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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第七章 異世界召喚騒動
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20話

「見つけましたわ」


 馬皇達から離れて真っ直ぐに新しく湧いた魔物たちを蹴散らしながら進んでいくと違和感の凄まじい物をサライラは見つけた。


「見るからに怪しいですわ」


 サライラも短い期間でしかリーングランデを見ていないがそれは似つかわしくないものだった。サライラの前にあるそれは扉だった。近代的と言うよりも未来的な機械仕掛けの扉であった。


 しかし、その扉は扉の形をしているがそれを支えるような物は全くなく自動ドアのように左右に完全に開き切っておりそこからどこに繋がっているのか分からない所から魔物があふれ出してはまっすぐにサライラたちのいた街の方角へ進んでいる。


「とりあえずあれを破壊すれば終わりますわね」


 サライラは魔物たちの群れを無視して一直線に飛び出す。ジャンプして扉の目の前まで詰め寄るとリンネを振りかぶって扉に叩きつけようとする。しかし、リンネが触れる前に何かが割って入る。


「おっと。これを壊されると若様の実験に支障が出るんでやめてもらえねぇか?」


 渋い声でサライラの前に立っていたのは男が屈めば男の全身を覆えそうな大きな盾を持った男だった。手に持った盾とは裏腹にいかにもな黒服を着て黒いサングラスをかけているという何ともミスマッチな様子の男はサライの攻撃に対して一歩も引くことなく受け止める。サライラの助走をつけた叩きつけに対して一歩も引きさがることなく受け止めた男にサライラは驚く。


「男ごと断ちなさい。リンネ」

「そいつはごめんだね。ふん」


 サライラは魔力をリンネに与えて盾で防いだ男ごと切り裂こうとする。サライラの勢いが強くなるが、なぜかその盾を切り裂くことが出来ず力が拮抗する。そんな状態にサライラが魔力をさらに加えるとサライラの方が吹き飛んだ。 


 それを見た男は手に付けた腕輪を操作するとサライラを追撃するように魔物たちが群がる。


「ふう。思ったよりも力の強い嬢ちゃんだ。あそこで吹き飛ばさなければ盾の方が切られるところだった。それに今の所は魔物たちの制御には成功しているようだな。それにしてもこのシーンはあまりいい気分はしないな」


 魔物たちが群がり密集して山となりながら飛びついた少女を捕食しようと蠢いている。密集しすぎているせいか最初に群がっていた魔物同士が食い合いを始めている様子を見てその真ん中にいるであろう襲い掛かってきた娘の状態を想像して顔をしかめる。


「おっと。いかんいかん。これも仕事だ。悪く思わないでくれよ。くわばら。くわばら」


 未だにうごめいている山に化けて出ないように祈っていると違和感に気が付く。群がっていた魔物の山は未だに脈打つように蠢いている。


「おかしい。小娘1人になんでこんなにも時間が掛かってるんだ?」


 様子のおかしい状態に気が付くと男の勘が警鐘を鳴らす。

盾を慌てて構えると魔物群れからサライラは飛び出した。全身が血塗れのサライラの突きは盾によって防がれ器用に流すように捌く。捌いた後に男が盾でサライラを強打して吹き飛ばすとサライラは笑った。


「あら? 奇襲に失敗? あなた強いのね」

「おいおい。勘弁してくれよ。なんで無傷なんだよ」


 血濡れで服もそれなりにボロボロではあるがサライラは笑いながらたずねる。加えて目の前の相手が大した傷を負っていないという状態に男は先程以上に警戒心を上げる。


「それはあの魔物たちが弱すぎるだけですわ。それよりも私はサライラ。あなたのお名前は?」

「ガイザックだ」

「そうですか。なら戦いましょう」


 短く名乗るとサライラが構える。今度は突進するだけではなく一定の間合いを維持したままガイザックと名乗った男にリンネを突きだす。ガイザックはサライラの突きに対して槍の刃が触れた瞬間に斜めにして後ろにそらさせてから踏み込んで盾でサライラの手に持った槍を強打する。サライラはリンネを放さないように踏ん張るが、その隙にガイザックはサライラの体に盾を使って体当たりをする。強い踏み込みの体当たりにサライラはよろめくが先程の吹き飛ばしたような予想外の衝撃がないことに頭をかしげた。


「どういうことですの? さっきは私を吹き飛ばしたのに?」

「あれだ。さっきのはまぐれだ」

「そうですの?」


 サライラのつぶやきを聞いていたのかガイザックが適当に答えると返事が返ってくるとは思わなかったのかサライラは口に出した。そんな話し合いの最中でも攻撃の手を緩めず今度はガイザックが先程みたいに簡単には受け流せないように突きの初速と戻し速度を上げる。


 さすがにサライラの急に上がった速度にすぐに対応できないのか受け流してからのカウンターが出来ずに槍の間合いから外に出ようとあがくように後ろに素早く飛び退く。サライラも逃がすつもりはないのか距離を詰めるとそれに合わせるように体当たりするように急に方向転換する。その対応にサライラはリンネを突きだす。


「?」

「それは囮だ」


 盾に突きを放ったのに先程に比べてあまりにもない手ごたえ。盾は簡単に飛ばされる。いつの間にかサライラの後ろにはガイザックが先程の大盾にすべて納まるような剣と円盾を持ってサライラを切り裂いた。

短くなると言っておきながら長くなりそうな予感。次回もサライラの続き。次に洋介たちの予定です

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