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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第七章 異世界召喚騒動
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26話

戻って洋介たちの視点。

 お互いにたたえ合った洋介たちは扉を見る。洋介たちが戦っている間は開いていたが、今は完全に閉ざしていた。


「デカいな」

「そりゃ、あんだけサイズがバラバラな魔物が押し寄せてきたんだからそれなりに出入口とかは大きくなるだろうが」


 改めてその扉の大きさに小太郎が感想を言うと幸太郎が何をあほみたいなこと言ってるんだとばかりに呆れた様子で答える。そんな様子の2人の感想を言った方と同じように一番近くに居たはずの洋介が頭をかしげる。


「でも、いつの間に閉まったんだ? 音とか全然気が付かなかったたんだが?」

「気が付かなかったのか?」

「あの時は魔物を操ってる奴探すのに必死だったからな。周り魔物だらけで下手すれば小太郎たちを巻き込むから神経とがらせていたけど他のを見てる余裕はない」


 小太郎の疑問にきっぱりと洋介は答えた。小太郎も自分も同じ状況であればそれを見る余裕があったかと言われればない。そんなことを想像して小太郎は謝る。


「悪い。そりゃ他見てる余裕なんかないわな。そう言えばリルちゃんはどうなんだ?」

(全く分からんかったのじゃ)

「まじかよ」


 小太郎が思い出したかのようにリルにたずねると分からないと即答される。その答えに洋介が驚く。


「脳内の会話でお前だけ納得するのは止めろよ。リルちゃんが何言ったのか分からんから」

「あ。すまん。分からんかったそうだ」

「まじかよ」


 奇しくも洋介と全く同じ言葉でリルの言葉に反応する小太郎。その後に何かを少し思い出したのか「あ」と短く答えると洋介がたずねた。


「何か思い出したのか?」

「俺もちらっと見ただけだから絶対ではないんだが、確か俺がこのお嬢ちゃんに矢を放ったのと同じぐらいに勝手に閉まっていたはずだ」

「そうか。幸太郎は?」

「俺はちょうど魔物と戦闘中だったな。しかも、ちょうど反対側向いてたから仕留め終わった時には小太郎が仕留めた後だ。その時にはもう閉まっていた」

「まじか。どうなってんだ?」

「それはこれからこいつに聞けばいいだろ? せっかく捕まえたんだからな。小太郎。こいつの痺れが取れるのはどれくらいかかる?」


 幸太郎がそう言って洋介が縛った少女女を連れてくる。痺れで動きを完全に封じてはいるが意識ははっきりしているために洋介たちを睨みつける。


「あ~。このサイズの娘用で少し少なめに塗ったし、掠った程度だから、多分もう少ししたら動けるようになると思うぞ」

「そうか。でも、とりあえず元凶みたいのは捕まえたのはいいんだけど犯罪臭くないか? これ?」

「おい。それを言うなよ。考えないでいたのによ」


 洋介がそう言うと幸太郎が嫌な顔をする。少女が若干喋れるようになる。


「わ、わた、しを、どう、する、気?」

「あ~。なんでこんなところで魔物を操ってたんだ?」

「言うと、思う?」

「まぁ、そうだろうな。小太郎」

「あいあい」


 幸太郎が小太郎を呼ぶと小太郎が手をワキワキしながら近寄っていく。その光景に少女が気持ち悪そうな顔をする。


「手をワキワキさせながらこっち来ないでこの変態‼」

「そりゃ、ひでぇな。俺ら勝者でお前敗者」

「くっ‼ 私をどうする気‼ あれでしょ‼ 男3人で私を滅茶苦茶にするんでしょ‼ 成人誌みたいに‼ 成人誌みたいに‼」

「んなことしねぇよ‼」


 さすがに少女の被害妄想のひどさに思わず幸太郎がツッコむ。


「なら、私を解放しなさいよ」

「それは出来ねえ。お前さん1人かどうかは知らないが魔物を大量に放ってくれたせいで街に大きな被害が出てるんだ」

「うそ‼ こんな所に街なんてある訳ないじゃない‼ ちゃんと下調べしてここから半径5km以内に街はないはずよ」

「その範囲にはないな。だが、お前さんが向かわせた方向には街がある」

「そう。それは悪かったわね」

「お、おう。分かってくれればいいんだ。それで、だ。なんでこんな所で魔物を呼び出したんだ? それにここで何をしてたんだ?」


 物わかりが良いのか少女は素直に謝る。その反応に質問をしている側の幸太郎の方が戸惑うがなんとか本題の方へ戻った。


「うーん。これはいろいろと企業の事とかあるから話せることだけ話さしてもらうわ。それとそこの大きいワンコになった子」

「あれは犬じゃねえ。狼だ」

「後で解剖させて」

「いやだ‼」

「あ~。そういうのは後で相談し合って許可貰えればしてもいいから教えてくれ」

「おい‼」

「ほんと‼」

「絶対に許可なんかしないからな‼」

「先っちょだけ。先っちょだけだから」

「そう言って油断したら徹底的にするんだろ‼ だから、I・YA・DA‼」

「えぇ~‼」


 幸太郎の言葉に少女は目を輝かせるが洋介は命の危機を感じて拒否する。しかし、それでめげないのか少しだけとさらに要求した。言質を取らせないように語尾を強くして言うと残念そうに声を上げる。


「だから、こういうのは後にしてくれって言ってるだろ? 小太郎に自由にさせるぞ」

「え? いいんですか? この娘自由にしちゃっていいんですか?」

「な、何をする気‼」

「何って別に変なことはしないぞ。……まぁ、きついのは最初だけだ」

「いや~‼ 止めて~‼ 犯される~‼」

「実は楽しんでねえか? こいつら」


 幸太郎の言葉に小太郎が反応すると少女は肩を大きく震わせる。少女の反応に小太郎が悪ノリして発言を意味深にエスカレートさせて襲い掛かりそうに両腕を上げると少女は叫び声を上げる。


 そんな漫才みたいなやり取りを見ているといきなり小太郎が森の中から出てきた何かに吹き飛ばされる。急な状況の変化にすぐさま幸太郎と洋介が臨戦態勢を取る。


「迎えに来たぞ。百合子君」

「所長‼」


 縄に縛られたままお姫様抱っこで抱える全身鎧みたいなスーツを着た男。その男に対して先程よりも黄色い声で男を呼ぶ。その後から黒服に大盾を持った男が2人の前に立つ。


「あ~。いちゃつくのは構わないんですが後にしてくれませんかねぇ」

「おっと。すまない。百合子君も縛られたままじゃ辛いだろう。今ほどいてやる」

「……私は別に所長に抱きかかえられたままでも」

「ん? 何か言ったかい?」

「い、いいえ。何でもありません‼ それよりもお願いします」

「分かった。任せたまえ‼」


 小さい声で呟くように百合子と言われた少女は呟くが近くに居たはずの男には聞超えていなかったのか男は何を言ったのかたずねる。それを恥ずかしそうに何でもないと言うと男は百合子を縛っていたなわを引きちぎる。


「よし。これで自由だ。危険な任務すまなかったね」

「所長の方こそ。ご無事で何よりです」


 慈しむような男の言動に照れるように顔を赤くさせて答える百合子。そんな桃色の空間を創りだしそうな2人の雰囲気に大盾を持った男が言葉をはさむ。


「あ~。若? まだ敵の目の前ですし、いつあの化物が追い付くか分からないんで撤退するんならさっさとしましょうや」

「ふむ。そうだったな。いつも頼りにしてるぞ。ガイザック」

「ありがとうございます」

「むぅぅぅ」

「お嬢もむくれないで今は逃げますよ」

「分かってるけど、こう‼ もうちょっと乙女心を理解してよね」

「無茶いわないでくだせぇ。これが俺の仕事ですから」

「分かってるわよ」

「俺が少し足止めします。若。お嬢を頼みます」

「おう。任せたまえ。百合子君。失礼するよ」

「はい」


 そう言って少し怒りながらもガイザックの指示に従う百合子。ガイザックが男にそう言うと百合子にたずねる。百合子がうなずくと男は先程と同じように抱きかかえて跳ぶように走り去っていく。走っていく最中で抱えられた方が蕩けた様な顔をしていたのを見て洋介たちは呆然とする。すぐに正気に戻ると跡を追おうとする。


「おっと。それはさせませんぜ」

「せっかく話を聞こうとしてたのに邪魔しやがって‼ お前らは何なんだ‼」

「それは失礼。俺はガイザック。WCAって所で勤めてる。しがない警備員さ」

「その会社は俺でも知ってる。確か食品から建設、日本にはないけど世界の方では確か兵器まで。物作りに関しては世界一を豪語してる会社で合っているか?」

「おう。詳しい説明ありがとうよ。詳しく知っててくれてありがたいぜ」

「そんなことはどうでもいい。その会社は俺らの世界の話だ。何故この世界にいる‼」

「それを言ったらおたくらもなんでそのことを知ってるってことになるんだが?」


 幸太郎がたずねるとガイザックが質問で返す。


「それは、俺らは偶然こっちに来ただけだからだ」

「そうかい。俺らは異世界への調査と若の我儘でこっちに来てるんだ」

「それはあっちの世界ではもう異世界観測するどころか異世界に渡るすべがあると?」

「ああ。だから、こっちに来ている人間にはおどろいているんだぜ。偶然でも俺らよりも早くこの異世界を渡れてるんだからな。まぁ、今回は別件だがな」

「それについては答えてくれないのか?」


 幸太郎は質問に踏み込む。それに対して盾を持ったままガイザックは開いている方の手で頭を掻いた。


「あ゛~。それに関しちゃうちの会社でもトップシークレットなんだわ。だから、問答はこれで終いだ」


 ガイザックはそう言って開いた手で盾の中を探すように手を入れると鈍い銀色の玉を取り出した。その玉を先程吹き飛ばされて反応しない小太郎の方に投げる。


「小太郎‼」


 かばうように幸太郎が割り込むと更にその前に構えたまま黙って控えていた洋介が玉を弾こうとするが、洋介に触れた瞬間も強い閃光とともに爆音を鳴らした。


「ぐわぁぁぁ‼」

「うっ‼ ぐっ‼」


 突然の光と音に洋介と幸太郎は目を瞑り耳をふさぐ。視界は目を閉じていても白く染まりすぐに真っ黒になる。不快な音は光と共に直ぐに収まったが至近距離聞いてしまったために立っているのかどうかも分からないくらいに平衡感覚がおぼつかない上に目を開けても真っ白にしか見えない。それもしばらくすると元に戻る。


「くそっ‼ まんまと逃げられた。洋介。追えるか?」


 先程ガイザックがいた場所には誰も居なかった。逃げた相手がどこへむかって行ったのか洋介にたずねるが洋介は頭を横に振った。


「そうか。さすがにこれ以上は無理か」

「だな。それ以前に後を追っても今は勝てない気がする」

「俺もそう思う」


 幸太郎と洋介は短く会話すると男たちが出てきた方向からサライラが飛び出してきた。


「さっきの大きな音は何ですの‼」

「ここにいたか」


 その後ろから目を真っ赤にした馬皇が歩いてくる。


「やっと来たか。ってか、何で馬皇の奴は眼を真っ赤にしてだ? 後、俺もう限界だったんだ」

「そんなこと俺が知るか。それと限界については奇遇だな。俺もだ」


 そんな2人に張っていた気が抜けたのか幸太郎と洋介は大の字で倒れた。

場面は街に戻る予定です。

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