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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第九章 魔王復活編
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15.5話 その4

「あれ?」


 馬皇の部屋の扉を開けた瞬間、目の前の光景に由愛は頭をかしげた。廊下であった。左に2つ右に2つの計4つの扉。部屋を見に来たはずなのに目の前にはさらに扉。謎のテンションであった由愛達が困惑するのも無理なかった。


「なんで部屋の先に部屋があるのよ?」


 部屋の先に部屋があるというマトリョーシカのような状況になんと言っていいのか分からず一緒に見ていたファナが馬皇にたずねる。


「部屋が1つだと物足りないと思って目的別にあるんだよ。真央もやってただろうが?」

「それはそうなんだけど……」


 馬皇がそう言うと真央の部屋も明らかに扉の間隔よりも大きな仕様になっていたことを思い出すが、目の前の状況が状況だけにどういえばいいのか分からずに口を閉ざす。


「ちなみにその先の部屋は4つあるが全部見て周るのか?」

「いいや。さすがにそこまではしねぇよ。作ったのはいいんだがまだ日が浅いからな」


 気まずい空気の中でユメリアがたずねると馬皇は律儀に答える。


「そうか。ちなみに4つの部屋には何があるんだ?」

「おう。聞きたいか?」

「その反応されるといきなり聞きたくなくなるんだが……」

「そうか。聞きたいか。まぁ聞かれなくても喋るんだがな」


 ユメリアの言葉に馬皇は嬉しそうに反応するとユメリアはしまったと言った顔をする。


「まず、左側から説明するぜ。個々から見て左手前が風呂になってる」

「風呂?」


 馬皇は説明を開始すると左手前を指さして言った。日本の賃貸住宅とかにもある様にプライベートな風呂場という部屋と言っては色々と突っ込みどころがあるが、結構まともそうな言葉にユメリアが不思議そうに聞き返す。


「おう。室内や露天、サウナを含めた旅館や銭湯に負けないくらいに広い風呂場だ」

「……ちょっと待ってくれ。お部屋なんだよな? 旅館とかじゃなくて?」

「? 当たり前だろ? この時代のスーパー銭湯とか武闘大会とかで泊まった旅館とか親方から聞いた話とかで俺好みでつくったんだよ。何が良いって人間の状態で入っても問題ないんだが、たまに竜の姿でも入れるように大きめにしたんだ」


 馬皇の最初の説明の時点で眉間にしわを寄せて必死に理解しようとするユメリア。しかし、その理解しようとする姿勢もむなしく馬皇から発信される情報が耳から入ってくるが、そのまま頭にたどり着くどころか別次元へと飛んでいく。


「広いお風呂ね。ちなみにそのお湯とか場所はどうしたのよ? 私はそんな場所は用意した覚えはないんだけど?」

「ああ。創った」

「つくったって。あんた。どこに作ったのよ?」

「世界の境界の先だな。接触しない範囲で何もない所に世界を作りだすのには少し苦労したがな。多分ほっといたら数万年後には生物が誕生してるかもな」

「なんでそんなあっさりと天地創造しちゃってんのよ‼」

「あん。そんな難しいもんじゃねぇだろ?」

「そんな訳ないでしょ‼」


 さらっと天地創造の真似事をこなして見せる馬皇に真央は呆れを含んだ声が上がる。


「あの? 天地創造って?」


 真央の言葉で気になる所が出来た由愛がたずねる。馬皇と真央は一度、言い合いをするのを止めて頭をかしげている由愛に答えた。


「言葉通りよ。このバカ。しれっと世界の1つを作り出してるのよ」

「え?」


 真央の言った事が理解できずに由愛は頭をかしげたまま思わず聞き返す。真央もその説明だけで理解できるとは思っていなかったのか「まぁ、普通に考えてそうなるわよねぇ」と小さくつぶやくと咳払いした。


「こほん。要は何にもない場所に星を創ってるの」

「そうなんですか?」

「おう。俺の魔力と時間と労力で居心地のいい場所だ。基本世界に必要な物は全部用意したし地の底には溶岩もあり潤沢な魔力の地脈が巡ってるから無制限でお湯は沸いてくるし、循環をさせているからお湯が切れたりする心配もない。」

「そうなんですか。すごいです。ところでそのお風呂って私たちが使っても大丈夫なんですか?」

「別にその辺はあらかじめ言ってくれればいつでも使わせてやるよ」

「ありがとうございます。今度使わせてください」


 由愛の言葉に馬皇は気前よく笑顔で返事をする。その答えに由愛も楽しみになのか、お礼を言うと全体的に緩い感じの雰囲気に包まれる。


「由愛ってたまに大物になるよな」

「分かるわ。簡単に言ってるけど普通に無茶苦茶なこと言ってるのに動揺していないわ」

「そんなに簡単な訳ないでしょ」


 馬皇と由愛を見ながら頭が痛そうにこめかみを抑えて話を聞いていたユメリアたちがようやく言葉を出す。


 真央の言っている天地創造とは言い換えれば世界を新しく創りだしたのである。創世の神話で神が世界を作ったのに等しいレベルの行動であった。真央も実際にある空間を繋げたり、切り離したりして似た事は出来るが、そこまでである。間違っても何もない空間から0から作り出した物ではない。


 1つ目の時点で時間をかけ過ぎたのを思い出したのか緩い空気と困惑の空気が入り混じった中で馬皇は軽く咳払いすると説明を再開する。


「おっと。残りの部屋の説明がまだだったな。すまん。次は右手前の部屋だ。右手前は宝物庫だ」

「宝物庫」


 馬皇の言葉に今度はファナが反応して同じ言葉を繰り返す。


「とは言ってもそこにあるお宝は最近手に入れた物ばっかりでそこまでの価値のある物じゃないけどな。それに古い奴とかは年代ごとに複数をいろんな場所に保管している内のダブってる奴の一部だ。だから、多少なくなってもそこまで困らないし部屋自体がこの星くらいだから広いしな」

「なんでそんな規模のをこの部屋の中に作っちゃうのよ? 少なくとも星はデカすぎでしょ」


 ちなみに星つまりは地球とほぼ同程度の規模という言葉にそれは部屋と言っていいのかと言わずにはいられないファナ。そんな言葉を飲み込んで困惑した雰囲気のファナがどうしてそうなってるのか理解できない馬皇はとりあえずいつも通りな感じで補足する。


「普通だろ? そういう場所を作っておかないとすぐに部屋の中がいっぱいになるからな。それにそう言う場所に珠に行かないと落ち着かないんだ。竜の収集癖は酒好きという話と同じで結構有名だと思ったんだが違うのか?」

「そういうこと。確かに竜がいろんな珍しい物を集めるのは聞いたことあるわね。でも、そんなこと言っても良かったの? そういったお宝ってだいたい金銀財宝で狙われたりするじゃない」

「お宝って言っても飾ったり放置しても問題ない物ばかりだ。さすがに監視用に使い魔みたいなのは用意してるが侵入者は見たことないな。それに部屋に入るまでの難易度とそう言ったお宝を持って帰って得る事の出来る利益が見合ってないはずだから問題ないぞ」

「そんなものなのね」

「そんなもんだ。それにお前たちがそういうことする奴らじゃないだろ?」


 馬皇の信頼ともとれる言葉にファナは嬉しいのか軽く笑う。


「ふふ。そうね。なら次の部屋の説明お願い」


 馬皇が言っていることが正しいとは限らないが、その言葉を信じることにするとファナが残りの部屋の説明をたずねる。


「分かった。そんで左側に戻って奥。あそこはリングになってる」

「なんでだ‼」


 こうあまりも部屋というよりも何かの施設に近くなっていく馬皇の言葉にファナと変わる様にユメリアがツッコミを入れる。


「どうした? じゃないだろ‼ 百歩。いや1万歩譲って宝物庫は辛うじていいとしよう。それなのに何で部屋の中に露天風呂のある浴場やリングが設置されてるんだ‼」

「トレーニングできる場所は大事だろ?」

「それこそ私室に作る意味が解らんわ‼」


 いい加減に突っ込みどころのオンパレードに我慢の限界を迎えたのかユメリアはツッコみを続ける。


「まぁ、そこら辺は使いたくなったら、言ってくれればいつでも使ってくれて問題ないだがな」

「スルー‼」


 ユメリアの言葉に対して特に意に介していないのか、スルーすると所以リアは続けて突っ込むと馬皇は言った。


「つってもよ。自由にしていいって言ったらそれくらいするだろうが。真央の奴もハッ茶けてたしな」

「それでも限度はあるわ」

「あれ?」


 馬皇の言葉に所以が呆れた様子でそういうと他のメンバーも真央の言葉に同意なのかうんうんとうなずく。


「まぁ、そこら辺は後で評価すればいいとして、後の1つが見せてくれる部屋なのよね?」

「おう。寝室兼普段使い用の部屋だな。かなり居心地良いぞ。下手すると部屋から出たくなくなるまでありえるくらいだ」

「すごい自信ね」


 馬皇の言葉に真央は馬皇の部屋に興味がそそられる。


「おう。それだけ力入れたからな」

「お手並み拝見ね」

「おう。入れ」


 そう言って馬皇は真央たちを誘導して右手側奥の部屋の扉を開けた。

更新しました。少し風邪気味で喉が痛いhaimretです。馬皇の部屋は分割されていますが、作った世界のなかにありますという蛇足。次回は寝室? です。


それと体調次第ですが次回は更新が遅れるかもしれません。そのときは寛容な心でしょうがないなと思って戴ければありがたいです。


いつも読んで下さりありがとうございます。おかしなところ等あれば指摘、面白ければブクマとか評価とかしてくださりますと作者は大喜びです。これからもよろしくお願いします

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