馬皇は駆け出した男子たちに捕まらないように避けて窓から教室を脱出した。それを小太郎たちも教室の扉からクラスの男子達の一部が追う。あっという間に人がいなくなった教室で真央は呆れつつも助かったと安堵した。


「ほんと、朝から騒がしいわね」

「元気があっていいじゃないですか」


 由愛は今日も元気いっぱいなクラスだなと感心している。そんな天然一歩手前に真央は言った。男子たちが連携して包囲網を作っている声が聞こえる。


「あれを元気でかたずけられても……」


 朝のチャイムが鳴ったと同時に生徒指導の鉄が教室に入ってきた。ちなみに出て行った男子生徒たちはまだ帰って来ていない。


「おはよう。今日は担任の安森先生は諸事情で休みだから俺が代わりに出席を取るぞ。後、さっきななぜ男子は出て行ったんだ?」

「鉄先生。今いない男子たちは負毛君を追っかけて行きました」

「そうか。そいつらは遅刻扱いだな。少し待ってろ。3分くらいで全員捕まえてくる」


 そう言って、鉄も教室から出て他の生徒たちを捕まえに行った。ちなみに、きっちり3分で全員が捕まったことは追記しておく。

明日は中編か後編

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