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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第八章 3年生と留学生と将来と
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23話

 そこからの馬皇と真央の行動は速かった。馬皇はまっすぐに大暴れする宗次朗の懐に入り込み跳び込んだ。


「うおぉぉぉぉぉぉ‼」


 宗次朗の攻撃を受けながらもそれを無視して宗次朗の顔面に拳を繰り出す馬皇。拳が宗次朗にクリーンヒットすると空中で1回転してからマンションの壁をぶち抜いて宗次朗は外へと弾き飛ばされる。その後を追う形で開けた穴から馬皇が線越して飛び出していく。


「ハハハはははhahahaはハ‼」


 マンションの最上階から飛び降りた馬皇は勢い良く着地すると先に追い出された宗次朗が馬皇の硬直しているタイミングを見計らって奇声をあげて襲い掛かる。馬皇もそれに反応するがまだ回復しきっていなかったのか馬皇の動きが一瞬止まる。


「ひれ伏せ」


 しかし、それは真央の声によってさえぎられる。同じように上空から飛び降りてきた真央が上から風の魔法で押しつぶしたのであった。馬皇の荒々しい着地とは対照的に軽やかに重力を無視したような着地すると危なっかしい馬皇に対して文句を言った。


「もう少し考えてから行動しなさいよ‼」

「わりぃ。俺らがいるのに途中から視線がアストリアと由愛の方を向いてたから腹が立ってな」

「それは確かに少しむかつくわね。私たちがいるのに他の所に目が行くなんて確かに許せないわ」

「だろ?」

「でも、それはそれよ。あんた不意打ちで腹に穴空いたんでしょうが‼ もっと自分の体位大切にしなさいよ‼ 心配する子もいるんだからね‼」

「すまん」


 真央は馬皇に注意する。馬皇もそこまで言われるとさすがに素直に謝る。それを聞いた真央は不機嫌ながらもそれを受け入れる。


「それでだ? あれを見てどう思う?」

「どうも何も恐らくゾンビとかの類のあれよ。しかも、再生できるタイプ」


 真央に言われてから見て馬皇は納得する。眉間には穴が開いたまま。虚ろな瞳に肌の色は生きているような赤みはない。腕は馬皇の脇腹を貫通させた時と変わらない腕に治っていた。


「上空に吹き飛ばしてから焼き払うか?」

「それが一番楽かもね」

「決まりだな。俺が出来る限り削るから準備ができ次第合図くれ。上空に飛ばす」

「これを消すにのにそんな時間はいらないわ。私が合わせるから好きなタイミングで打ち上げなさい」

「おう。とどめ任せたぜ」

「あんたこそ。しくじるんじゃないわよ」


 馬皇と真央は攻めてこない宗次朗しながら計画を決めると実行を開始する。


 馬皇たちと宗次朗がお互いににらみ合っている間で最初に動いたのは馬皇であった。馬皇は最初と変わらず真っ直ぐ接近すると宗次朗と腕の取っ組み合いになる。


「おお‼ 力あるな。いや、これはリミッターが外れてるだけか」


 力比べを始める馬皇と宗次朗。馬皇の予想よりも力の強い宗次朗に少し馬皇は驚くが馬皇が押す力を強めると宗次朗の体から肉が裂ける音が聞こえ始めて、それが限界以上の力であるすぐに察する。


「はha刃ハHA派」

「もう話す頭すら働いてないな。こりゃ」


 馬皇は短くつぶやくと死んでも使い潰される形にされた宗次朗を見てから、宗次朗の左手を引きちぎる。


「せめてもの情けだ。跡形もなく葬ってやるよ。おらぁ‼」


 片腕を掴んで拘束している宗次朗に空いた右腕で腹に拳を決める。アッパーの形で馬皇は宗次朗を打ち上げると言った。


「真央‼」

「分かってるわよ‼」


 馬皇の合図に合わせて真央は光の塊を宗次朗に向かって放つ。


「――――――――」


 光は宗次朗に当たると宗次朗は笑い声すらなく、光の中に溶けて消えた。そのまま光は上空の遥か彼方へと消えていく。


「ふぅ。これでさすがに再生はしないわよね」

「あれはどう見てもオーバーキルだろ。あれ」

「う、うるさいわね。光属性は苦手なの‼ それに殺し切れないよりはましでしょ‼」


 真央の一撃に馬皇は呆れた。明らかにゾンビ1体に撃つ威力ではないそれに真央は言い訳じみた言葉を返す。


「馬皇さん‼ お腹大丈夫ですか‼」


 そんなやり取りをしている間に由愛たちも馬皇たちが外に出た後に後を追ってきたのかマンションの入口から飛び出してくる。由愛はそのまま風穴を開けられたはずのわき腹を見てみると服に穴が開いているだけで傷はなかった。


「え? 傷は?」

「あー。それは治った」

「ふぇ?」


 馬皇の言葉に由愛は思考が停止する。明らかに致命傷レベルの怪我が治ったと聞いて普通は信じられない。


「5秒ぐらいあれば治るだろ。普通」

「そうなんですか? すごいんですねぇ。竜って」

「あー。由愛。確かに竜種はタフですけど、あそこまで回復が早いのはお父様くらいだから普通ではないですわよ」

「えっと? あれ?」


 サライラのいっている事を拒否しているのか由愛は混乱したまま馬皇の腹の部分を触り始める。無心に馬皇の腹をさすってみたり、ペチペチと軽く叩いて確認したりと遠慮なく触る由愛。


「……さすがにそんなに触られると少しくすぐったいんだが?」

「ふぇ? あ」

「な……な……‼」


 馬皇が咳払いしてからそう指摘すると由愛は我に返る。怪我の心配とはいえ無遠慮に相手の、それも異性の体を触っていたことに気が付き思考が停止する。その横でサライラが体を震わせて叫んだ。


「お父様のお体を触るなんてなんて羨ましい‼ 私も触りますわ‼」


 由愛の行動に対してサライラはそう叫ぶと由愛と同じように馬皇の腹を触ろうとするサライラ。さすがに由愛とは違い穴の開いた部分だけでなく、そのままズボンの部分に手を伸ばそうとするサライラに馬皇はサライラの首根っこを引き剥がす。


「ええい‼ ズボンに手を出すな‼ それは怪我の確認じゃないだろうが‼」

「くっ‼ ばれましたわ‼」

「それでどうしてばれないと思ったんだよ‼」


 サライラの言葉に馬皇はツッコミを入れる。いつものやり取りに由愛はどうでも良くなったのかクスリと笑う。


「お? 緊張は解けたか?」


 その様子を見た馬皇はサライラをネコのように首根っこを掴んだまま答える。サライラの方もそれなりに気にしているのか馬皇に捕まれたまま由愛の方を見る。


「はい。なんというか最初は少し恥ずかしかったんですけど、もう大丈夫です」

「おう。そうか」


 由愛に対して馬皇は笑いかけると由愛も同じように笑顔になる。


「私はもう少し触っていたかったですわ」

「お前のはやり過ぎだ。しばらくこのまま運ぶからな。少し反省してろ」

「そんなぁ。いや、でもこれはこれで……」

「……教育間違ったか?」


 馬皇はサライラの首根っこを掴んだまま持ち上げてそう言うとサライラは少し残念そうにするが、別にこれはこれでとすぐに思い直す。その答えに馬皇は頭を抱える。


「それはそれとしてハンターたちを撃退してくれた事には感謝しているけど私の住処はどうしてくれるのかしら?」

「「「「「あ」」」」」


 アストリアの言葉で現実に引き戻される。完全に壊されたわけではないが使っていた部屋は完全に穴が開いていた。それは外からも見えており崩れ落ちそうではないが暮らすには向いていない状態であった。


「別に気にしてないわ。少し残念だけどまた、別の場所に移動すればいいだけだしね」

「そういって貰えると助かる。正直、すまんかった」

「いえ。本当はお礼が言いたかったのよ。私の方こそ助かったわ。明らかに私を狙ってたのに助けてくれたんだしね。それに部屋はまだあるから問題ないわ」

「そう言って貰えると助かる」


 馬皇の言葉にアストリアはそう述べるとポケットから何かを取り出して馬皇に投げ渡した。


「はい」

「鍵?」

「ええ。このマンションのマスターキーよ。魔法で防犯しているからそれは通行手形の変わりみたいな物だけど」

「……いいのか?」


 馬皇はたずねる。


「ええ。今回の連中の事を考えるとあなた達と居たら助けてくれた彼も見つかる気がするの。だから、私も混ぜてくれるとありがたいわ」

「ああ。そういえばそうだったな」


 アストリアが人を探しているという事を思い出す。恋する乙女の顔であるが、ダメな時のサライラと似ていて馬皇にとっては不安しかない。


「まぁ、そんな訳でこれからもよろしくね」

「おう」


 馬皇はうなずくと新しくアストリアが仲間に加わった。

 次回は一度街に戻ります。


 いつも読んで下さりありがとうございます。読んで下さったり、ブクマとか評価したりしてくださいますとテンションが上がりますのでこれからもよろしくお願いします。


 ブクマ増えてて嬉しいし、本当にありがたいです。


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