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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第七章 異世界召喚騒動
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幕間 特別授業

次章の話は後書きで。閑話というよりも後日談ですが楽しんでもらえればと思います。

 洋介たちが帰還してから特別クラスが出来て、早や1か月。週4日。毎回2時間行われる特別授業は異世界帰りの生徒たちをして中々にハードであった。魔法や異能を使ってもいいとはいえ最初は基礎体力をつけるための走り込み。


 それが終われば戦闘が苦手な生徒たちは鉄が時間稼ぎをするための護身術の訓練。異世界で戦闘をしていた生徒たちは一部を除きファナ対異世界組との模擬戦で死屍累々となっていた。そんな中で洋介が最後まで戦闘を続けていた。


「どうしたの? その程度?」

「‼ はぁぁぁ‼」


 洋介を軽くあしらうとファナが煽る。それに反応して突っ込んで行く洋介を見てファナはため息をついた。突っ込んできた洋介がジャブの要領で拳を出し入れして連続で攻撃するがそれをしゃがみこんであっさりと躱すとローキックで足払いをする。洋介が体勢を崩すとその隙を突いてファナが剣の腹で洋介の腹を叩く。その勢いよく転がっていった。


「ほら。隙だらけよ」

「くっそ‼」


 木にぶつかった衝撃で立ち上がられない洋介を見ていつでも倒せると言った様子で首元に剣をつきだすファナ。洋介は悪態をつきながらも別方向からの突然の音で一瞬だけファナに隙が出来る。


「隙あり」

「残念。それは囮よ」

「なっ‼」


 隙だと思っていたのはわざとファナが釣られたような動作をしたフェイントだった。洋介の拳は空を切る。そのままファナは自分の間合いを維持したまま洋介に切りかかると洋介も両手の篭手でファナの一撃を防ぐ。

「ほら。防ぐのはいいけどがら空きよ」


 一撃を防ぐまでは良かったががら空きとなった体に片手を剣から放して、空いた方の手で拳を作って洋介の腹を殴る。


「ぐっ‼」

「これで終わりね」

「そこまで‼」


 それが決定打になったのか洋介は崩れ落ちると模擬戦を見ていたサライラが止める。それに異存はないのかファナも武器を鞘にしまう。


「……くっそ。強ぇ」


 洋介が崩れたまま悔しそうにつぶやく。


「まぁまぁね。それなりに実戦を経験してるからそれなりに打ち合えてたけど、集中し過ぎよ。集中することは悪くはないけどそれで他が疎かになったら駄目よ」

「はっきり言うのな」


 ファナの指摘に洋介が苦虫を噛んだような顔をするとファナは言った。


「理不尽なんていつやって来るか分からないわ。今も監視されているみたいよ」

「……マジかよ」

「? 少なくとも10人はいるわね」


 ファナの言葉に洋介が固まる。洋介のマジかよと言う発言が理解できないのか頭をかしげるが動揺しているのは理解できたのか隠れている相手の人数を答えるファナ。


「それは言っても大丈夫なのか?」

「さぁ?」

「さぁ? って……」

「機会をうかがってるにしても、情報を集めているにしても問題ないわよ。私も実際に会ってからの期間が短いけど絶対に私よりも強いわよ。あの人。だから、この世界に来た意味があるんだけど。そんな鉄先生が気付かないと思う?」

「……良く考えりゃそうだな」


 ファナの発言で鉄の事を考える洋介。馬皇とのバカみたいな戦闘をこなし、魔物たちの襲撃の際の防衛戦では彼ともう1人で全体の4割を受け持っていたのが鉄だ。そんな別の意味での超人が気付かないという事があるのだろうか? いや、ないであろう。もちろん鉄は気づいている。が、それを現状は放置しているのであろう。洋介はそこまで思い至るとファナが手を差し出す。


「でしょ?」

「サンキュー。だな」


 ファナの言いたいことが分かり手を取る洋介。ファナに捕まると洋介は立ち上がった。


「さすがにあそこでまだ戦い続けてる2人のようになれとは言わないけど、いつかは私に勝つくらいの気概は欲しいわね」

「……無茶言うなよ」


 立ち上がった洋介にファナはある方向を見る。それを見た洋介は苦笑する。


「真央ぉぉぉ‼」

「馬皇ぉぉぉ‼」


 お互いの名前を呼びながら馬皇と真央が殴り合いをしていた真央は強化系統の魔法を重ね掛けしてである。ある程度は自重しているのか洋介が見える範囲ではある。が、それでも所々でどちらかを見失っては気が付く馬皇と真央がぶつかり合っている。隙とかどうこう以前に洋介とファナが戦う前から絶え間なく続いていた。


「あれ見てるとあいつらだけですべて解決しそうなんだが?」


 あれでかなり条件を付けて抑えて戦っているとは言っても目の前の光景に洋介はおろか起き上がってはないが倒れたまま見ているクラスたちも洋介の言葉に心の中でうなずく。


「確かに彼らは強いわ。それこそ私が相手にならないほどに。でも、相手に正面から挑む相手なんて少ないわよ。悪い奴らが最初に狙うのはいつだって弱者よ。強いのは弱みに付け込んで人質なり契約なりで搦め手を使って縛りつける。あなた達もされたでしょ?」

「……それは分かってる」


 洋介もクラスの1人が人質にされて対処に苦労したことを思い出す。あの時は小太郎と幸太郎の機転でうまく不意を突いて人質を解放。黒幕も確保することが出来たがかなり賭けであった。そのことを思い出した洋介は自分の頬を叩いて気合を入れ直す。


「うしっ。ファナ様。続きをお願いしてもいいか?」

「そう。いい表情ね。私は大好きよ。そういうの」

「お、おう」


 洋介の気合の籠った声にファナも触発されて笑みを浮かべる。ファナの言葉に違うと分かっていても洋介は顔を赤らめる。


「どうかしたの?」

「い、いや。何でもない。それよりも行くぞ」

「いつでも掛かってきなさい」


 洋介は構えるとファナに向かって駆け出した。

ある日の新しく出来た特別クラスの特別授業という名の訓練の一部です。


次の章では馬皇たちは3年生。高校受験もありますが試験的な特別クラスということで別のカリキュラムが組まれています。そんな訳で冒険者的な職の話、留学生、高校とかの将来の話、裏の組織との戦いなどが詰まった感じの予定になりますのでこれからもよろしくお願いします。

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