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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第七章 異世界召喚騒動
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2話

更新しました。楽しんでくれるとありがたいです

「それで? 何があった」


 生徒指導室につくと鉄はたずねた。


「他の生徒たちが私たちの前で消えたの」

「何を言ってるんだ?」


 真央が素直に答えると鉄は頭をかしげる。馬皇たちも本気で訳が分からないのか少し苛ついた様子で答える。


「俺たちも分かりませんよ。魔法陣が現れてから閃光と同時にいきなり消えたんです」

「馬皇の言ってることは本当よ。鉄先生。恐らく魔法が関係するのは分かってるんだけどあの短い時間だけじゃ私も分からないわ」

「むぅ。それならどこに行ったのかも分からない、と?」

「ええ」


 真央が馬皇に同意すると鉄は思い切り渋い顔をする。閃光と共に生徒たちが消えたとなると本当にどうすればいいのか分からない。といった様子で真央にたずねる。


「なら痕跡をたどるというのは出来そうか?」

「時間があれば出来るわ。ただ、なるべく早めにしないと痕跡が消えるし人が多すぎるとたどれないわ」

「ふむ。それなら今日の夜に確認をお願いするが大丈夫か?」

「大丈夫です。それに私とこいつだけ置いてけぼりにされたのは腹が立ちますし」


 真央は少し怒った顔をして鉄に言った。鉄は真央の様子に困惑する。


「お、おお。とりあえず君たちだけでも無事でよかった。警察には連絡を入れているがこの話は信じてくれそうにないな目の前で突然教室にいた生徒が神隠しにあったなんてな」

「そうでもないと思いますがね」

「そうあって欲しいが現実はそうならないから言ってるんだ。魔物たちやダンジョンの出現。それ以外にも魔法や魔術の存在。そして、異族と異能。公になった者は多いが未だに信じられていないの現状だ」


 馬皇が楽観的に鉄の言葉に答える。その答えに鉄は難しい顔で今の世界の状態を答えた。現状、魔術や異能、ダンジョンに魔物といったものはかなり身近に存在している。それにそれらの存在はマイナスの存在ばかりではない。


 魔術や魔法であれば魔物避けやランプの代わりの光源。水を生み出したり外気の温度を調節する魔術のスクロールなど生活の中にまで浸透した。


 また、魔物やダンジョンは脅威であるが同時に新しい種類の素材でもある。ダンジョン内では新しい植物やモンスターの肉、果ては鉱石や宝石まで見つかっているのである。


 それらを求めて新天地を冒険するという意味でゲームにあるような何でも屋。冒険者と言う職業まで出来たくらいである。戦闘の講義や訓練を積んでまだ見ぬ新天地のダンジョンで素材集めや戦闘そういった恩恵があるのである。


 しかし、そんなファンタジーのような出来事が現実になったと言ってもまさか神隠しまで発生するというのは想定外である。特にいなくなった子供たちの親が納得しないだろうし現場を見ても証拠の類は一切わからない現場に警察も動けない。


「まぁ、目の前で見ても未だに信じられないのよね。私たちも」

「そう言う訳だ。警察とは我々の組織も含めて浅い仲ではないから一応こっちで説明をしておく。それと許可出しておくから夜に確認を頼む。生徒たちには全員帰らせるように伝えておくからお前たちも今は帰りなさい。それと荷物に関しては今日は多分教室には入れないからすまないが手ぶらで帰ってくれ」


 鉄はそう言うと扉を開ける。外にはちょうど警察官らしき制服を着た人がいて鉄が出てきたことに驚く。が、すぐに一緒になって現場へと向かって行った。


「さて、と。現場を見た側としては説明を要求されそうだったけど鉄先生には感謝しかないわ。本当に」

「だな」


 一番面倒な説明を鉄が引き受けた事に感謝しする馬皇と真央。


「あの。今まで喋らなかったんですが私たちも手伝った方が良いですか?」


 今まで話を聞くだけだった由愛がたずねる。それにサライラがうなずく。教室を離れていた間にクラスメイトが居なくなっていたのである。心配するのは当然だった。


「うーん。とりあえず夜は私と馬皇で調べてみるわ。一応目の前で見たのは私たちだけだし」

「そうですか」


 真央の話に少ししょんぼりとする由愛。さすがにその姿に罪悪感を覚えたのか真央は続きを口にする。


「だ、大丈夫よ。何かあれば私も由愛にお願いするわ」

「そうですか」


 真央に頼られることが嬉しいのか笑顔と一緒に声のトーンが上がる。その姿に真央はほっと一息つく。


「それと時間はどうする?」


 馬皇が思い出したように真央にたずねる。真央も考えていたのか


「とりあえず夜の10時ね。鉄先生もこの時間だったら解放されているでしょうから。連絡入れられる?」


 馬皇が鉄に相手をしてもらうと言っていたことを思い出す。恐らく連絡先を知っているだろうと仮定して真央はたずねる。


「ああ。学校に着いたら連絡するってのはどうだ?」

「そうね。とりあえずそれで行きましょうか」

「決定だな」

「ええ」


 馬皇と真央はうなずき合う。決めることを決めたからかそのまま帰宅の準備を始める。馬皇たちの後ろ姿を見て真央は小さくつぶやいた。


「どこに行ったのか痕跡が分かればベストなんだけど……」


 馬皇たちはとりあえず言われた通りに帰宅するのであった。

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