2話
すいません。遅くなりましたが更新です
バスに乗って2時間程度。休憩をはさみながらも陰陽都市アマノハラの関門エリアに到着すると入国の審査を終えて順番に転移装置を通り抜けていく。その中で無事に入国許可が降りた由愛は指示されたように歩いて行き転移装置を超える。外に出ると普段とは全く違う景色に由愛は声を漏らした。
「わぁ」
空を眺めると大陸が見える。空中に海が浮かんでいるように見える景色はとても圧巻である。何よりも中心には太陽のような強い光が世界を照らしている。球の内側のようになっている世界の様子に地球の内側から見ているような錯覚に陥りそうになる。
その傍らで聞き覚えのある声、真央と馬皇が話し合っていた。
「いろいろ解析してみたけど、この世界は面白いわね」
入国審査などで時間が掛かるために入国出来たらしばらくはこのエリア付近では自由時間となっているために各々自由に見て周っている。そんな中で真央はこの世界の構成を解析、吟味しては笑みを浮かべる。それに対して馬皇はそういった事に興味はないのか気のない返事をする。
「そうか?」
「なんで‼ あんたもそれなりに魔法使えるんだからこの世界がどんだけ面白いのか分かるでしょ‼」
馬皇の薄い反応に信じられないと言った表情を向ける。馬皇は興奮している真央の様子に面倒くさそうに顔を歪める。
「ごちゃごちゃしてて面倒だろ?」
「はぁ……。あんたに期待した私が馬鹿だったわ」
「あ?」
「あん?」
「馬皇さん‼ 真央さん‼」
圧倒される景色を一通り楽しんだ由愛はそっと2人に近付いて呼びかけた。違う世界に来ても相変わらずなやり取りをしている馬皇と真央に苦笑する。馬皇たちも思いのほか近くに由愛がいたのに気が付かなかったのか急に由愛に声を掛けられると驚いた。
「わっ‼ って、なんだ。由愛じゃない」
「おわ‼ って、由愛か」
ケンカ一歩手前だった2人は急に声を掛けられて体を一瞬震わせると声の方へ向く。その先には由愛がいて2人は落ち着いた。2人の反応がほぼ一緒だったことに由愛は苦笑する。
「それで? お2人は何を言い合っていたんですか?」
馬皇たちのやり取りが気になって話を聞くと馬皇と真央は顔を見合わせた。
「なんだったっけな?」
「この世界の構成についてよ」
「そうだ。そうだ。この世界の魔法はゴチャゴチャしてるってことだな」
真央の発言にスッキリした顔で自分の感想を思い出す。
「違うわよ。この世界を構成した魔術が人の歴史の研鑽を表しているようで面白いのよ」
「は、はぁ……」
真央はうっとりとした顔でそう答えると由愛は着いて行けないのか曖昧な返事しかできない。
「真央。由愛が理解してませんわ。もっと簡潔に」
「それは悪かったわね。そうね。この世界の魔法使い、いえ陰陽師だったわね。偶然もあるんでしょうけどその陰陽師たちたくさんの人間が長い時間をかけてこの世界を作り上げたって言ったらすごいと思わないかしら?」
「はぁぁぁ。すごいんですねぇ」
由愛が感動すると真央が嬉しそうに胸を張って答える。
「ちなみに上を見上げれば大陸が見えると思うけどこの世界は全部繋がっているわ。丁度、ボールとかの内側に当たるのがこの世界で外側が地球ね」
「そうなんですか‼ という事はあれは錯覚じゃなくて本当に……」
そんな驚きを持ったまま空の大陸をよく見てみると見覚えのある大陸を目にする。
「真央さん」
「何?」
「あの陸地ってアメリカ大陸ですよね?」
「そうよ。正確にはその裏側に当たるわ。いま私たちが立っているのは日本の裏側よ」
「そうなんですか?」
由愛は上空に映っている大陸の中で見覚えのあるような形で知っている場所を指さす。左右対称になって映っている大陸が自分の知っている大陸だと知り、今立っている場所が日本の裏側だと知って改めてここが異世界の一つである事を実感する。
「ええ。それとしれっと混ざり込んで来たけど、サライラはやけに時間かかってたわね?」
由愛に説明を要求していたサライラはというと定位置とでもいう様に馬皇の背中にしがみ付いており器用に背中から顔を出すとそのままの状態で口を開いた。
「なぜか入国する前にやたら卒業したらここに来ないか? って尋ねられましたわ。興味なかったのですけど相手が勝手に話すから時間が掛かったの」
「勧誘ですか?」
「さぁ?」
サライラは興味なさそうに一言答える。背中にしがみ付かれたままの状態を何とかしようと馬皇は手を伸ばして引き剥がそうとするが姿勢が姿勢だけに力が入らず服を破かないようにサライラを引き剥がせない。
「サライラ。隠蔽は使ったのか? よく見るとが隠蔽が綻んでるが?」
「?」
馬皇がサライラに聞くとしばらく自身の身体を調べるために確認するが特に何か問題になりそうな所はは無くきょとんとした顔で頭をかしげた。その隙に馬皇はサライラを引き剥がすと自身の旅行鞄の上に座らせると共通のルールでもあるのかサライラも先程と違って馬皇に抵抗せず素直に大人しくする。そのサライラの様子に馬皇は困った顔をした。
「あ~。サライラ。もっとよく見てみろ?」
もう一度サライラにたずねるともう一度確認する。そして、座ったまま腰に手を当てて自身満々に答えた。
「完璧ですわ」
「よく見ろ。ここだ。少し隠蔽がほころんでるぞ」
「あ。本当ですわ」
馬皇が指摘するとサライラはもう一度確認する。するとほんのわずかにだけ隠蔽する魔力で編んだ膜が綻んでいることに気が付き声を出す。
「多分、普通だったら気づかないだろうな。隠蔽は出来てるから魔力量も普通の人間ぐらい。でも、審査の時の機械がやたら精密で看破の術式が強力だったからそこから漏れたんだろうな」
馬皇が検査の機械を思い出すとそれに真央が便乗する。
「そうね。普通だったら今のサライラの隠蔽でも全く問題ないけどあれは少しでも綻びがあったり弱かったりすると見つけてしまうわね」
「むぅ。機械に負けるのは少しばかり悔しいですが、その程度だったら別に問題ありませんわ。でも、お父様に会うための時間を削られるようでしたら滅ぼしますわ」
サライラは機械にばれたことに不満を漏らして頬を膨らませる。その後すぐに笑顔で滅ぼすと言うと馬皇は困った顔をした。そして、その横で聞いていた真央が馬皇の脇を肘でつつく。馬皇は真央を見ると何とかしなさいよと言うような視線を送る。
「あ~。程々にな。せっかくの修学旅行。時間を無駄にしたくないだろ」
「そうですわね。酷くならないようでしたら放っておきますわ」
「おう。そうしとけ」
「あ。そう言えばもうそろそろ時間です。どんな旅行になるのか楽しみですね。皆さん」
あっさりと了承するサライラに馬皇がそう言うと思い出したかのように由愛が時計を見て集合の時間に近いことを告げた。
「だな。満喫しようぜ」
「そうね。そろそろ行きましょう」
「分かりましたわ」
由愛の言葉に馬皇たちはゆっくりと指定されていた集合場所へと歩き出した。
地下世界の設定を確認していたら遅くなりました。イメージはアガルタや地球空洞説やらといろいろありますがとりあえず地球の内側は空気の入ったボールの内側のように空洞があってその内側の陸地に魔術師や陰陽師たちが住んでいたという事だけイメージできれば問題ありません。
後、こういった元々諸説あるような設定を使うのを説明したり実際に使うのは少し苦手ですのでおかしいところ等あれば教えてもらえるとありがたいです。遅くなったりすることも有るかもしれませんがなるべく更新できるようにしますのでこれからもよろしくお願いします。




