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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第九章 魔王復活編
272/327

15.5話 その1

「ところで馬皇さんたちのお部屋ってどうなってるんですか?」


 始まりは由愛の何気ない一言であった。


「「俺(私)の部屋?」」


 話し合いを終えて時間までは自由行動という事になり由愛たちにも部屋が与えられるという事を聞いた時に由愛はふと思った事であった。


「1日でこんな部屋を用意できたという事もだが、確かに気になるな」


 由愛の言葉にユメリアも同意する。


「何が気になるんだよ?」

「えっと。やっぱり、その……同い年の友達の部屋って気になります。真央さんの家にも言った事ないですし」


 馬皇がたずねると由愛がおずおずと言った様子でそう言うと馬皇は何とも言えない表情を浮かべ、真央は「そうだっけ?」と言いながら頭をかしげる。


「お父様の部屋は私の部屋。つまり、寝る場所はいつも一緒ですわ」

「いつもじゃないだろ。勝手に部屋に潜り込んできてるだけだろ」

「あんた? サライラと一緒に寝ているの?」

「馬皇さん……」


 サライラが自信満々にそう言うと馬皇がいつもと言った様子でそう答えると失言した事に気が付きうっかりしていたといった様子の顔をする。その答えに真央がたずねると由愛も「本当なんですか?」と捨てられた子犬のような表情を見せて、何とも言えない雰囲気が場を醸し出す。


「あ。いや。それは。間違ってはないんだが……。違うくてな」


 浮気の言い訳をしているみたいに言いよどむとサライラががっかりした様に悲しそうな表情を見せる。


「えっ。お父様一緒に寝てくれないんですの……」

「いや、こそこそとしなければ別にいいぞ。目を覚ました時にいきなり布団の中に居るのが問題なだけで、だな」

「お父様」

「馬皇さん……」

「うっ」


 馬皇がサライラを慰めるようなことを言うとサライラが目を輝かせる。その一方でじっとりとした眼で由愛が馬皇を見ると馬皇はまた、どうすればいいのか分からなくなり言葉が詰まる。


「娘と由愛に好かれてて辛いわね」


 そんな馬皇が戸惑っている姿が面白いのか真央はニヤニヤしながら茶々を入れる。未だに由愛とサライラは馬皇に不満と期待が入り混じった様子の視線を送っているのも含めてウザい感じの真央に我慢の限界をあっさり超えたのか馬皇は声を荒げた。


「ええぃ‼ 部屋ならいつでも見ればいいし、来たいなら来ていい‼ ついでに真央はどっちの部屋がインパクトが強くて、それでいて居心地のいい空間か勝負だ‼」


 由愛たちの欲求に答えつつ誤魔化すように早口で宣誓する。


「望むところよ。1日しか経ってないけど部屋の改造は自由にしていたから吠えずら書かせてやるわ」

「こんな日でもいつものをするのか?」


 馬皇の宣誓に真央が乗る。いつものやり取りになりつつある状況に呆れた様子でユメリアがつぶやく。


「いつもの事じゃない。あれよ。最近この国で覚えた言葉にケンカするほど「「くどい‼」」……まだ言ってないじゃない」


 仲が良いと言おうとした所で最近は定型と化してきた言葉を言おうとした所で馬皇と真央は同時に止める。


「さすがに何度もいろんな奴に言われれば分かるわ‼」

「そうね。いくら何回も言われてるからって言っても止めない訳ないじゃない」


 馬皇と真央は憤慨してそう答えるとずっと聞いていたアストリアが人間っぽい状態のスライムの腕に抱き着きながら言った。


「あ。私とダーリンは先に休ませてもらうわ。真ん中の部屋使ってもいい?」

「いいわよ」

「ありがと。よいしょっと」

「ぴぎっ‼」


 アストリアの質問に真央はあっさりと頭を縦に振るとアストリアはスライムの腕を持ったまま一緒に立ち上がる。ように見せかけてスライムを抱き上げる。スライムはアストリアにいきなり持ち上げられて驚いたような声を上げ逃げ出そうとするが逃げられない。


「ありがと。じゃ。ダーリンとの蜜月を過ごさせてもらうわ」


 そう言ってアストリアは抵抗するスライムに全く気付かない様子で運ぶように抱えながら部屋へと入っていった。部屋が閉まると鍵の閉まる音が聞こえて沈黙が広がった。


『…………』


 さっきまでとは裏腹に何とも言えない雰囲気の上に沈黙が重なった空気であった。一部の者、由愛、ユメリア、ファナ、サライラはこれから行われるであろうと想像できるのか顔を真っ赤にしている。


「……中で何をしてるんだろうな」

「馬皇さん。中でナニってふしだらです」

「なんでだよ……」


 馬皇がそう言うと顔を赤くしていた1人の由愛が呆れた表情でそう言うと馬皇は理不尽だとツッコむ。


「休んでるだけでしょ? それよりも部屋のすごさで勝負するとして審査員は由愛だけでいいの?」


 そんな顔を赤くしている勢とは裏腹に理解していない真央は馬皇の提案に対して至極真面目にたずねる。


「あん。今回は部屋のすごさだ。それだったら審査は人がいた方が良いだろ? ユメリア、ファナ頼めるか?」

「あ、ああ」

「いいわよ」


 ユメリアとファナも停止した正気から戻ってきたのか馬皇の言葉に慌てて頭を縦に振った。


「ありがとうな。由愛もいいな?」

「は、はい」


 馬皇が同意を求めると由愛もそれには異論はないのかうなずく。


「むぅー。ずるいですわ」


 しかし、1人だけ仲間外れになされた者がいた。サライラである。サライラは見るからに不機嫌そうに言った。


「しょうがないだろ。サライラだと審査しようがないだろ。特に俺がいたらどこでもいいまであるだろうが」


 馬皇が言うことがもっともであった。馬皇さえいればいいサライラにとって馬皇の居住スペースそのものが最高得点になる。そうなってしまえば公平性とはなんだったのかと言わんばかりの状態になり、勝負にならないため馬皇はあえて入れなかっただけである


「仲間外れにされたらさすがにサライラさんもすねますよ」


 そんなサライラに由愛は助け船を出す。その言葉に馬皇も納得したのか馬皇はあることを思いついて提案した。


「なら、今回はサライラも審査される側で参加な。サライラもいいか?」

「私もですか?」


 馬皇の提案にサライラは少し戸惑う。


「ああ。サライラの考える最高の部屋を俺も見て見たいな」

「最高の部屋を仕上げますわ。真央‼ どの部屋を使えばいいですの?」

「さっき入ったアストリア達の部屋と左右の端以外はどこでもいいわ」

「お父様の隣へ」

「ここから見て左端があいつの部屋よ。家具とかは専用のアイテムボックスに入れているからそこにあるのであれば好きに使ってもいいわ。ついでに、個人で持ってる物も可よ。私もこいつも適当に作ったり、元々持ってる物を使ったりしているから」

「分かりましたわ。お父様。必ず最高のお部屋をお見せしますわ」


 真央の説明を聞いてサライラはフンスと力強く鼻息をしながら馬皇の部屋の隣へ入っていった。


「なら、先に私とこいつの部屋から見て行きましょうか?」

「だな。しばらくかかりそうだしな。一応、メモ書きくらいは置いて行くか?」

「そうね。どっちかの部屋にいるか分からないのは少し困るわよね」

「そうだな。結構広いしな」

「いったいどんな部屋なんだ……」


 サライラが入っていくのを確認した後、真央がそう提案すると馬皇もうなずく。馬皇たちの言葉にそこはかとなく何かを感じ取るユメリア。いったいどんな部屋を見せられるのかたまらなく不安になってくる。


「それなら最初は私ね」

「いや、そこは俺だろ」

「あら? 最初よりも後の方が有利よ?」

「そう言って最初の強いインパクトで後の印象はほとんどなかったにしようと考えてるだろ?」

「あんたも同じこと考えてるじゃない」

「そうだな。少なくともあそこまで露骨じゃないけどな」


 真央の思考を読みとった馬皇がそう言うと真央は舌打ちする。


「ちっ。なら、恒例のじゃんけんで決めましょう」

「いつ恒例になったんだ? 別にいいけどな」

「「じゃんけん、ぽん‼」」


 馬皇と真央は先手を取るべく両者は手を出した。

思ったよりも長くなってますが息抜き回。割と書きやすいぃぃぃ。という事で更新しました。


いつも読んで下さりありがとうございます。おかしなところ等あれば指摘、面白ければブクマとか評価したりしてくださいますとテンションが上がるのでこれからもよろしくお願いします

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