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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第七章 異世界召喚騒動
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38話

 場所は変わってガリオン皇国のケイスケの隠れ家。転移先で馬皇たちが見たのは変わり果てた国の光景だった。


「それにしてもなんでこんなことになってるの?」

「確かにな。それどころか国の中にすら住民がいないとかどう考えてもおかしいだろ。それに魔物だらけだし」

「これじゃあ私の作戦が無駄じゃない‼」

「いや、どう考えてもそれどころじゃないだろ」


 真央は現状に不満そうな顔をする。そんな真央に対して馬皇がツッコミを入れる。馬皇たちはケイスケが行き来する転移ゲートを使い国の中に入った。そこまでは良かった。ケイスケの隠れ家から外に出るといきなり魔物に襲われたのである。


 突っ込んできた人型の狼が馬皇目がけて噛みつこうとするが、それをあっさりと躱し首元を抱えるように回り込んで首をへし折る。


 魔物を絞殺した後、外に出ると酷い状況であった。空は淀み城を中心に雲が空を覆っている。建物は崩れたりはしていないものの魔物たちが押し寄せた後なのか所々が傷だらけ。人の気配は微塵もなく、時折魔物の鳴き声が聞こえる。


「そうですね。私が来た時には少し不穏な空気はあっても人がいないとか魔物が出るという事はなかったのですが……」


 ケイスケが申し訳なさそうに答える。


「まぁ、ここで深く考えても答えは出ないわ。幸い異世界間の繋がりの反応は皇城みたいだし。もしかしたら原因がわかるかも」

「そうだな。言ってみないとさすがにこの状況は……な。俺と真央が先頭に立つからファナとケイスケは真ん中。サライラ。最後尾を頼む」

「分かりましたわ」

「はい」

「分かったわ」


 そう言って真央と馬皇が先を歩きはじめる。真央も異論はないのか馬皇の指示に黙って従う。それに着いて行く形でファナとケイスケが。最後尾を警戒してサライラが歩く。


「っと。マジで油断ならないな」

「そうね。こんな状況は私も想定してないわ。馬皇。次の建物の角から大きいのが来るわ」

「分かった」


 獲物を見つけた魔物は遠吠えしてから馬皇に接近。馬皇はカウンターの要領で魔物を拳で沈める。そして、真央が待ち伏せしている魔物の場所を教えると馬皇が先行する。建物に隠れていた魔物がそのまま馬皇に持っている棍棒で叩きつぶそうとするが、馬皇は少ない動作で躱すとジャンプして魔物の顔面へ強襲。一撃。魔物はそれで倒れる。


「何と言うか。嫌らしい、だな」

「それは私も思ったわ。不意打ちするタイプの巨人が待ち伏せするってところが特にね。気配薄いから普通は見つからないわよ。あんなの。それにあの狼。本来は群れで動くはずなのに1体しかいなかった」


 馬皇は歩いている間に出会った魔物について言った。現状で出会ったのは狼型の魔物と巨人の魔物の2種類。巨人の方は単独でも違和感はないが狼型の方のおかしさは明らかだった。あの手の魔物は群れを成していることが多いことで有名な魔物であることを真央は知っていた。


「それに魔物の数が少ないな。魔法とかで魔物が集まってる所とか探れないか?」

「それはちょっと厳しいわね。私の近くとかはそこまで問題じゃないけど、ここまで全体の魔力が荒れてるとさすがに遠くは、ね。あんたも分かるでしょ?」

「さすがにな。なんでこんなに荒れてんだ?」

「私に聞かないでよ。それよりもこの状況。どう見る?」


 真央は現在の状態を馬皇にたずねる。馬皇は少し考えると自分の思っている事を話した。


「そうだな。現状分かるのは何かがあってそれが原因で魔力がこの国一帯を包んでるくらいだな。魔物は出てくるがこの数じゃ偶然なのかそうじゃないのか分からん」

「ケイスケは?」

「私も馬皇様と最初の部分は同じです。しかし、魔物については何かに誘導されているような気がします」


 若干意見の違う馬皇とケイスケに真央は少しだけ考えるとファナとサライラにもたずねる。


「そう。ファナとサライラは?」

「私は何もないわ。近づいて来たら仕留める。それだけよ」

「そうですわね。私はケイスケの意見にほぼ同意ですわ。先ほどの魔物は捨て駒か何かだと思いますけど」

「……それはどうして?」


 サライラははっきりとそう答える。真央は続きを聞く。


「例えばの話ですわよ。仮に操ってるのがいると仮定したら何と言うか捨て駒を使ってどれくらいの速度で仕留めるかと相手の探知能力を調べてた気がするの。私もあの巨人が待ち伏せてるのは気が付かなかったわ。あれで仕留めればそれでよし。駄目だったら確実に仕留められる戦力を送り込まれるのが一番嫌かなって」

「それは勘?」

「はい」

「馬皇。サライラの勘って鋭い方?」

「ああ。ここぞという時の、特に悪い勘に限ったらほぼ100%だ。っと囲まれてるな」

「最悪じゃない」


 サライラの話を聞き馬皇の説明を聞き終えると既に魔物に囲まれていた。真央は馬皇の発言に悪態をつく。周りを見渡すと魔物たちの種族などはバラバラで統一性がなかった。


「不謹慎だけど、全力で叩けるこの状況は最高ね」

「うっし。取り合えず片っ端から倒していけば問題ないな。それとこの状況はあの時と似てるな」

「そうですわね。でも、全部消しつくすまでですわ」


 ファナ、馬皇、サライラの順に答える。ファナは剣を馬皇はそのまま、サライラはリンネを呼び出して今にも飛びかかりそうである。


「なんでこんなに好戦的なのよ?」

「そんなの決まってるだろ。襲い掛かってくるやつは全部潰すそれだけだ。怖いのか?」

「言ってくれるじゃない。この程度、何も問題ないわ」


 馬皇が真央に挑発する。真央が挑発に乗ると同時に魔物たちが一斉に襲い掛かってくる。


「はっ‼ いい度胸だ‼」


 なだれ込んでくる魔物をまとめて薙ぎ払う馬皇。それに続く形でサライラ、ファナと先頭に立って魔物たちを処理していく。


「すでに戦闘になっちゃってるけどこのまま殲滅しながら城目指すわよ」

「それはいいがそこに何かあるのか?」


 真央が提案すると馬皇がたずねる。そんな会話をしているがサライラとファナの撃ち漏らしを馬皇と真央は連携して仕留めて新しい屍を積んでいく。


「ええ。とりあえずそこまでで仕留めた魔物の数で勝負よ」

「望むところだ。サライラ‼ ファナ‼ ケイスケ‼ 聞いてたか‼ 城の方目指していくぞ‼」

「「「はい‼」」」


 馬皇の言葉に真央以外の全員が答える。その様子に馬皇がうなずくと真央に言った。


「じゃ、行くか」

「ええ。殲滅よ」


 魔物の群れに馬皇たちは突っ込んで行った。

戦いの始まり。次回は城内です

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