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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第九章 魔王復活編
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13話

 馬皇の後に続くように中に入って由愛が一番最初に見たのは少し広いが一般的な現代建物の中であった。インテリアなどはないが出入りがしやすいように設計されている広い玄関。少し先には段差があり、その先にも部屋があるのか扉がある。後ろを振り向いてみると玄関の入口が開いており、そこからユメリアたちも入って来てユメリアたちも同じように呆気に取られる。


「すぐそこが共用のスペースになってるからそこで話だ。あの場にいた全員が一緒に入れるくらいは広いが、窮屈だからな」

「ちょっと。私が家主なんだから説明とか案内とか私にさせてよ」

「おお。そうか。すまんかったな。なら頼むぜ」


 馬皇はそう言うと真央が不満そうに寄って行くと馬皇に言った。馬皇はその事にはそこまで苛立ちを覚えていないのかそのまま真央に主導権を渡すと真央は振り向いてから説明を再開する。


「ふふん。当然よ。全員入ってきたらこの部屋の構造から成り立ちまでしっかり説明してあげるわ。でも、あいつの言う通りここで話をしても狭いだけだからゆったりできる奥の共用スペースに行きましょう。そこで説明とこれからのことね」

「説明の方はほどほどにな。さすがに作業に並行して2日間休みなく喋りつづけるみたいなことはするなよ。念話まで使って頭に直接語りかけてくるとか」

「さ‼ さすがにそこまでは由愛にはしないわよ‼」


 まるで恋人みたいに構って欲しいように聞こえる馬皇の指摘に真央は顔を赤らめて言い返す。


「俺ならいいのかよ……」

「何言ってるのよ? その程度だったら何も問題ないでしょ?」


 馬皇がそう言うと真央は頭をかしげる。「なんでそんなことを聞いてるの?」と言った様子の真央に馬皇も何とも言い難い表情を作る。


「さすがに今は人間だから眠い時は眠いんだよ。1日2日じゃ支障はなくてもきついもんはきつい」

「そうなの。私は平気よ」

「自分の趣味の範囲ならだろ?」

「よく分かったわね」


 さすがにそこら辺はよく分かっているのか馬皇がそう言うと真央は「良く分かってるわね」と言わんばかりに感心した様子であった。そこには、はかとなくマッドな雰囲気を醸し出している。


「と、ところでこの先は靴を脱ぐのか? これは秘密基地みたいでワクワクするな」


 2人の会話に割り込むようにユメリアが見当違いなことをたずねる。そわそわとした様子で好奇心が抑えきれないのか早く中を見て見たいと表情に出ている。そんなユメリアの様子にファナが呆れた様子で反応した。


「ユメリア。そういうのは後にしてちょうだい」

「分かっている」

「なら。早く。もう馬皇たちは先に行ってるわよ」


 ユメリアはファナの言葉に分かり易いくらい目に見えてしょんぼりする。ファナはそこに少しだけ罪悪感を覚えるが、真央たちが先に上がっているのを見てユメリアを急かす。ユメリアもさすがに置き去りにされるのは嫌なのか真央たちに着いて行き廊下の扉を開く。


「わぁ」

「おぉ」

「あれね。別荘に似ているわ」


 部屋を開くと開放感のある部屋であった。部屋のすぐ近くには机が2つといすが8つ。大きな机を囲うように椅子があり、その奥にはソファとソファの高さに合わせた机が鎮座している。さらにその先には階段があり上と下には複数の扉があるのが見える。入ってすぐの横手にはキッチンらしき場所がありその奥にもどこかに続いている廊下があるが分かる。


「基本的にはこの居間が共用スペースね。その奥のは個人の部屋よ。プライベートには気を使ったから部屋の内側からは鍵を掛けられるわ」

「お泊りしても楽しそうですね」

「そうね。騒動が終わったらここで女子会を開くのもいいわね」

「楽しみです」

「さてと。部屋の事は後で説明やらルールやらの細かいことは後でするとしてまずは話し合いをするわよ。適当に座ってちょうだい」


 真央はひとしきり由愛との雑談を終えると切り替えるように居間の席に座ることを促す。各々が来た順番に座っていき、全員が座り終えると真央が話を切り出した。


「座り終えたわね。それじゃあ、今の状況を教えて。馬皇から」

「俺からかよ。まぁいいけどな。皆月を追って逃げた先が由愛たちのいる場所だった。それでこいつを奪われた。由愛」

「はい」


 馬皇が説明を始めて由愛に指示を出すと由愛は箱の中から回収した鉱石を机の上に出す。


「あぁ。これね」

「あ。それは素手で触ると‼」


 真央は躊躇いなく由愛の正面にある鉱石を素手で持とうとすると由愛は慌てる。


「大丈夫よ。ほら」

「あれ?」


 ユメリアの時は思い切り魔力を吸われて倒れ込んでいたはずなのに真央は普通に持っていた。そのことに頭をかしげる由愛。


「どうなってるんだ?」

「そうね。どんなからくりがあるのかしら?」


 由愛と同じように目の前の事に頭をかしげるユメリアとファナ。真央はその様子が少し楽しいのか自慢げに説明を始める。


「この鉱石は魔石と呼ばれていてね。ファナは知っているでしょ?」

「ええ。名前だけは。ただ、それは魔物の持ってる器官の1つでしょ? でも、そもそも魔大型の魔物がごくまれに持っているだけで自然発生する者じゃないはずよ。それに私たちが知っている魔石は魔力を吸ったりしないわ」


 真央がたずねるとファナは覚えていることを答える。その答えに真央は満足したのか大きくうなずく。


「正解よ。魔力を持つ動物。魔物は必ず持ってるものなんだけど、例外は存在するわ。稀に魔力の濃い場所で自然発生するの。とは言ってもそう言う場所は空の魔石が人間はおろか、並の魔族や、同じ魔物ですら根こそぎ魔力を吸いあげるから近づくだけ死に至る場所でもあるけど」

「そんな場所に案内したのか?」


 真央の説目にユメリアは冷や汗と同時に静かな怒りを含んだ声がでる。その様子に真央は涼しい顔をして答える。


「あの場所は特別だったのよ。あの巨人(ユミル)と何かが干渉しあったのは分かったんだけど、他の原因が分からなくてね。一応、魔力は他の土地とは桁違いに豊富だったから魔力が触れない限りは問題ないわ」

「つまりこの資源を狙っていたと?」

「ええ。ただ、ある場所までははっきり言って分からなかったから後回しにしていたの。今回はそこを利用されちゃったみたいだけどね。まさか、相手の方が場所を知ってるなんて思っても見なかったわ」


 教室のような休憩場所を思い出すユメリア。あの場所がその魔石を探すためであったのは間違いないのだが、それでも安全な場所を案内しながら目的の物がある場所誘導してから奪い取ろうとする相手に戦慄するしかなかった。


「ちなみに魔物相手だとどれくらいの相手だったらそのサイズの魔石があるのかしら?」


 ユメリアが呆然としている間にファナが新しく質問する。


「うん。いい質問ね。そもそも弱い魔物だと持ってないわ。それなりに強くて……そうね。通常の10mクラスのドラゴンレベルで初めて直径5mmくらいかしら」

「果てしないわね」


 ファナはその話を聞いて何とも言えない表情をする。リーングランデの火山や山中深くに生息している魔物の生態系の中でも地球でも話にすら存在しているくらい有名な魔物ですら1cmにも満たないのである。そう考えればいったいどれだけの値がつくのか想像が出来ず天井を見上げるファナ。それに代わる様に再びユメリアがたずねた。


「敵の目的はそれの回収なのは分かったが、どうして我たちに見つけさせたのだ?」

「それについては想像できるわ。採掘する手段が無かったんでしょうね。普通に削るだけでも専用のが必要だし。あれ自体は魔法どころか異能も掻き消しちゃうものだからね。持って行くことに関してはあの皆月の組織の技術があればが出来ないはずがないのは実際に見たから分かると思うけど採掘に関しては下手に劣化させずにというのが難しかったんでしょうね」

「それならば我たちの箱を奪えばよかったのでは?」

「そこはロックかけてたのよ。本人以外には使えない様に」

「それでそんなに回りくどいことをしていたのか……」

「しかも、時間に関してもかなり余裕を持っていた。つまり、あの空間内での時間の流れを把握していた可能性があるわ」


 真央がそう言うとユメリアたちの顔が曇る。ランダムに時間の流れが変わるというのに相手は知っている。訳が分からなくなる状況であった。


「それなんだが、俺はその理由を知っている」


 その事で何を聞けばいいのか分からなくなると馬皇が口を開いた。

読み返して致命的な書き間違いしてて9話を本当に少しですが修正しました。矛盾しないって長くなればなるほど難しい。


今回は馬皇たちの秘密基地その3です。その1は洞窟内の教室モドキ。その2はアストリアのいた拠点です。説明会が長くなりますが次回は敵があそこまで先回りされていた点について書いていく予定。それが終わればWCAとの戦闘に突入します。


いつもながらの読んで下さりありがとうございます。ブクマとか評価とか感想などしてくださいますとテンションが上がり、喜びで駆けまわるレベルで書く気力がわきますのでよろしくお願いします。

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