22話
HJ1次落ちました。悔しさなどありますが、通った方おめでとうございます。
それはそれとして更新は続けますのでお楽しみください
私が7歳の頃。ある日の夜の出来事ですわ。
その日はもう思い出せないのだけれど怖い夢を見て夜遅くに起きたの。その怖さで眠ろうにも眠れなかった私はお父様の寝ている寝室に潜り込もうと計画しましたわ。計画はすぐに決まってから実行に移して部屋を出て無事お父様の部屋の前に着いた時お父様の部屋が空いていたの。部屋の中から光が漏れていたからお父様を驚かせるために隠れながらお父様の部屋を覗き込んだの。
「ふ。ふふ。ふはははははははは‼ 出来た‼ 出来たぞ‼」
覗き込むとそこにはお父様が高笑いを上げて立ち上がっていたわ。
「お父様?」
「ん? さ、サライラか? どうしたんだ?」
「少し怖い夢を見ましたの」
「それで来たのか?」
「はい」
お父様は私の声を聞いた瞬間に体を硬直させて動揺していましたが、それも少しの間だけですぐに私を抱えてくれましたわ。
「そうなのか。だったら俺は嬉しいぞ。娘がこんなに俺を好いてくれてな」
抱きかかえたお父様は空いた手で私を優しく頭を撫でてくれましたわ。それが嬉しくてお父様に告白したの。
「本当ですか? それは私もですわ‼ 大きくなったらお父様と結婚するの‼」
「お、おう。そうか。だが、そういうのはいつかお前が好きになる奴のために取っておきな」
「お父様が大好きなので問題ありませんわ」
「なら俺もサライラの大好きなお父さんとして頑張らないとな」
「えへへぇ」
もう一度優しく撫でるとそのまま私を抱きかかえたお父様はくるくると回ってくれて楽しかったわ。
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「……ちょっと待って。それは長くなる?」
「そこまで長くなりませんわ。精々2時間くらい?」
「長いわ‼」
真央は思わず話を中断させてサライラにツッコミを入れる。
ここまでの話を聞く限りサライラと馬皇のとあるの日の話しかしていない。分かる事と言えばサライラはその頃から馬皇大好きっ子であった事と馬皇がサライラに激甘だったと行くことくらいである。
「えぇ。これからがいい所ですのに。まだ、お父様との心温まるコミュニケーションの数々をお話してませんわ」
少し不満そうにサライラがそう言うと真央は顔を引きつらせる。
「色々ツッコミしたいんだけど、これだけは言わせて。細かい所は端折って預言書の話だけにして」
「むぅ。分かりましたわ」
真央の様子を見てさすがにこれ以上は無理かと判断して少し残念そうな顔をしながらもサライラは話を続ける。
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話を戻しますわ。しばらくの間はそうやってじゃれ合った後の話ですわ。くるくると回っているときにお父様の机の上には本が気になりましたの。
「お父様。それは何ですか?」
私が指さすとお父様は私を膝に乗せて椅子に座るとこの本の事を説明して下さったわ。
「これか? これは未来観測誌だ。俺が魔力やらを提供してイシュにこの先起こり得る事を観測してもらいその情報を見た俺が纏める。イシュ自身は自分で未来を見れるんだが、さすがに特定の人物の遠い未来までは力が足りなくて見れないからな」
「お母様は未来が見えるの?」
「そうだぞ。とは言っても遠い未来は可能性がたくさん分岐しているから情報量が多すぎる。そのせいでイシュは途中で力尽きてその中の可能性の高い未来の1つを俺一人が見た結果になっちまったのは残念だがな」
「つまり、お父様とお母様はすごいってこと?」
「ザックリまとめたなぁ。まぁ、そんなもんだ。いつかサライラの役に立つかもしれないと思ってな。イシュと相談して前にしたんだ。とは言ってもこれは、今は見せられないぞ。今サライラに見せて未来が変わったら意味ないし、これの中身を知るのはサライラがもう少し大きくなってからだな」
「えぇ‼ 今見たいですわ‼ 未来の私がお父様とどうなったのか知りたいですわ‼」
あの時は結構ダダを捏ねたのは覚えていますわ。中々引き下がらない私にお父様は根負けしたのか少し葛藤したようでしたがこう言いましたわ。
「うっ。いいか? サライラ。もしこれを読んだらサライラは俺と一生離ればなれになるがそれでもいいのか?」
「イヤですわ。それなら絶対に読まない‼」
「そうだな。サライラは素直な子だ。時が来ればお前の前に絶対に来る。その時に読んでくれたら何も問題ないから読んでくれ。約束だぞ」
「分かりましたわ」
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「と、ここまでがその未来観測誌の話ですわ」
「つまり、ここまで話してほとんど中身についての情報はない訳ね」
「そうですわ」
ここまでの話を聞いて情報はほとんど得られなかったという結果だけを残してサライラは自信満々に胸を張る。その様子に聞くだけ無駄だったとばかりに真央はため息をついて頭を抱える。
「書いた本人は何か知っているわよね?」
「思い出してないぞ」
「ほら嘘ついてないで答えなさいよ。それに、思い出してないならさっきは何で止めたのよ?」
「げっ」
馬皇の矛盾した行動と言葉に馬皇は顔をしかめる。
「ほら。顔に出やすいのよ。あんたは。態々魔法を使わなくても分かるわ」
「今は言えないじゃ、駄目か?」
「はぁ。どうしても言えないのね?」
「ああ。悪いな」
「悪いって思うなら答えなさいよ」
馬皇は絶対に口を割らない様子で答えると真央の方が折れる。馬皇の言葉に真央はそう悪態をつくと宗次朗を見る。
「という訳であんたに聞きたいわけなんだけどその本はどこで手に入れたのかしら」
「知らない」
「……本当に知らないみたいね。っ‼ 馬皇‼」
「ちっ‼」
宗次朗をさらに問い詰めようとした瞬間、真央が叫ぶ。真央の言葉に反応して宗次朗を蹴り飛ばし由愛とユメリアをかばう様に伏せさせる。
「がっ‼」
その後に聞こえたのは蹴り飛ばした宗次朗の頭に銃弾が貫通した音と宗次朗の声だった。馬皇が窓の死角になる位置に蹴り飛ばしたが、それを読んでいたかのように動く標的である宗次朗の頭を撃ち抜いていた。
「ちっ‼ まだ狙ってるか‼」
「ええ‼ 代々2km先で銃声が聞こえたわ‼ こんな視界の悪い場所で必中させるとかどんな銃でどんな腕よ‼」
未だに狙っているかもしれないという緊張感で馬皇たちは警戒態勢を強める。馬皇やサライラ、真央であれば銃弾などそこまでは怖くはない。が、今は由愛とユメリアがいる。この距離で、しかも木々などの遮蔽物がある場所で平然と対象を撃ち抜ける相手に下手に動くことが出来ない。
「視線が消えた、か」
視線が亡くなったのを感じて馬皇が警戒しながら辺りを見魔渡す。それをチャンスと思ったのか銃弾が馬皇に放たれる。
「っと。あぶねっ」
それを馬皇は反応して躱す。銃弾の来た方向の気配を探るとそこにはもう誰もない。
「ちっ。逃げられたか?」
「そうね。私も一度は隔離用の結界で捕まえてみたけど、逃げられたわ。どこにいるか分からないから一応警戒は解かない方向で」
「分かった。っ‼」
馬皇が答えた瞬間。真央を突き飛ばした。
「何すん……って‼ あんた‼ 大丈夫なの‼」
「これくらい問題ない‼ それよりも警戒しろ‼」
真央は文句を言おうとしたが頭を撃ち抜かれたはずの宗次朗が馬皇のわき腹を手で貫通していた。が、宗次朗の手も無事でなく、馬皇の腹を貫通した際には指は折れているのか手はぐちゃぐちゃであった。腹に穴の開いた馬皇は宗次朗を蹴り飛ばすと宗次朗は手を引きちぎって離れ、馬皇は残った腕を引き抜くと腹を押さえて苦しそうに膝をつく。
それに対して宗次朗はまるでダメージを負ってないようにケタケタと笑いながら起き上がる。眉間を見ると撃ち抜かれた後がそのまま残っており確実に死亡しているのが分かる。宗次朗はおもむろに服の胸元を開けるとコアと思わしき紅い玉が胸から出ておりそれが点滅していた。
「辺りの魔力を吸ってあの玉に魔力が集中しているわ。あまり時間をかけると手が付けられなくなる‼」
「短期決戦か‼ 手を貸せ‼」
「言われなくても‼」
馬皇と真央は短く会話をしてから宗次朗に相対した。
一人称が試した経験が少ないから書き方が分かりませんがこれでいいのだろうか? haimretです。
修学旅行編で出てきたイシュララと一緒であれば馬皇も未来を見ることはできます。次回は戦闘回。
いつも読んで下さりありがとうございます。読んで下さったり、ブクマとか評価したりしてくださいますとテンションが上がりますのでこれからもよろしくお願いします。




