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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第九章 魔王復活編
256/327

プロローグ

少し早めに更新です。新章突入。とはいっても前回の章の続きですのであまり新章の感じがしない。

 鉄に手紙を渡した翌日の朝。


 穏やかな陽射しと目覚ましのアラームの音に由愛は目を覚ました。いつものように朝食を終えて食器を台所に置いてから、部屋に戻って今日のために準備した物を確認する。


「……ふぁ」


 あくびをしながらも由愛は準備を終えると充電のために部屋に置いていたスマホを見る。馬皇たちと別れて1日しか経っていないが、連絡が来ていないか確認する。


 着信はまだないようだった。そのことに少し落胆しながらも由愛は昨日あったことを思い返す。


―――----------------------------------


「『2週間後に落ち合おう』か。全く。あいつらは進路調査を何だとおもってるんだ?」

 進路調査票を確認鉄が最後の部分を読み上げると頭をかしげる。世界の中心と書いているのに由愛やユメリアも意図が分からず同じように頭をかしげた。

「あ」

「サライラさん?」

「世界の中心っていったら、お母様の眠っている場所」

「そうか。あの場所か」

「あそこですか?」


 サライラの言葉に由愛とユメリアは地下世界の中心に存在する馬皇たちの縁のある地を思い浮かべる。


「あの城はお父様と昔住んでいた場所ですし、まずあそこに踏み入れようと思ったら普通だったら不可能ですわ」

「そうだな‼ 確かに、あそこなら我たちしか知らないはずだから隠れるには打ってつけだな」

「でも、どうやって行くんですか? 真央さんも馬皇さんも居ない状態だったら実質行けるのはサライラさんくらいしか」

「むぅ。確かに……」

「すまないが説明してくれ。言っていることが分からん」


 由愛の指摘で行く手段が無い事に気が付くとユメリアが何とも言えない表情になる。


一方で話の見えてこない鉄がたずねる。そういえば説明したことのないという事を思い出すユメリアは簡単に説明をする。


「そういえば、鉄先生には言ってなかったな。どうにも我の国のとある場所が馬皇とサライラの縁のある場所みたいでな。その場所がアマノハラにある。詳しいことは言えないが、まずあの場所なら誰も来ない。というかこれないだろうな」

「つまり、そこで2週間後に一度落ち合うという事か」

「ああ。そう言う意味だろうな。ただ、普通に考えたら生物が普通に向かえる場所じゃないから第一希望を考えた方が安全だな」

「そこまで危険なのか?」

「摂氏何千度の熱量の中に飛び込むことが危険でないなら問題ないな」

「悪かった。さすがに俺でもそんな温度の中などは無理だな。数分なら大丈夫だが再生が追い付かんで燃え尽きるだろう」


 さすがに鉄もそんな場所では生きていけないのかそう答える。ユメリアは一瞬でもその中で問題なく生きれるという言葉に鉄から少し引く。


「そういえばファナさんは真央さんと同じ世界の人ですよね」

「無理よ。確かに環境適用の魔法はあるわ。でも、その魔法はそこまで極端な環境には対応してないわ」

「ですよねぇ。真央さん色々使ってますけど、他の人が使ってるの見たことないです」

ファナは由愛が言い終わる前に答える。その答えを予想していたのかため息をつく由愛。

「考えれば考えるほど今はどうしようもないわ。それなら第1希望はどうかしら?」

「魔王復活ですか?」


 答えの出ない状態にファナはもう1つの方を話題にあげる。


「復活って言われても心当たりがないです」


 しばらく由愛も考えるが本当に心当たりがないのかそう答える。


「復活ということになりますと私が感じとったのは去年ですわね。その時に何かありまして?」

「そうなると我やファナはは分からんな。由愛と鉄先生。何かないか?」

「何かありましたっけ? 確か、近くの大学が爆発した事故があったような……」

「それだ‼」


 由愛の言葉に思い当たる節があるのか鉄が声をあげた。突然の声に考えていた由愛が驚いて硬直する。


「おお。すまん。山田さん」

「い、いえ。それで鉄先生。何かあったんですか?」

「そうだった。そうだった。去年の爆発は誘拐事件があった」

「穏やかじゃないわね」


 鉄の言葉にファナが答える。この世界に来て日は浅いが、魔物も対策されており、魔物避けの魔道具に関してはリーングランデに持って帰って調べてから利用したいくらいに便利である。その上、野盗なども元の世界に比べて圧倒的に少ない。そんな治安の良い場所で誘拐となれば確かに穏やかではない。


「……確か、若返り。肉体の遡行の実験でしたわね」

「どうしてそれを知っている?」


 サライラがつぶやく。鉄もサライラが詳しい内情を知っていることに不審な顔をする。


「ケイスケを探すときに見つけた資料に書かれていましたわ」

「そう言えばそれらの資料を事態が終わった後に馬皇たちから渡されたな。その時か?」

「ええ。とは言ってもこれを知っているのはお父様と真央、私に由愛、ケイスケだけですわ」

「そうか。ならいい。お前たちなら必要な事態以外では口を割らないからな」

「信用して下さって嬉しいですわ」

「お前たちとはそれなりに濃い時間を過ごしているからな」


 サライラの言葉に鉄がそう言うとサライラはくすりと笑う。それを見た鉄も同じように笑みを浮かべると直ぐに表情を引き締める。


「話を戻すぞ。その時に馬皇と真央がその実験の品で生まれる前まで戻された。本来であれば生まれる前など存在しないのと一緒だが、あいつらは面影はあるが明らかに違う姿になってな」

「それで戦いになったと」

「よく分かったな。正確にはその前に薬の効果が切れてうやむやになったがそれでもその施設は消し飛んだ」

「その頃から変わらずか……」


 色々と滅茶苦茶している馬皇と真央にユメリアは自分の都市での戦いを思い出して口に出すと鉄が感心するように答える。その答えに割と相変わらずである事を悟るとユメリアは苦笑する。


「ああ。話は長くなったが、大葉大その実験場跡地に一度行ってみるのが良いだろうな」

「そうですね。もしかしたら本人たちがいるかもしれないですし、居なくても手掛かりがあればいいかなと。それに調べる情報について何も聞いてないですし」

「そういえばそうだな。うっかりしていた」

「そうですわね。それなら早速」


 サライラはそのまま生徒指導室の窓を開けて飛び出そうとする。が、鉄がサライラの肩を掴んで止める。


「何ですの? 私としてはさっさと行きたいのですが?」

「一応、授業のある日だ。授業は受けてくれ」

「えぇ」


 鉄がそう言うとサライラはあからさまに嫌そうな顔をする。


「さすがに教師としては見過ごせないし、派手に動くのは馬皇たちの迷惑になるかもしれないぞ。俺もさすがに学校がある日は学校から離れるのは難しい。それに由愛たちから離れるのは狙ってくださいと言ってるようなものだから慎重に動いた方が良いだろう。話までは聞かれてないが、ずっと監視されてるしな」


 鉄の監視されているという言葉にサライラが窓の外を睨みつけた。鉄の言われて初めて監視がいたことに気が付くが既に睨みつけた先には人の姿はなく、サライラは悔しそうな顔をする。


「……気づきませんでしたわ」

「だろうな。相当なベテランなのかいると踏んで探さないと見つけられなかったからな。それで、だ。サライラさんはどうしたい? 危険を冒して今日にするか? それとも万全を期して明日にするか?」


 鉄は選択肢を用意する。どう考えてもそれしかないと言った表情でサライラは言った。


「ぶぅ。分かりましたわ。明日にしますわ。それと今日の夜は私が囮になっていくつかの監視を排除しますけどいいですわよね?」

「ほどほどにな。さすがに1人にさせるのは危ないから俺も手伝おう」

「よろしくお願いしますわ」


----------------------------------―――


 そんな事を思い出して由愛はふと時間を見る。


「あ。いけない。もう時間」


 ユメリアと一緒に出る時間になっていて、荷物を持った由愛は慌てて部屋を出ようと扉を開けるとユメリアが待ち構えていた。


「由愛。準備は出来たか?」


 ユメリアは楽しそうにたずねる。


「すいません。少し考え事してたらおくれちゃいました」

「そうか。時間になっても来ないからそっと部屋に入って背中から襲い掛かるつもりだったんだが。残念だ」

「……止めてくださいよ」


 心底残念そうにユメリアが答えると由愛はそうならなかったことにほっと息をつく。そんなやり取りをしてから玄関で靴を履きかえると由愛の母が見送りに来た。


「それじゃあ。行ってきます」

「では行ってくる」


 同時にそう答える由愛とユメリア。そんな訳で泊まり込む荷物を持って由愛とユメリアは目的の場所に向かおうとしていた。両親には友達の家に遊びに行くついでにお泊りするという事は説明している。


「気を付けるのよ」

「分かってるよ。お母さん」

「それならいいんだけど、最近は物騒だから……」


 由愛の母は心配そうに言った。


「わかってるよ。ファナさんたちもいるし、鉄先生もいるから」

「それならいいんだけど」


 由愛はその話を聞いて苦笑する。鉄から聞いた話であるが由愛たちが関わった柳瀬宗次朗がいなくなった途端に活発になっていた。売り場や売屋をハンターや鉄たち互助会、警察などが片っ端から捕縛、逮捕などを行っているが減る様子はない。


「我もいるから安心するがいい。絶対に守って見せる」

「ユメリアちゃんも気を付けてね」

「わかっている。由愛のご母堂も気を付けるのだぞ」

「はいはい。私はお父さんとがいるから大丈夫よ。それに狙ってる子がいるんでしょ? それなら積極的にいきなさい。そうすればうまくいくわ。私とお父さんの出会いも―」

「もう‼ のろけ話はもういいから‼」

「あらあら」


 由愛は何度も聞かされたのろけ話を聞かされそうになり嫌そうな顔をする。由愛の母はそんなに気にしていないのか穏やかに表情で娘と娘そっくりの留学生を見送る。


 由愛はユメリアの背を押して、急ぎ足で家を飛び出した。

 最初と終わりにもっと力を入れて書いて読者と自分のハートをつかみたいと考えるhaimretです。少し前の章の回想を含めて進路調査票の説明から入ってます。


 余計なことかもしれませんが、一応はこの章と次の章で全体の完結を予定しています。ついでに新しい作品の設定とかも並行しています。


 こういってはあれですが、楽しくは書いてますがここまで来てちゃんと読み物になっているか不安になっています。ですが、楽しんで読んでもらえればと思います。おかしいところ等あれば指摘して下さるとありがたいです。


 それといつも読んで下さりありがとうございます。ブクマとか評価とか感想などしてくださいますとテンションが上がり作者自体がキャラ崩壊するくらい喜びますのでこれからもよろしくお願いします。

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