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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第一章 魔王たちは出会う
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エピローグ 真央

真央視点です。

 あの事件の後、無事逃げ切れることができた私たちは鉄先生に送られて帰宅した。深夜2時である。

帰宅したとき両親はいなかった。


「ただいま」


 真央にとってはいつもの事であった。父も母も仕事で遅くなることは昨日の朝から言っていたことだ。と言い聞かせてそのままベッドに飛び込んだ。



「ふぁああ」


 目が覚めると真央はあくびをした。そして時間を確認する。6時を少し過ぎたくらいだった。昨日はお風呂に入らなかったことに気が付き眠気を飛ばすためにシャワーを浴びに降りた。下に降りるとき明かりがついていた。


「おはよう。真央」


 部屋に入ると真央をそのまま大きくしたような女性が出迎える。真央の母である。


「おはよう。お母さん。帰ってたの?」

「ええ。そうはいっても言っても食べたらすぐにまた出ちゃうんだけどね。ごめんね。こんな忙しい母で」


 真央母は謝った。それに対して少しだけ不機嫌そうな顔をするが真央を抱きしめる。その行為に真央は少しだけ嬉しそうにする。


「気にしてないよ。それよりも、シャワー使うよ」

「あら。昨日は遅かったの?」

「うん」

「そう。昨日見かけたけど男の子と一緒に居て遅くなったの?」


 見られていたということに顔が熱くなった。私は必死に否定した。


「そ、そんなわけないでしょ‼ お母さん。」

「そう。ただし、避妊はしなさいよ」


 飛躍しすぎだよと真央の内心でツッコむ。そして、不機嫌そうに真央は言った。


「もう‼ お母さんなんてしらない」

「あらあら」


 何でもない風に笑う真央の母。真央は逃げるようにお風呂場へと向かって行った。






「あがったよ」


 しばらくシャワーを浴びて元の調子に戻ったのか真央は母のいる部屋に戻って来る。それを察知していたのか朝食を盛り付ける準備をしていた。


「朝はどっちが良い?」

「パン」

「了解」


 短くそう答えるとトースターにパンを入れて焼き始める。しばらくして焼けたパンの匂いが辺りにもれる。そして、パンが焼けると真央母はさらにパンを乗せて持ってくる。パンを持ってくるとさっきまで見ていたニュースで、あの事件のことがニュースで流れていた。


『こちら現場の大葉大学の薬物実験場の跡地です。みごとに施設の跡形すらありません。クレータが残っているのみです。いったい昨日の内に何が起こったのでしょうか。実験中の爆発事故との報告があるようですが……。しかし、近隣の住民や夜近くにいた人の目撃証言によりますと、「何か大きな物が飛んで行った」や「銃声を聞いた」などの声が聞かれました。また、クレーターの上では行方不明だった人たちの一部が見つかったとのことで謎は深まるばかりです。そして、全員が「ドラゴンを見た」、「悪魔を見た」などと供述しており混乱して集団で幻覚を見たと考えられます。中継の中村さんどう思われますか……』


 朝のニュースでは結局、事件ではなく薬物実験の爆発事故ということになっていた。実際はこの証言が正しいと分かるのは実際に目撃した人物か当事者ぐらいの物だろう。


「怖いわねぇ」


 意外と近くで有った事件だったからだろうそんな感想を言っていた。


「そう?」

「ええ。何だか昨日魔王が現れた気がしてねぇ」


 予想外の答えが返ってきて思わず聞き返す真央。


「え?」

「お母さんすごいのよ。過去に勇者として世界救っちゃうぐらいなんだから」


 仕事疲れだろうか? と真央は邪推する。


「お母さん疲れてるの?いくらなんでも朝からそんな話持ってこないでよ」


 真央がそう言うと少し怒ったという様子で真央母は言った。


「あ~。信じてないなあ。ライトバルトって世界を本当に救ったのよ、私」


 お母さんは自信満々に答えた。私は聞いたことのある名前に吹きだしてしまった。


「ぶっ‼ お、お母さん?ちなみに倒した魔王ってやたら黒いドラゴンだったり?」


 私はお母さんに聞く。外れて欲しいと願いながら


「あら。よくわかったわね。色は黒くてなんというか全体的に刺々しかったわね。あの魔王との戦いは理不尽だったわ。光の塊のブレスなんて多分ここら一帯の街どころかこの国が跡形もなくなるわね。正直もう一度戦って言われたら、絶対イヤっていうくらい強かったわ」


 案の定大当たりだった。というか、そんな威力の物を放ったんかい‼あの脳筋は‼ というツッコミを真央は心の中にとどめる。


「そ、そう……」


 装甲している内にもう仕事に向かう時間なのか真央母はあわただしく準備をし始める。真央は見送るために先に玄関までついていく。そして、すぐ後に真央母が現れて靴を履く。


「もう行くの?」

「ええ。じゃあ、戸締りはよろしくね」

「は~い。行ってらっしゃい」

「それじゃあ、行ってきます。いつも愛してるわよ。真央」


 真央はいきなり抱きしめられて慌てると突き放す。が、顔が真っ赤であるためにそれが照れ隠しであることが一目でわかる。


「もう‼ 本当に遅れちゃうよ、お母さん。それに恥ずかしい」

「ふふふ。それがいいんじゃない」


 そう言ってお母さんは仕事に向かって行った。


「まじか~」


 真央は新しい事実が発覚したことに呆然としてしまう。気にしていないフリをしたがどう思われたのかまでは分からない。それでもおもしろそうな話が出来た事によろこぶ。


「これ聞いたら驚くだろうな」


 馬皇の顔を思い浮かべながらつぶやいた。時間を見るともう出る時間であった。真央は学校に行く準備を始めるために部屋に戻る。


「今日もあいつと戦うにはいい日だ」


 面白い話が聞けたことで、あいつに話してみたら面白いかもしれない。そう思って今日も戸締りをして学校へ向かう最中真央はそう呟いた。それは奇しくも馬皇と同じ言葉であった。

次回は学校で合流予定。

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