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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第七章 異世界召喚騒動
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4話

「あの時のか?」


 リーングランデとつながった時の事を思い出す。真央は馬皇に対してうなずく。


「ええ。今回の召喚元と召喚されたクラスメイトを探すついでにね」


 真央がそう言って提案すると馬皇は顎に手を当てて考え始める。


「別に構わないが、なんでだ?」

「もちろんよ。頼まれてる捜索もあるけどそれよりも流れる時間が違うのが大きいわ」

「それを利用するのか?」

「そうよ」


 真央がうなずくとケイスケが補足する。


「補足しますと基本は2時間1か月程。期間としては十分ではないかと。そして、それもありますがそれ以上にお友達の少なかった真央様がお友達である由愛様や馬皇様にリーングランデをお見せしたいというのがあります‼」


 ケイスケが力説する。予期していないケイスケの言葉に照れたのか顔を赤くする。


「ちょっと‼」

「ほほぅ……」


 馬皇がいやらしく笑みを浮かべてそう言うと真央は恥ずかしそうに言った。


「そんなんじゃないわよ‼ ただ場所と時間を作るのにちょうど良いだけよ」

「真央様の羞恥顔いただきました」

「ふん」

「あぎゃ‼」


 ケイスケに対して真央は強化して背中を叩く。ケイスケは派手に倒れる。倒れた後に馬皇をにらむ。


「いらんこと言った罰よ。他に何かある」

「い、いや。ない」


 馬皇がそう言うとそれ以上は起こる気はないのか機嫌を直すと鼻を鳴らす。


「ふん。なら決定ね。ただ、時間をちょうだい。私とケイスケは問題ないけどどうしても安全に転送する際の準備に時間が掛かるの」

「どれだけかかりそうだ?」

「ケイスケと一緒でも明日の朝になるわ。あの時はもっと時間かかったけど2度目だからそれで行けるはずよ」

「鉄先生に来れるかどうか聞いてみて。私は由愛に聞いてみるわ」

「おう。分かった」


 真央の提案に異論はないのか馬皇はスマホを手に取る。


「もしもし。鉄先生。今いいですか?」

『こちら鉄。問題ないぞ。何か進展があったのか?』

「はい。真央が居なくなった生徒たちの足取りが掴めました」

『そうか。私も警察側との事情聴取が今終わった所だ。後の仕事はとりあえず校長に引き継ぎ私も明日から捜索に参加しよう。それと明日の朝一に連絡網がまわるだろうが今日の事件の関係で恐らく2~3日は学校も休みになるからその場にいる真田にも伝えておけ』

「そうっすか。お疲れ様です」

『いつ救出に行けそうだ? そして、帰還までにどれくらいの時間が掛かりそうだ?』

「明日の朝には行けるそうです。期間については未定です」

『……それならそれなりに時間が掛かりそう、か』

「はい。それに流れている時間がかなり違うと真央は言ってました」

『ということは、真田はいなくなった生徒たちのいる場所を知っているのか?』

「そう言ってました」

『そうか。それはかなりいい情報だ。こっちの方が時間の流れが速いのか?』

「いや、むしろ遅いそうです」

『帰還については?』


 真央の方を見ると話を終えた後なのか馬皇の近くで鉄と馬皇の話を聞いていた。思いのほか至近距離で馬皇は驚くが聞いていた真央は大きく縦にうなずいた。


「あるそうです」

『そうか』


 馬皇の情報を聞いて鉄は少し安堵する。少なくとも聞いている話だけでも人間もしくはそれに近い人種が生息できる場所であり、少しだけでもその場所を知っている者がいる。それに加えて例え長期間馬皇たちが言う場所から戻ってきたとしてもこちらでは短い期間で帰還できる可能性が高くなったのだ。それだけでもかなりの情報であるが機関の目途があるというのが一番大きい。


『ふむ。それならそれなりに長い期間は滞在しても問題なさそうだな』

「はい。それとクラスの生徒の合間と見つけた後にお願いしていた訓練をしてもらいたいんですが」

『こちらも調査を優先したいがそれならば問題ない。というかついてくるつもりだったのか?』

「クラスのダチが目の前で消えたのに探さない訳がないでしょうが」

『ふっ。それもそうだな』


 馬皇たちが独断で行方不明になった生徒たちを探していたことを踏まえて鉄は納得する。むしろ、今までの事を考えると大人しくしている方が無理であろうことは容易に想像できる。


「そんな訳なんで俺たち、俺、真央、由愛、サライラも行きます」

『待て。山田も連れて行くのか?』

「はい。真央がどうしても連れて行きたいと。拠点もあるそうなんで安全は保障すると言ってます。そして、連れて行かないなら1人で行くとも」


 先程の話を思い出してそう言うと真央が慌てて頭と手を横に振る。馬皇それを無視する。


『……いいだろう。それと手はあった方が良い。お前らを除いて何人くらいなら連れて行ける?』


 真央を見ると睨みつけながらも2本指を立てる。


「2人だそうです」

『ふむ。少ないがいいだろう詳しい話は後で少しだけ出来るか?』


 真央はうなずいた。


「出来るそうです」

『分かった。今から戻るから真央には話を詰める事を伝えてくれ。すぐ戻る』

「分かりました。失礼します」

『ああ。後で落ち合おう』


 そう言って鉄の電話が切れた。


「何言ってんのよ‼」

「でも、そう言わないと由愛連れていけないだろ?」

「確かにそうだけど……」


 馬皇の言い分に真央は言いよどむ。由愛は真央がたずねると来ると言っていた。今更駄目って断りは言いづらい。わがままなのは理解しているが素直になれない真央に馬皇はたずねる。


「それに由愛には来てほしいんだろ?」

「それはもちろんよ。何と言うか来てくれた方が良い気がするの」

「それならいいんじゃねぇか」

「それもそうね」


 馬皇がそう言うと真央も吹っ切れたのか明るく笑みを浮かべる。馬皇は空を見上げる。そこは雲1つなく月がきれいに輝く。


「月がきれいだな」

「そうね」


 月の光で照らされた教室。教室から唐突に月を眺めている馬皇と真央。それを見ていたケイスケはたずねた。


「あの? 告白ですか?」

「違うわ‼」

「ちげぇ‼」


 馬皇と真央は同時にツッコミを入れた。

次回はリーングランデに出発する予定です

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