5話
章の名前間違えてましたが修正しました。申し訳ありません
「……おい。お……ろ。……おき…ゆ……」
「んむ……。もうちょっと……」
由愛はだれかの揺さぶられる。寝ぼけているのか由愛はそのまま揺さぶっている誰かにしがみ付く。その誰かは由愛が抱き着いたのを優しく受け止めると由愛に心地の良い浮遊感が襲う。由愛は夢見心地でそのまま体を預けた。
「そろそろ起きろ。由愛」
「ふえ? 馬皇さ……ん? ‼」
馬皇の声が耳元から聞こえて由愛の意識が覚醒する。覚醒した状態からすぐに今の自分の姿勢を理解して顔を真っ赤にした。俗にいうお姫様抱っこである。馬皇の首元に手を回ししがみ付いていた。馬皇はそんな由愛の負担にならない様に抱きかかえているのが現状であった。
「起きたか? 由愛?」
「……あう‼ あうあう‼ あううう‼ あああううああ‼」
今の状況に対応しきれていないのか由愛は言葉になっていない変な声を上げる。由愛が暴れるが馬皇は気にせず落ち着くの待つ。やがて由愛は落ち着いたのか顔緒真っ赤にしたまま言った。
「あの……そろそろ降ろしてもらっていいですか」
「おう。いいぞ」
馬皇にそう言うと馬皇は由愛をそっと降ろす。
「ありがとうございます。……それで私何してました?」
由愛は馬皇にたずねる。その後ろでサライラが「この手があったか」といった様子で悔しそうにしている。その隣でニヤニヤとユメリアが見ていた。
「ああ。けしばと終って片付けてから由愛を起こしたら寝ぼけて抱き着いてきた。少しきつそうな姿勢だったから抱えたんだ」
「そ、そうですか」
由愛は馬皇から確認してから無言になる。
「……そろそろいいかしら?」
由愛と馬皇のやり取りを見かねて真央が話しかける。
「は、はい」
「そろそろ帰るわよ」
「だな。あんま気にすんなよ」
「はう‼」
馬皇が励まそうとするがさっきの事を思い出してまた変な声が出る。そんな馬皇に真央がツッコミを入れる。
「あんたは気にしなさいよ‼」
「お、おう。すまんかった」
「それとせっかくユメリアが留学してきたんだからこの辺りを案内しようってことになったんだけど一緒に来ない?」
「もちろん行かせてください」
真央が誘うと由愛も嬉しそうに同意する。
「そう。それなら最初はどこに行こうかしら?」
「それならばハンターズギルドが気になるな。この町にもあるのだろう?」
ユメリアが真央に提案する。
ハンターズギルド。世界に魔物たちが現れてから新たに出来た職業であるハンターと呼ばれる者たちへ仕事を斡旋する場所である。商人たちの商魂はたくましいとは良く言ったもので魔物たちの出現すらもビジネスに変えてしまって出来たのである。
依頼は様々で街の中の雑用や一般の職業のヘルプといったバイトやパート、派遣の系統をひとまとめにした一般系。戦闘が主の花形とも言えなくもない魔物たちの駆除や封印の討伐系。友好的な意思疎通のできる魔物たちとの対話からの交渉系。新種の動植物の発見や薬草などの薬の材料の採取系などがある。珍しいものではダンジョンへの魔物の誘導して人間と魔物たちの住み分けを行いダンジョンを管理する管理系といったものも存在する。
依頼の難易度は様々で近場の薬草採取や街の清掃や飲食店のヘルプなどの派遣から世界を脅かすような災害レベルの魔物の調査、駆除、封印までのようにさまざまである。
そして、重要なのはこの仕事を受けられるのはギルドの入会試験を突破してランクを貰った者のみであるという事。国が認めた異能者や魔術師たちには特別に最初から発行されたのは例外だが基本的に実力ごとに試験を行うのである。試験自体は16歳以上であればだれでも受けることが出来る。完全に一般人であっても講義と体験を受ければ最低ランクであればよほどの人間でなければ合格することが出来る。そこら辺はバイトやパート、派遣と変わらないのである。そこから適性や好みの働き方に合わせて依頼が斡旋される。
「それは構わないんだけどそもそも年齢で引っかかるから依頼は受けられないわよ?」
真央はユメリアにたずねた。
「分かっている。少し用事があってな。依頼を出さねばならんのだ。他の者でも良かったのだが無理言って我が受けた。鉄先生にはあらかじめ話しているしそう言う事ならと見学も兼ねて許可も貰っているし、予め連絡を入れてもらっている。それと何もないとは思うが念のために馬皇たちを誘って行けと言われていたな」
「そうなの? だったら案内するわ」
鉄の言葉を思い出しながらユメリアが答える。鉄の名前が出て真央たちもそれだったらと否はないのかユメリアの提案を肯定する。
「ハンターズギルド。どんな所なんでしょうか?」
由愛がこれから行く場所に想像がつかなくて頭をかしげる。
「まぁ、確かに俺らの今の年齢じゃまず入ることのない場所だしな。そういうのって少しワクワクするな」
未知の場所という事で好奇心が刺激されるのか馬皇はそう言う。
「そうかしら? ハンターって言ったら冒険者的な存在に近いから荒くれ者が多いイメージしかないわ。依頼を出すだけと言っても何か面倒事が起きそうね」
「あー。そういえばそうですね」
「だな」
「そうですわね」
「いや。さすがにそれはねぇだろ」
真央の言葉に女性陣が同意する。馬皇は心配のし過ぎだと否定するが真央が返答する。
「去年から事件に巻きこまれたとか顔を突っ込んだ回数考えたらさすがにねぇ」
「うっ」
真央がそう言うと馬皇も否定できないのか言葉に詰まる。
「それにあんたは見た目的にそこまでじゃないけど私たちの見た目考えると絡まれるのが簡単に想像できるわ。ほら? 私たち美少女だし?」
真央はドヤ顔でそう答える。
「まぁ、お前らが可愛いのは否定しないがさすがに手は出さねぇだろ」
「そ、そう」
「どうかしたか?」
「何でもないわ。それよりもあんまり長々と話してたら到着する前に閉まっちゃうわね。行きましょう」
真顔でそう言う馬皇に聞いていて恥ずかしくなったのか真央は照れる。その様子を見た馬皇は変な目で真央を見るが真央は何でもないと言って話を断ち切ると真央が先頭に立って屋上の扉を開けた。
「それもそうだな。それじゃあ。行くか」
「「「「おー」」」」
馬皇の声と同時にその場にいた女子全員がノリ良く声を上げてから目的の場所を目指して出発した。
なるべくいつも通りに更新しますが転職の関係で慣れないうちは来月から更新頻度が減る可能性があると思います。そんなことがあっても優しい目でこの作品を読んで下さるとありがたいし嬉しいです。よろしくお願いします。




