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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第九章 魔王復活編
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4話

少し遅れましたが更新です。帰りが遅くなると時間通りにするのが難しい。

 由愛の案内でユメリアたちがたどり着いた先に連れてきた由愛を含めて全員が頭をかしげる。行き止まりであった。辺りを見回してみるが空間の穴ような物もなく崩落したという様子でもない。純粋にここで洞窟は途切れている様であった。


「この先だそうですよ?」

「行き止まり? というよりなんで疑問形?」

「本当に先があるの?」

「えっと。はい。「行き止まりの道をそのまま真っ直ぐ」だそうです」

「本当に?」

「そう言ってます」

「本当に?」

「はい。そうらしいです。それだったら先に私が行きましょうか?」


 ファナは由愛に2度たずねる。由愛もそれに苦笑しながらも真面目に答えると由愛が先頭に立つ。が、それはユメリアに止められる。


「ええい‼ まどろっこしい‼ 我がやる‼」


 ファナと由愛のやり取りが面倒くさくなったのかユメリアはそう言うと由愛と入れ替わる様に前に立って行き止まりに向かって進む。壁の目の前に立つと袖から薙刀を取り出してゆっくりと突き出すと抵抗もなく壁を通り抜けた。


「この先があるみたいだな。抵抗がない」


 ユメリアはそう言って薙刀を袖に戻すと今度は手を入れてみる。何もないことを確認すると今度は頭を入れてから壁の先に足を踏み入れる。それをしばらく呆然と見たファナは何とも言えない表情をする。


「……通れたわね」

「だから、言ったじゃないですか」


 ファナの言葉に信じてもらえなかった由愛は少しむくれる。それがおかしかったのかファナは由愛を見てくすりと笑った。


「ふふ。普通は信じられないわよ。それにしてもユメリア奥に進んで行ったのはいいけど遅いわね。覗き込むだけだったら時間はかからないわよね?」


 ユメリアが入り込んでから数十秒しか経っていないが、ファナは心配なのか行き止まりの先をチラチラと見て言った。


「呼んだか?」

「きゃあああぁぁぁ‼」


 ファナの声が届いているのか壁からではなく手前の地面から頭だけ出すユメリア。ファナは叫び声を上げる。


「む。我を呼んだのに悲鳴を上げるとは失礼だな。それにしてもやけに視線が低いな」

「あの。地面からユメリアさんの生首が生えてるようにしか見えないのでそれで叫んだんだと思いますよ」

「なんと‼」


 ファナの叫び声が少し気に入らないのか不機嫌そうにするユメリアであったが、由愛が指摘すると自分の状況に気が付く。


「変ですわね。さっきは普通に壁から入っていったのにどうして下から出てきたんですの? それとその先は安全なのかしら?」


 それが気になってしょうがなかったのか先程までずっと黙っていたサライラが頭をかしげながらユメリアを見る。サライラの言葉に本来の目的を思い出したのかユメリアは言った。


「あ。この先は特に魔物とかも居なかったぞ。安全だ。それと中は面白いことになってるぞ」

「……それは先に言いなさいよ」


 叫び声をあげたファナは恥ずかしかったのか顔は真っ赤にして体を震わせる。自分が躊躇ったせいで今の状況が生まれているため怒るに怒れないのか声を震わせてユメリアの首を蹴りあげたい衝動を抑えているためである。


「少し待ってろ。案内する」


 そう言い残すとユメリアの頭はまた地面に沈み込む。少しすると先程と同じように壁からユメリアが出てきた。


「待たせたな」

「待ってないわよ。てか、なんでさっきの場所から入らないのよ?」

「それについては少々面倒でな。入ったらわかる」

「それにしてもさっきあなたが頭出してたところを踏み抜いてるのにどうして沈まないの?」

「それは落ちない様にそこの扉を閉めただけだ」

「……扉って。その先はどうなってるのよ?」


 ファナの疑問にユメリアはそう答えるとニヤリ笑みを浮かべた。そして、ファナの手を引いた。


「着いてくれば分かる。行こう」

「ちょっ、ちょっと‼」

「私たちも行きましょうか?」

「そうですね」


 ファナは覚悟が決まらないままユメリアに引っ張られるとそのまま壁の奥に消える。その様子に由愛とサライラは一瞬呆然とするが、すぐに正気に戻ってユメリアたちの抜けた道を同じように通り抜けた。


「うわぁ」

「どうなってるの?」

「私たちは洞窟の中にいたんですわよね?」


 壁の先に入って見た光景に次々に疑問の声が漏れる。


 さっきまでは洞窟らしい暗く足場の不安定な場所にいたはずなのに入った瞬間に見えた光景は学校の教室に似た個室であった。窓の先は真っ暗で何も見えないが頭上の蛍光灯は着いており暗さを感じさせない。よく見るとプロジェクターがあり奥の方にはスクリーンが降りている。正面には黒板があり、その前には教壇。そして、学校にあるような机がぉあつらえた様に4つ。


「座ったらいいんでしょうか?」

「多分そうなんじゃないか? 我にはそうしろって言ってるようにしか見えん。それとファナに言っておくが、さっき頭を出したときの扉は入ってきたところじゃなくて反対側のあの扉だ」


 目の前にある状況に由愛が最初に口を出してユメリアが同意する。ユメリアは思い出したようにファナにそう伝えた。そんな様子にファナがまだ受け入れられないのか呆れた様にボケる2人にツッコミを入れる。


「無駄な説明ありがとうね。それよりもなんで洞窟の中に教室があるのかツッコミなさいよ」

「……」

「……何してるのよ?」


 周囲を見るとユメリアたちとは別に何かを探すように机や黒板の周辺の臭いを嗅いでいるサライラを見かけるファナ。それが気になったファナが聞きたくはないが一応聞いておかないとと言った義務感だけでサライラにたずねていた。


「微かにお父様の臭いを感じますわ。この席‼」


 サライラは指さした席に座ってから全身で感じるように伸びる。その姿は居眠りをするために突っ伏しているようにしか見えない。そんなサライラにもうどう声を掛ければいいのか分からなくなるファナ。


「ファナさん。とりあえず座ったらいいそうですよ」

「……」


 サライラの隣を見るとすでに由愛とユメリアも席についていた。いつの間にか取り残されたファナは何も言えなくなり同じように座る。ファナが座るとプロジェクターが起動する。最初に映し出されたのはどアップになった誰かの目だった。


「ちゃんと映ってるわよね?」

「もう接続した。近すぎて多分見えてないと思うぞ? カメラおいてこっちこい」

「え? あ。本当だ。カメラのレンズが動いてるわ」


 映し出された光景は真央の目であった。真央はカメラをちょうどいい位置に置きなおすと馬皇とアストリアのいる場所にまで戻ると何事もなかったかのようにカメラの先にいる由愛たちに向かって話しはじめた。


「みんな聞こえているかしら」

「はい。真央さん」

「うん。由愛もありがとうね。ちょっと面倒だけどテレビ電話形式の魔道具を作ってて良かったわ」


 由愛がそう答えると真央は嬉しそうにうんうんとうなずく。完全に着いて行けない状況にユメリアたちは困惑する。


「それで、だ。いきなりであるが、あんな変な手紙をよこしたのとここに呼び出した理由を教えてくれ」

「理由ね。まずは安否の確認。ここでこの時間であれば時間に関係なく特定の時間の私たちとつながるからよ。恐らく今のあなたたちの時間の私たちは何かをしているはずよ」


 ユメリアの質問に対して真央が答える。その内容が理解できないのかユメリアに続いて今度はファナがたずねる。


「それはどういう意味?」

「んー。そうねぇ。簡単に言えば私たちにとっては未来で、あなた達にとっては過去の私たちと会話してるっていえばわかるかしら?」

「え?」

「その空間はある意味で結構特殊でね。時間の流れや空間が色々とつながってるのは知ってるわよね?」

「確かサライラさんがそんなことを言っていたような。時間と空間がちぐはぐで安定してないって……」

「ええ。それね。一応は由愛を通して話は聞いていたからそれで合ってるわ。その場所については私と馬皇で調べたことがあってね。その時に使う時があると思って作っておいたの。外にも声は届かないけど、外からの声は聞超えるようにしてるわ。ただ、他の空間との繋がりとかがあって、条件をそれなりに絞り込まないと安定しなかったから創造主である私と馬皇と招き入れた相手だけしか入れなくなっちゃったんだけどね。まぁ、それは秘密基地ってことで」

「……いつの間に。それよりもいくつ用意してるのよ」


 いつの間にかそんなことをしていた馬皇と真央に由愛たちは呆然とする。割とやりたい放題している2人であるが、ここは極めつけであった。ファナがつぶやくがそれは無視して真央は話を続ける。


「まぁ、そんな訳でセーフティーゾーンだっけ? としても使えるようにしているから魔物も招かない限りは入ってこないわ。それと忘れていたけど追手とかこそこそしてる奴らに聞かれないようにするためよ。追ってきた奴らも今頃は苦労しているでしょうね。時間も空間も滅茶苦茶で何人かは戻れないわ」


 真央はにっこりしてそう言うとユメリアとファナはぞっとする。サライラも魔物を殲滅しながら1週間ほどさ迷っていたという話と統合すると空恐ろしい事実しか出てこない。


「まぁ、要は囮ね。とは言ってもついでに知り合いの周りをうろついている害虫を払っただけ。本題はこれからね」

「原因としては前にここで倒した巨人の事を覚えているかしら?」

「ユミルでしたっけ?」

「そうですわね。確かそんな名前でしたわ」


 由愛がそう答えると横にいたサライラがうなずく。


「巨人? そんなのまでこの世界にいるの?」

「はい。とても大きかったです」

「そう言う事じゃなくて、巨人は基本的に気性の荒い存在や厄介な性質を持つのが多いから討伐は必至。そんなのほほんとしている状況じゃなかったでしょう」

「その時は馬皇さんたちと鉄先生たちがいましたから」

「もう。いったいどれだけの事をやらかしてるのよ……」


 これで何度目かになる衝撃に小さくファナは頭を抱えてそう呟くがそれが聞かれることはなく真央はそのまま話を戻す。


「話をつづけるわよ。そのユミルで合ってるわ。あの戦いの後、ユミルは確かに死んだわ。だけど、その死体から流れた血や肉の一部がしみ込んだ大地がこっちの世界と同期したの。それが結晶化して今この辺りで取れる鉱石の正体よ。それでね。あなた達にお願いしたいのはな結晶化したのの中から純度の高いのを探してほしいの」

「「「無理 (です)‼」」」


 真央は腕を組んでからそう言うとサライラを除く由愛たちは即答した。

真央たちとの再会(画面越し)と無茶振り? です。馬皇は繋げた端末を見ながら画面の調整&魔力供給中なのであんまり喋ってません。アストリアも魔力供給していますが馬皇と真央ほど余裕はないのか喋れていないだけです。


読みやすいと文量を多くを両立できているか不安ではありますが、いつも読んで下さりありがとうございます。ブクマとか評価とか感想などしてくださいますとテンションが上がり、狂喜乱舞してからかけまわるのでよろしくお願いします。

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