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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第六章 修学旅行は地下世界都市‼
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32話

 サライラが飛び出しに合わせて翼を広げ加速しながらリンネによる突きを鬼神に放つ。鬼神も先程切られすぐに氷漬けにされたためか距離を取ろうと離れる。サライラも鬼神を逃がさないように距離を詰める。


「―――」

「ここ‼」


 サライラが魔力を込めて鬼神に薙ぎ払う。込められた魔力はリンネの軌跡をなぞる様に間合いの外の鬼神の体を真っ二つにする。


「まだまだですわ‼」


 動きが止まった逃さずサライラはリンネを縦に振るう。十字の形で分割された鬼神に息をつかせない程の速さですぐに再生されないようにバラバラの方角に下半身を吹き飛ばしていく。


「―――、――――」

「やらせませんよ」


 すぐさまに再生しようとあがく鬼神に大きく息を吸うとサライラは口からブレスを放つ。馬皇にも負けないような光の奔流となって上半身を焼き尽くそうとする。

時間にして4秒。光の線となったサライラのブレスが収束して完全に消える。そこには鬼神の姿はなかった。


「どこに?」


 先程の事を考えるとこれでやられたとはサライラは考えない。ブレスの魔力の奔流には鬼神に当てた手ごたえはあったがあの驚異的な再生力と先ほど見せた狡猾さがサライラをさらに警戒させる。見失った存在を探して辺りを見回すとクリスが叫んだ声が聞こえた。


「サライラ‼ 後ろです‼」


 サライラは声に反応して咄嗟に振り返ってリンネを縦にする。そこには鬼神がいつの間にか再生しており振った腕の衝撃がサライラのリンネを伝う。


「ごはっ‼」


 鬼神が大きく振りかぶった一撃にサライラは突き飛ばされる。突き飛ばされた先の建物を巻き込んでサライラは背中の衝撃に息が漏れる。


「―――。―」


 鬼神は先程まで攻撃を仕掛けていた相手に止めを刺すために歩いてサライラの元へと向かう。その姿は何かあるかもしれないという警戒からなのか余裕の表れなのかゆったりした動作で歩を進める。


「―――? ―――」


 鬼神は不意に足を止めた。止めさせられた。鬼神の胸元に氷が貫通していた。足元を見ると冷気が侵食して完全に下半身が氷漬けにされる。


 しかし、全身を氷漬けにされたことを覚えているために体全体を振動させて氷を破砕する。そして、氷漬けにした相手を見る。真央が鬼神を見て笑った。


「甘いわ。相手はこっちにもいるわよ」

「―――。―――‼」


 真央がそう言って挑発する。真央の戦線復帰に鬼神は吠えた。その振動に真央は顔を顰める。


「うるさい。傷に響くわ」


 鬼神は真央の方に向かって突撃する。それに対して真央は魔力障壁をはって鬼神を受け止める。並行して僕を召喚した。


「来なさい。ケイスケ」

「お呼びですか? 真央様。って‼ 怪我しているじゃないですか‼」


 呼び出されたケイスケは真央の前に立って一礼すると迫ってきた鬼神が真央の魔力障壁を破壊する。ケイスケは迫ってくる鬼神を重力の魔法を使って押しつぶすように足止めするといつものように真央を観察する。ケガをしている事に気が付き慌てて回復魔法を使う。


「問題ないわ」

「問題ないじゃありませんよ。私の主なのですから必要があればすぐにお呼びください」


 そう言いながら怪我の具合を瞬時に解析して回復させるケイスケ。わずか数秒で回復を終えると鬼神の方が重力の魔法から適応した様に立ち上がる。


「ふむ。これは厄介な相手ですね。それにユリウスや馬皇さま、サライラ様と同じような気配がしますね」

「分かるの? サライラと馬皇が竜の気配がするって言ってたけど正直混ざりすぎてて何が混ざってるのか分からないわ」

「そうでしょうね。この気配はかなり微妙な感じですし私もユリウスと良くケンカをしていたのからその手の気配には人よりも敏感ですから偶然わかったようなものです」


 立ち上がった鬼神は何かの声を上げるように雄たけびを上げた。


「―――――‼」

「うるさいですね。今は真央様とのお話の最中ですよ」


 ケイスケは魔力を固めた弾で鬼神の死角から弾を当て続ける。いくら聞いていないとはいえ大量の光弾に視界をふさがれ違和感がない訳がない。鬼神は光弾のない所に避難する。


「ところで馬皇様は? 普段であれば大体こういう戦闘時にはご一緒ですよね?」


 ケイスケがそう言うと真央は顔を顰める。


「そんなに私あいつといるかしら? あいつはこいつを殺す手段を取りに行ったわ」

「という事はあれは死なないんですね。それならば時間稼ぎをしたほうがよろしいのですね」


 真央の言葉の裏を読んでケイスケはあっさりと時間稼ぎをすることたずねる。真央はうなずいた。


「ええ。あいつは塵レベルでバラバラにしても再生するから厄介でね。1回氷で封じたんだけどまさか全身を振動させて熱を発生させたわ」

「そうですか。適応するのが早いですか」

「そんな所ね。そろそろサライラも起き上がるころね」


 真央がそう言うと倒れていたサライラが立ち上がる。サライラの闘志は衰えていないのか鬼神を見るとサライラが吠えた。その轟音に共鳴するかのように鬼神も吠える。


「――――‼ ――ゥゥウウウオオォォォ‼」


 鬼神の全身の色が黒くなり腕と足が甲殻に覆われる。背中から翼と尻尾が生えて人の形から離れて行く。その姿はどこか馬皇の竜人の姿を彷彿させた。


「‼ あれはお父様に‼ 許さない‼ ゆるさない‼ ゆるさない‼ ユルサナイィィィ‼」


 鬼神の姿にサライラが怒声を上げる。馬皇の姿を模したような姿が許せない怒りのままにリンネに魔力を普段よりも多く込めて投げる。鬼神の体を貫通して真央が創りだした隔離結界を貫く。貫いたリンネはいつの間にかサライラの手元に戻っていた。


「ちょっと‼ サライラ‼ 何してんのよ‼」


 貫いた先をすぐに真央は修繕する。外に被害が出ないように真央がなるべく強めに魔力を込めて作られた結界であるため鬼神でも簡単には壊せない強度を誇っていたがサライラはあっさりと穴を開けた。さっきのようにすぐに修復できるがそれなり以上に魔力を消費するのでサライラに文句を言う真央。


「フゥゥゥ‼」


 真央の言葉が聞こえないのか唸り声を上げて鬼神を威嚇するサライラ。すぐに鬼神に飛びついて行った。鬼神も理性を失っているのかサライラとぶつかる。


「聞こえてないですね」


 見境なく戦いを始めた1人と1体に冷静にケイスケが言うと真央がイライラした様子で指示を出す。


「ああ‼ もう‼ ケイスケは隔離結界の維持‼ 私はあの娘を止めるわ‼」

「分かりました。真央様」


 真央は本来の姿になって鬼神と暴走しているサライラが暴れている中に飛び込んだ。

いつも読んで下さりありがとうございます。

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