27話
……間に合わなかった
「ふははははは‼ 待っていたぞ‼」
扉を抜けた先で広い空間に出ると天狩が待ち構えていた。それを見た真央は馬皇に話しかける。
「……ねぇ。なんかすごく既視感あるんだけど。特に四天王とかの関連で」
「確かにあの一本道から最初の部屋に出たらそう言うのがあるかもしれないが全部が全部そう言うのばっかりじゃないだろ? さすがに」
「ふむ。疑問に思うのはいいことだ。サービスとして戦う前に答えてやろう。ここから先はいくつかの部屋があり、そこの主を倒さなければ先に進めない様になっている」
「つまり、あなたは最初の1人目。かませってことね」
真央と馬皇の会話に対して天狩が答える。その答えに真央は容赦なくそう言うと天狩はコントのように転ぶ。
「事実だとしても言ってやるなよ」
「え? なら問題ないじゃない?」
「おい。聞こえているぞ」
真央と馬皇の言葉に反応する天狩。それを無視する形で真央と馬皇は会話を続ける。
「でも、この流れは少しむかつくわ」
「分かるぜ。特に配下を置いて勇者を待つとか、だろ?」
「分かってるじゃない。ついでに言うならその勇者側が私たちって所が特に」
「それについては同意だな」
良いように誘われているという事に真央は不満そうにそう言うとそれに馬皇もうなずく。天狩を無視して盛り上がる馬皇と真央に天狩は不満があるのか会話に割って入る。
「ええい‼ 勝手に話で盛り上がるな‼ コミュニケーションの基本は対話だと教わらなかったのか‼」
「大丈夫だ。聞いてるぜ」
「そうね。聞いてるわよ」
言葉とは裏腹に天狩に対して軽い調子で答える2人。割とどうでも良さ気な態度に天狩はキレかけるがそれを抑えてため息をついた。
「っ‼ ……はぁ。まぁいい。君たち。いや、負毛 馬皇にリベンジをさせてもらいたくてここに立っている。私の宣戦布告を受けてもらおう」
「俺か?」
「ああ。もちろん。約束は守る」
先程とは打って変わって真剣な表情で馬皇を指さした。指名された馬皇は自分を指さして天狩に聞き返すと頭を縦に振った。
「それで喋ってくれるんなら願ってもねぇな。邪魔するなよ」
馬皇はあっさりとそれに乗ると真央が横やりを入れない様に先に言っておく。
「別に手は出さないわよ」
「様式美だ。こっちはいつでも行けるぞ」
「よし。それなら早速しようではないか。変身」
馬皇がそう言うと天狩は白衣のボタンを外す。その下にはベルトがどこかの変身ヒーロー張りのポーズと掛け声と共に量子変換していた赤い伸縮性のとんだスーツが頭以外を覆う。そして胴体、肩、手足の順中止部分から末端に行くように順次黒い金属っぽい素材のアーマーが装着されていく。そして、最後に顔のあるフルフェイスヘルメットのようなマスクで頭を覆い、どこからか生成された赤いマフラーが首元からなびく。3秒ほどで変身を完了させるとポーズを取って親指を自分に向けて紹介を始めた。
「これが私の開発した戦闘用アシストスーツ“赤”を元に改造を重ねて完成させた“RED‐MkⅡ改”だ」
変身後に即座に構える天狩。それを見た真央が目をキラキラとさせて興奮気味に天狩を、見ながら指さす。
「何あれ‼ かっこいいんだけど‼ っていうか欲しいわ‼」
「真央さん‼ 人に対して指さしちゃだめです‼ それにあれは天狩さんのですよ」
天狩の変身に対してヒーローを見た子供のようにはしゃぐ真央を由愛はたしなめる。その反応が嬉しいのか天狩は上機嫌の言った。
「はははははは。そうだろう。そうだろう。かっこいいだろ。私の持てる技術の粋を集めたこのスーツはすごいぞ。機能についてはお楽しみという事で実際に戦っている中で見てくれたまえ」
「うんうん。あなたがそれにどれだけ心血を注いでいたのかがよく分かるわ。馬皇なんかぼこぼこにしちゃいなさい」
「お前。どっちの味方だよ」
天狩の演出や装備が気に入った真央がどちらの味方か分からないような発言をすると馬皇は呆れた様子で言った。それには同意なのか由愛たちも真央に対して少し呆れを含んだ眼で黙って見ている。それに真央は気づかない。
「ふむ。それでは場が盛り上がってきたという事で始めようか‼」
真央の会話での介入があったもののそれも場が盛り上がったで解決すると天狩は構える。
「おう‼ こい‼」
それを見た馬皇も大きな声で応えてから同じように構えた。それが開始の合図なのか天狩と馬皇の姿が消える。一瞬で消えた馬皇たちが次に現れたのは馬皇と天狩のいた位置の中間地点。そこには相打ちでお互いの拳が顔面にめり込んだ2人の姿があった。お互いがお互いの拳を喰らって吹き飛ばされると直ぐに立ち上がる。
「やるな。まさか相打ちとは。あの時とは段違いにパワーアップしてるな」
「そういって貰えると頑張ったかいがある。負毛 馬皇の方こそ前回の時よりも腕力が、いや全身の力が向上しているな」
「おう。これでも成長期なのと鍛えているからな」
「そうか。それでこそ我がライバル。相手にとって不足なしだ」
「……いつの間に俺はお前のライバルになったんだ?」
天狩の言葉に馬皇は頭をかしげた。確かに前に一度戦っているが何度も戦っている訳ではない。それに対して天狩は答える。
「何を言っている。たとえ1度でも拳を交えたのならもうライバルだろ?」
「それもそうだな」
「そうだろう」
天狩の言葉になっとっくしたのかあっさりと意見を翻す馬皇。敵同士ではあるが妙な所で意気投合する。
「楽しくなってきたぜ」
「私もだ」
意見があった所で戦うことには変わらない。戦えることが楽しいのか馬皇は天狩との間に緊張感が走る。が、馬皇も天狩も声は楽しげであった。
そこからは言葉はなかった。お互いに無言のままお互いを見ると同時に突っ込んで行った。
天狩は外骨格で強化された身体能力に加えて随所に火力を増加させるブースターを起動させて要所で加速。馬皇と同程度の身体能力と任意で発動できる機械の不規則な動きで馬皇にダメージを蓄積させていく。
一方で馬皇はそれに呼応するように普段抑えている超人的な身体能力のギアを上げていくことで時には躱し、時には相手の攻撃を受け切り大きなダメージを与えていく。
そんなけん制をしながら天狩は隙を見つけたのか馬皇から見て左下の方から救い上げるように拳を振う。馬皇はそれに気づいているため左手でつかもうとする。が、天狩は拳を振うのに合わせてひじのブースターで加速する。
「なっ‼ ぐぅぅぅあああぁぁぁ‼」
「よしっ‼」
「今度はこっちの番だぁぁぁ‼」
馬皇の予想を超えて急加速かつ不規則な腕の動きに間に合わずに天狩の右がわき腹に拳が突き刺さる。いいのを貰った馬皇はその痛みに耐えながら右こぶしが天狩の顔面を襲う。馬皇の一撃は天狩の顔面に吸い込まれ縦に綺麗な2回転をして吹き飛ばされる。
「どうだ‼」
馬皇は吹き飛ばすと同時に蓄積したダメージで膝をついて叫ぶ。それに呼応するように天狩も倒れ込んでいた所からゆっくりと立ち上がる。
「ぐっ。今のは効いたぞ」
「それにしては余裕だな」
「そちらこそ。本気ではあっても全力ではないんだろ?」
「何を言っている」
「知っているぞ。屋久島君の時の竜と人の合いの子のようなフォルムがあることはな」
ポーズを取りながら馬皇にそう言った。
「あ~。別に隠していたわけじゃないぞ」
「分かっている。今はそれを使う気はない、と」
「そりゃ。今はな」
「そうか。それならばまずは使わせてみせよう」
「やってみろよ」
馬皇はそう言って挑発すると天狩は高らかに宣言する。
「そうか。ならば‼ 見せてやろう‼ アンリミットコード:モード・トライブ」
天狩は解放の言葉を唱えると同時に光に包まれた。
かなり遅れましたが更新です。やりたい放題していますhaimretです。他にも書きたいことのプロット作ってたらこんな時間に。計画性のなさに自己嫌悪中。
いつも読んで下さりありがとうございます。指摘とかブクマとか評価とか感想とかしてくださいますと作者は大歓喜して動力源ととなりますのでよろしくお願いします




