4話
「ここは?」
資料館の休憩室。程よい広場になっており疎らではあるがその名前の通りに時間を持て余している生徒たちや一息つきたい観光客たちがここで休憩がてら一息をついてた。そこの長椅子の上に寝かされていた由愛が目を覚ますと近くには目の前には馬皇が座っていた。馬皇は由愛が目覚めたのに気が付くと由愛の方に顔を向けた。
「お、目が覚めたか?」
「あれ? 馬皇さん?」
由愛は体を起こして周りを見渡すと見覚えのない空間でありそこの長椅子の一つを占領していることに気が付いて馬皇の正面に座りなおす。
「ここは休憩室だ。ここの受付の人に聞いて使わせてももらった。急に倒れるから驚いたぞ」
「あの……あの後どうなったんですか?」
まだ少しだけ記憶があいまいなのか馬皇にたずねる由愛。由愛の状態を察して馬皇は倒れた後のことを話した。
「ああ。原因はよく分からんがとりあえず横になれるところを探して、俺はここで休んでただけだ。だから気にすんなよ。俺は元々興味ないから別に見れなくても問題ない。真央とサライラは心配そうな顔をしてたが、俺がいるからサライラ連れて見て来いって言ったら渋々だが見に行った。時間になったら戻って来るって言ってたから心配しなくてもいい」
由愛の様子を気遣って真央たちを自由にさせていることを言うと少しだけ申し訳なさそうな顔をする。そして、不意に由愛は笑った。
「ふふ。馬皇さんは優しいんですね」
「ばっか。そんなんじゃねぇよ。あいつらは興味津々だったが俺はこういうのには興味ないからな」
「そういうことにしておきます」
由愛が微笑むと馬皇は顔を逸らす。しばらく沈黙が続くがそこに居心地の悪さはなかった。ふと、馬皇が中央に掛けられている時計を見て話題を変えた。
「時間的には結構微妙だな。今から全部は無理だが真央たちと合流するか? 展示の資料ぐらいならある程度は見れると思うぞ?」
真央たちと合流するか尋ねる。時間を持て余すのもなんだと、由愛は少しだけ考えるが少しでも見ておいた方がこの後の場所も楽しめるのでは? という考えに至って由愛は答えた。
「そうですね。せっかくなので少しでも見た方が……」
「ねぇねぇ‼ 面白いのを見つけたわ‼それに由愛も目が覚めたのね‼ 丁度いいわ‼ 早く‼ 早く‼」
由愛の言葉の途中で真央が慌てた様子でやってきた。興奮した真央は矢継ぎ早に馬皇たちに言葉を重ねて目的の場所へと連れて行こうとと手を引く。そんな真央の様子に由愛も馬皇も困惑しかない。
「えっと……そんなに急かさなくても行きますから」
「慌てなくてもまだ時間はあるだろ。何があったんだ?」
「いいから行きましょう‼ 見ればわかるわ」
背中を押して目的の場所まで真央は押していく。馬皇と由愛を連れて入口から細かい展示品などを無視して出口付近の歴代当主の写真が並べられたゾーンに着く。
「ここですわ」
手前から時代順に並べられており一番奥の方でサライラは馬皇たちが来たことに気づいて軽く手を振っている。押されるがままにサライラの元へと到着すると真央たちが呼んだ理由を理解した。
「……そっくりだな」
「そうですか?」
馬皇がそう言うと由愛はあまり実感がないのか頭をひねりながら答える。そこには由愛そっくりの少女が写っていた。髪の長さは由愛よりも長いがそれ以外は鏡写しのように瓜二つである。同一人物であると言われても恐らく見分けはつかないであろう。
「でしょ? 私もこれを見た時は驚いたわ。血縁とかあるのかしらね?」
「そんなこと俺が知るかよ」
真央が勝手に推論を述べるが馬皇はそんな事を知る由もない。一方で由愛も身に覚えはないのか自身の記憶を引っ張り出しては違うと頭を横に振る。
「私も親戚とかの顔を思い出してもそっくりの人は見たことないですね」
「そっか。なら、偶然なのね。不思議なこともあるものね」
真央が由愛を見てたずねると由愛は親族類の記憶にはないと答える。その答えに真央は少しだけ残念そうにするが不思議なことには変わらないのか交互に写真の少女と由愛を眺める。
「本当にそっくりよね。何か起こらないと良いけど」
「おい。止めろよ。そんなこと言ってると絶対に何か起きる」
「分かってるわよ。でもねぇ……」
騒動に巻きこまれたことや突っ込んで行った今までの事を思い出して真央は渋い顔をする。真央の言葉に馬皇も否定しきれないというよりも確信しているのか苦そうな顔をする。
「大丈夫ですよ」
そんな微妙な顔をする馬皇たちに由愛は自信満々に答える。
「その心は?」
「馬皇さんたちが守ってくれますよね?」
「はっ。そうだな」
「ぷっ。そうね」
そう言ってにこやかに由愛は答える。あっさりと言ってのける由愛に馬皇も真央も吹きだすと由愛に笑いかける。
「私も居ますわ」
話を進める馬皇たちの対してサライラがむくれる。
「そうだったね。ごめんサライラさん。頼りにしてるよ」
「もちろんですわ」
そんなサライラに由愛は優しく微笑むとサライラも笑顔で答えた。その後も馬皇たちは時間いっぱいまで資料館を満喫するのであった。
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