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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第八章 3年生と留学生と将来と
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8話

「そういえば鉄様からお名前だけはうかがっているのですが一部以外は誰が誰なのか分かりません。出来れば名乗っていただけないでしょうか?」


 話の中で名前を聞いていなかったことを思い出す京子。それに応じる形で馬皇たちが自己紹介する。


「そう言えば名乗ってなかったな。俺は負毛馬皇だ」

「私は真田真央よ」

「サライラ・イズバルドよ」

「山田由愛です」

「ユメリア・アマノハラだ」

「はい。皆さまよろしくお願いします。それでは施設を案内しますので着いて来てください」


 馬皇たちの自己紹介に丁寧にお辞儀をする京子。部屋の扉を開けると先頭に立って案内を始める。少し歩いて騒ぎのあった場所に到着する。時間が少し経っただけであるがピークを過ぎたのか先程よりも人は少ない。


「皆さまもご存じだと思いますがここが受付です。各施設の利用、依頼の契約、証明部位もしくは依頼達成の証明書による確認、素材の買い取りや報酬の受け取りが基本になります。何か質問はありますか?」

「はい」

「どうぞ。負毛様」


 教師のように京子はたずねると馬皇が手を上げる。京子が馬皇を当てると馬皇は頬を掻いた。


「あ~。なんかこそばゆいから様はつけなくていい。敬語も不要だ」

「それではさん付で。負毛さん。口調については癖なのでご了承を。こちらも敬語は無くても構いませんよ」

「そうね。私も不要よ」

「我も様は不要だ」

「私もです」

「お父様がそうおっしゃるなら私はどうでもいいですわ」


 馬皇が京子にそう言うと京子も敬語は無くてもいいと答える。それに馬皇が答えると全員が後に続いた。全員が肯定するとさっそく馬皇が質問する。


「そうか。助かる。それでだが。魔物の強さには結構バラつきがあるが斡旋するときの基準とかあるのか?」

「そうですね。基本的には依頼の回数や達成率、資格の有無などは契約の際に魔術師たちや技能系の異能者たちから技術を輸入してもらってカードにデータとして記載されています。それにステータスという基準になる能力もあるのでハンター側にはそれらを総合してあっせんを行っています。ただ、どうしても不測の事態は起こり得るので戦闘経験者で目利きのできる方を雇って判断しかねる時だけ呼び出して確認してもらっているのが現状ですね」

「ステータスなんてものまで調べられるのか?」

「はい。とは言ってもあくまで目安。AからFまであり成人男性の基準はC。ランクの幅は1つごとにだいぶ広いのであまりあてにはならないのが現状ではありますが」

「へぇ。なら、魔物にもランクがあるのか?」

「はい。あります。依頼のランクにもなっていますがその魔物自体の強さと人間に害をなす脅威度でランク分けしています。ですが、こちらも完全に知ることが出来る事なんて出来ないのでものすごく大雑把ですよ」

「そうなのか」


 京子の解説に馬皇もうなずくが理解していない様子であった。京子は解説を続ける。


「はい。でも、それでもこれがあるのとないのとでは生存率が大きく異なるのです。慎重な者も確かにいますがそれよりも命知らずか荒くれ者が多いのは事実。命をかける職業ですので送り出す側も慎重に越した事はないでしょう? 送り出したのに帰ってこなかったというのは気分がよくないので」

「そうだな」


 京子の説明を馬皇は理解する。確かにわずかな差であるが、それで送り出した者たちが戻って来るのであれば確かに大きい。生きて帰ってくれば失敗したとしても魔物の情報が得られるのだ。そうして得られた情報を集めれば、油断はできないが魔物への対策や同種族の亜種への対抗手段を作りやすい。


 そして、何よりも自分が送り出した相手を間接的に殺したかもしれないという後味の悪さを防ぐこともできるし、紹介するという仕事へのプレッシャーを減らすことが出来る。


「長々と説明しましたが簡単に言えばここはハンターと民間人や国からの依頼を仲介している場所です。要は公務員なんですよ。私たち」

「そうなのか」


 えっへんといった様子で京子は胸を張る。馬皇はいまいち京子が自信満々になっているのが理解できないのか適当に相づちを打つ。


「なんというか……よく分かってないからとりあえず適当にうなずいておこう感が漂ってますが……」

「……そんなことはないぞ」


 京子はジト目で馬皇を見ると馬皇は目を逸らす。その動作に京子はさらに疑いから確信に変わるが咳払いをする。


「そうですか。コホン。話を続けます。軍や自衛隊といった存在が世界の各地で自国のためや世界のためといった理由で確かに安全に注力してくれていますが、国の中であっても全てには手を回せません。それに日々新しい魔物が生まれているとかこの世界のどこから来たのか分からない魔物たちが闊歩している今の時代。それを守る身近な組織としてハンターズギルドとハンターが存在しています。もちろん、未経験でも訓練を積むための場所もありますので気軽に参加して下さっても構いません。それに一般的なバイトの助っ人などの雑務的な依頼も存在します。身近と言えば暇を持て余した主婦のおばさま方がこづかい稼ぎと運動がてらに訓練に参加してますよ。最近は自身の得物を使いこなして魔物討伐に出かける姿もありましたよ」

「何それ。怖いんだけど」


 専業主婦と思わしき主婦が魔物討伐を行っているという言葉を聞いて思わず馬皇がつっこむ。それにはさすがに真央も同感なのか同じように何度もうなずく。


「すごいんですよ。これが。魔物の肉がおいしいという事を知ると自分が食べたいというのもあったのでしょうが夫と子供に食べさせたいと言って1人で4mクラスの阿修羅ベア狩ってきましたから」

「お、おう」


 阿修羅ベアとは3つの顔に6本の腕を持つクマである。その姿が神仏の阿修羅と頭の数と腕の本数が似ていることから名付けられた。性格は凶暴で格上相手だろうが躊躇なく襲い掛かってくる。そのため大きな個体になればなるほど歴戦の個体という事もあって強さが跳ね上がるとテレビで魔物講座という形で紹介されていた。基本的な個体は2m弱。日本のヒグマと同程度である。成獣までは普通の動物変わらないがそこから強くなるにはそれなりの長い年月が必要であるとも説明されていた。


 強さは一般的な戦車が紙切れのごとく軽く吹き飛ばせる膂力があり、小型のミサイル程度なら少しやけどする程度で済ませてしまうほどの耐久である。何よりも3つの頭で死角がなく、6本腕を器用かつ力強く振って敵を屠る。


 魔物の肉は普通の動物とは違い強力な個体であればあるほど、また年を重ねれば重ねるほど肉の味が複雑になり深みが増すという不思議な性質がある。


 それらを統合して主婦が狩った阿修羅ベアはかなり強い部類であった。


 それを1人で狩ってきたという主婦の話を聞いて困惑しない訳がない。馬皇は困惑しながらも京子の話に答えると京子は言った。


「とまぁ、ここで訓練すれば魔物を倒れるレベルには慣れるので、もし魔物を相手する職業に就きたいと思ったら卒業後にここに訪れてみてください。その時は歓迎いたしますので」

「わかった」


 そう京子は纏めると馬皇が全員を代表して答える。


「そうですか。楽しみにしておきます。次は訓練場の方にいってみましょう。そこでステータスを確認できます」


 京子は楽しそうに笑顔を馬皇たちに向けると案内するために先に歩き出した。

更新しました。

RPG系のステータスは個人的には嫌いですが、次回はその話です。目安程度にしてくださるとありがたいです。ブックマーク減って悲しい。

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