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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第七章 異世界召喚騒動
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プロローグ

新章開始です。よろしくお願いします

「ふんふんふんふ~ん」


 リーングランデ。泉の塔。ケイスケ・シンシは掃除をしていた。真央が根こそぎ書物を持って行ったとはいえ長年住んでいた塔である。このまま捨てるには惜しいとケイスケは真央が帰って来てもいつでも使えるよう管理を続けていた。


「やっぱり本棚の裏は汚れてますね」


 掃除用の魔道具を使ってからになった本棚を掃除しケイスケ自らが見つけてきた新しい魔道書を本棚に入れる。


「真央様がいつ戻ってきてもいいように新しい本を用意しましたが埋まるのは相当時間が掛かりそうですね」


 全体の1割も埋められていない本棚を見て呟くケイスケ。魔法そのものは日進月歩。すぐに新しい理論や魔法が生まれたり廃れたりするのだが、実際は理論を含む魔道書が出来るのは少ない。世界全体を探せばそれこそ無数にあるのだが大体は偽物だったり使い物にならないケースがほとんどである。


「これで終わりっと……。次は」


 本棚に新しい本を入れ終えたケイスケは次に魔道具を置いている研究室へと足を運ぶ。中に入ると机には最近ケイスケが見つけた魔道具が入った鞄が国ごとに置かれている。これらはケイスケが部下に集めさせた魔道具たちである。鞄を手に持つと手を突っ込んで魔道具を取り出す。どういう魔道具なのか確認のために魔力を流す。使用できるものは収納箱に入れ壊れている物は別の箱に入れる。


 それを繰り返す事10分。とある国の鞄の魔道具を確認し始めると独り言を口にする。


「それにしても……。この魔道具は地球の道具に似ていますね。これが時代の流れなんでしょうか」


 ケイスケは最近できた魔道具を手に取る。地球のライターの形をしたそれはスイッチを押すだけで魔石から魔力を吸い取って火種を作る。また、その横にあるのは蛇口の形をしており適当に壁に貼り付けて蛇口をひねると水が出てくる。


「おっと。いけない」


 建物の中でそれも何も置いていない場所で水を出したために床に水が流れる。慌てて蛇口を閉じるが床にはそれなりの量の水が散らばっている。散らばった水に魔力を流し込むと水は浮き上がり小さな球体を作り出す。水は邪魔にならないように蒸発させると確認の続きを再開する。


「うーん。本当に似ている。あの世界の物を模したという方がよっぽどしっくりきますね。それに他の国の魔道具は今もそこまで変わらないと。怪しいですね」


 全ての国の鞄の確認を終えるとケイスケは違和感を口にする。その違和感は顕著だった。ケイスケが呟いたある国だけがまるで真央たちのいる世界ケイスケの前世の世界の道具にそっくりだったのだ。これは怪しいとしか言いようがなかった。


「とりあえずこの国に行ってみますか」


 ケイスケは旅用の鞄を持って件の国のとある場所に作った仮住まいに転移する。家から出ると魔道具を入手した場所とは違うなじみの魔道具屋の1つに入る。


「いらっしゃい。ってあんたか。今日はどうしたんだい?」

「ええ。いきなり済ません。これについて聞きたいんですが?」


 顔なじみの店主の声にケイスケはさっき使用した火種の魔道具を取り出す。それを見て店主はあっさりと答える。


「また変わったものを持ってくるね。これはこの国が開発に成功した新型の火種の魔道具だな? 家にもあるぞ」

「国が?」


 店主はケイスケが持ってきた火種の魔道具と同一の物を棚に置く。ケイスケは気になったのか2つのライターの魔道具の横に金貨を一枚置いた。それを見た店主は懐に自然な動作で金貨を懐に入れると何事もなかったかのように話を続ける。


「確か、最近異世界人たちを召喚したとか知り合いの商人たちが言っていた。彼らの知識を元に貴族の1人が作りだしたと聞いている。おっと。そう言えば商人たちが今のところは秘密にしてくれって言っていたな。口を滑らせてしまったが内緒にしておくれよ。ところで最新の魔道具なんだがどうだい? 良く買ってくれるからサービスしておくよ」


 店主は人差し指に手を当てる。それに対してケイスケもうなずく。


「分かりました。それはどんな魔道具なんです?」

「おう。よく聞いてくれた。っていってもこれを魔道具って言っていいのか微妙なんだがこれだ」


 そう言って丸い玉を取り出す。


「? どう見ても魔石ですよね?」

「ああ。正確にはこの魔石に細工してあるんだ。これに魔力を込めて10秒すると爆発する」

「爆弾?」

「爆弾?」

「いや。何でもないです。爆発する魔石ですけど。使い捨てとしては便利ですね」

「だろ? でも、売れなかったらしくてな。知り合いに1個押しつけられた」

「売れなかった? 使い方次第ではかなり便利な品物でしょうに」


 ケイスケは思っている事を口にする。使い捨てではあるが込められている魔力からしてそれなりの威力であることがケイスケには推察できる。しかし、売れなかった。それが疑問に残る。


「値段がな。これ作るのに使った魔石がマグマ・リザードらしくてな魔石だけですら金貨1枚の代物だ」

「うーむ。確かにそれだと割に合いませんね」


 ケイスケは納得した。マグマ・リザードとは火山の溶岩の中に潜むトカゲだ。トカゲではあるがそのサイズはかなり大きく5mほどある。何より厄介なのは鉱石などを食べて過ごしているために皮そのものが固く火を吹く。また熟練冒険者でも発見するのが難しくいきなり現れて強襲されたという話をよく聞く魔物である。そのためマグマ・リザードの素材は全体的に貴重である。


 割に合わないと言ったのは質が良いため魔石も武器や盾に組み込めば火に耐性を持った立派な武具や防具になるのである。そう言う意味ではとても需要が高く人気の魔石なのだ。


「ああ。使い捨てにするよりもはるかに使い勝手がいいからな。それを知ってて作ったって言ってたな」

「そうか。貰います。お代は?」

「買ってくれるのか?」


 本当に買ってくれるとは思っていなかったらしく店主は思わず聞き返した。それを見てケイスケは苦笑する。


「売ってくれるんじゃないのですか?」

「いや。冗談半分で言ったからな。お前さんが欲しいのは魔道具だろう?」

「確かに魔道具も買いますけどがそんな馬鹿らしいものでも面白ければ買いますよ? それに面白い話も聞けましたし」

「そうかよ。悪いな。銀貨5枚だ」

「いいのですか?」


 ケイスケは思わず聞き返す。魔石だけでも金貨1枚と聞いていたのでその1.5倍は覚悟していた。しかし、言われた値段はその半分の銀貨5枚。魔石の半額であった。


「ああ。どうせ貰いもんだからな。魔石自体も何も加工されてなければもっと値段上げれるんだがもう他に加工できないんだ。それに売れなくて2年ぐらいになるから残してても仕方ねぇよ」

「そうか。これはお代です」

「まいど」


 銀貨5枚を渡して商品を受け取る。ケイスケは爆発しないように封印を施してから鞄にしまう。


「また来ます」

「おう。またごひいきに」


 ケイスケは店を後にすると家に戻る。一旦、泉の塔に戻って鞄を置く。


「これは真央様にご報告しないと」


 店主の話を聞いたケイスケは得た情報を真央に報告するために召喚の応用して作り出した世界間転移を実行。この世界からケイスケは姿を消した。

今回は連投します。21時に1話を更新します。

ガスバーナーでは分かり辛いのでライターに変更しました。

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