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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第六章 修学旅行は地下世界都市‼
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25話

真央たちの視点です

 この魔法の雨には名前はない。鉄の槍。炎の玉。雷。氷塊。他にも見分けるのが億劫になるほどのあらゆる属性の魔法を地上に上がってきた存在に撃ちこむ。物量と魔力によるゴリ押しである。


「これは……。本当嫌になるわね」


 威力はそれなりだが今している魔法の雨は準備が必要なため戦いながらは無理かと考えながら真央の見据える先。50mほどから見える相手を見てため息交じりに呟くのと共に顔をしかめた。恐らく2mぐらいだろうか。馬皇から聞いていた大きさとは程遠い。が、それが人ではないことははっきりしていた。そして、向けられていないはずなのにこの威圧感。真央は馬皇が見た存在と同一であると判断してより細かく見据える。赤い皮膚。4本の腕。2本の角。この世界で有名な鬼に酷似しているのを真央は思った。


「まるで鬼ね。さしずめ鬼神ってとこかしら」


 神と呼ばれた異形の存在、鬼神は真央の攻撃には見向きもせずに上空の結界をこじ開けようと結界を掴んで放さない。その間に真央の攻撃が次々と当たっているがそのほとんどが何かに弾かれる。その反面で上級以上の魔法は当たったのが見えるが損傷した片っ端から再生しているために大してダメージを受けているようには見えない。


「真央。もう行ってもいい?」

「もう少し待ちなさい。今観察してるから。そうね。この攻撃が止んだと同時に飛び出しなさい。それに合わせるわ」

「分かりましたわ」


 真央は指示していないがサライラは律儀に真央にたずねる。強敵を目の前に我慢しきれないのかすぐにでも飛び出せるように構えたまま笑みを浮かべる。そして、あらかじめ仕込んでいた魔法を撃ち尽くしたと同時にサライラが翼を広げて飛び出す。


「それと私の中級以下の魔法が全部弾かれてるわ。だから、攻撃するなら気を付けなさい。今よ‼ 加速(アクセル)


 真央がサライラの飛び出しに合わせて魔法陣が出現する。魔法陣をサライラが通り過ぎるとサライラが飛び出した速度がさらに上がった。


「はぁぁぁぁぁぁ」


 サライラの掛け声と共にリンネを構え鬼神と衝突する。相手は防御すらしていないのに何かに阻まれるようにリンネの刃は刺さりもしていない。一種の均衡状態となり一瞬であるがサライラの動きが停止する。サライラはリンネに魔力を込める。


「断ちなさい‼ リンネ‼」


 リンネの力を使い攻撃を阻んでいる何かを鬼神の腕ごと切り裂く。


「やった‼ !?」

「―――――‼」


 言葉に出来ない叫び声が上がる。その様子に一瞬だけサライラは油断する。鬼神は切られた方の残った腕で反射的にサライラのリンネを掴み力任せに投げる。その一瞬にサライラはすさまじい速度で地面に向かって投げられる。軽く投げられた余波だけで城の近くの建物を貫通して地面に叩きつけられる。


「追撃よ」


 サライラと入れ替わる様に真央が鬼神よりやや下の少し離れた位置から鋭く作り出した氷の槍を放った。氷の槍は何の抵抗もなく異形に突き刺さる。突き刺さった先から冷気で触れた先から氷漬けにしていく。ほどなくして完全に異形は氷漬けになり動きを止めた。


「何よ。あいつはああいってたけど大したことないじゃない。でも、念には念を入れて」


 真央は馬皇が危惧していたよりもあっさりと氷漬けに出来た事に拍子抜けしながらも念を入れて凍った鬼神の上から新しく氷を作って覆う。半径5mほどの氷塊にしてから真央は一息ついた。


「ふう。ここまですれば簡単には出られないでしょ」


 作業を終えた真央がそう言うと氷から割れるような音が鳴った。氷塊の全体にヒビを作る。その様子に真央は壊れた部分を冷気で修復し補強するがその先から壊される。


「‼ ウソでしょ‼」

「――ふうぅぅぅ」


 真央がそう言うと氷塊は修復が追い付かなくなり砕けた。冷気の中から出て来たばかりのせいなのか鬼神の口からは白い息が漏れる。身の丈ほどもある砕いた氷の一部を鷲づかみして真央に投げつける。


「くぅっ」


 真央はとっさに攻撃を魔力で作り出した障壁で防ぐが勢いを殺し切れずに後退する。その隙を見逃さずに追撃するように鬼神の拳が真央の障壁にぶつかる。


「こんのぉぉぉ‼」


 真央は魔力と共に気合で鬼神の攻撃に耐える。勢いはなくなり強化した足で鬼神を蹴り飛ばす。


「……はぁはぁはぁはぁ」


 真央は息を荒げる。蹴り飛ばされた鬼神は少し離れた所で何もない空間で急に止まりまるで見えない足場がある様に立ちあがった。そして、真央を見つめて構える。理不尽な力の塊のような存在を見ると既に切られた腕は再生したのかくっつけたのか何事もなかったかのように存在している。


「……滅茶苦茶な存在ね」

「―――」


 声は聞こえるが何を言ってるのか分からない。真央は呼吸を整えると少しでも魔力の回復が出来るように精神を落ち着ける。


「話が出来るか分からないけど1つ忠告しておくわ」

「―――?」


 会話が成立するとは思えない真央であるがそう話しかけると鬼神は唸りのような怨嗟のような声を出して頭をかしげた。


「言葉が分かってるのかしら? でも、そんなの関係ないわね。後ろには気を付けなさい」

「―――‼」


 真央がそう言うと同時に鬼神は振り返る。そこには紅い眼を輝かせながらサライラがリンネを振り落した。

サライラおこモード。

次回は馬皇達視点の予定です

いつも読んで下さってありがとうございます。

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