おまけ2・焼肉の話
下手ではありますが飯テロ注意。プロローグのグリフォンの話です。
「何してるんですか? 鉄先生」
休みの日の夕方。帰り道の橋から見えた川原で馬皇は忙しそうに動いている鉄に話しかけた。鉄は紙や木炭をうまい具合に隙間ができるように敷いて火をつけ始める所だった。
「馬皇か? こんな所で会うとは奇遇だな」
火をつけて団扇で風を入れこむと火が燃えやすい紙から燃え始める。しばらく、木炭に火が燃え移ったのを確認すると、鉄がテキパキと準備しながらクーラーボックスに入れられた肉の塊を取り出す。馬皇は魔力の残滓が残っているのを感知するが肉の塊の状態では何の肉なのか全くわからず頭をかしげる。
「鉄先生? 何の肉っすか?」
「昨日狩ったグリフォンの肉だ。頭もある」
そう言って鉄はグリフォンの頭を取り出す。確かに、人の頭を超える大きさの鷲の頭。その頭と同種の魔力の残滓に馬皇は頭を抱える。
「鉄先生。これどこで手に入れたんですか?」
「この辺の山だな。どうにも被害が出ていたから依頼されたんだ。午前中は見つからなかったが午後にな。ちょうど休憩してたみたいで後ろから背中に乗って鶏と同じ要領で首をへし折った」
「そんな簡単に……」
グリフォンは鷲の頭と羽にライオンのような強靭な体を兼ね備えた魔物である。さらに、長い時間上空を飛び回り足の爪を使って動物を捕食する。他の野生動物同様に警戒心が強く、人が背中に乗る前に気が付き返り討ちにあったなど話が多く凶暴である。間違っても鶏と同じように首をへし折ろうとしてもまず成功しない。
「まぁ、久々に全力で首をへし折ったがな。思いのほか堅かった」
鉄の言葉に馬皇は何も言えなくなる。そうこうしている内に火がそれなりになったのを見計らって鉄は上に鉄板を置く。
「いい肉が手に入ったんだ。ならば、焼いて食わないとな」
「ああ。それで」
馬皇が呼ばれた理由に納得すると鉄はうなずいた。
「ああ」
「他には誰を呼んだんですか?」
そこでふと気が付いたことを訪ねた。周りを見回してみるが誰も居ない。しかし、あの量の肉だ。到底1人で食べ切れるわけがない。となると、他にも人を呼んでいるはずである。
「知り合いとこのセットを貸し出してくれた者だな。今、飲み物とか取りに行っている」
「それで足りるんですか?」
「何、あれ1頭狩ったら番だったらしくてな。もう1頭分ある。それは飛んでたから校長が銃で仕留めた。こんな依頼がたまにあるが今度行くか?」
「ぜひ」
鉄が誘うと馬皇は即答する。そして、熱した鉄板に油を少量敷くと肉を投入する。肉の焼ける音と油の弾ける音。そして、肉の焼ける匂いに馬皇はお腹を鳴らせた。馬皇はなった腹の音に気まずそうに鉄に顔を向けると鉄は笑い声をあげた。そして、嬉しそうに言った。
「そうか。そうか。なら、肉喰って行くか?」
「……はい」
馬皇がそう言うと鉄は肉に塩コショウとシンプルな味付けをする。味付けを終えると水を少しだけ加えてフタをして蒸し焼きにする。しばらくして、食べごろのほんの少し前になるとタイミングよく集団が帰ってきた。
「ただいま。いろいろ買ってきたぜぇ」
「おう。戻ってきたか」
集団の先頭にいるおっちゃんが酒やら調味料やらを持ってやってくる。
「お? 鉄の知り合いか?」
「ああ。今の教え子の1人だな」
「お邪魔してます」
「おう。今日日の中学生はでけぇな」
「こいつは特別だ。こいつもさっき誘ったが大丈夫か?」
馬皇が中学生であることを知ると馬皇を見て驚く。その後鉄が馬皇も参加させて大丈夫かたずねる。おっちゃんは馬皇に笑いかけると楽しそうに言った。
「そうか。なら、この出会いに一緒に喰おうぜ。なぁ? 良いだろ?」
おっちゃんが後ろを向いてたずねるとついてきた人たちも問題ないのか「いいぜ」とばかりに同意の声が聞こえてくる。そして、すぐに馬皇の席用の新しいイスを用意し始める。
「おう。ぼうず。いいよな?」
「分かりました。いただきます」
「おう。食っててけ。食っててけ」
「よし。完成だ。最初はシンプルに塩焼きだ」
馬皇をあっさり受け入れると鉄がフタを開ける。フタを開けると今まで蒸し焼きにされていた肉の蒸気の匂いが辺りに広まる。その匂いにつられるように先程まで準備していた人たちが周りに集まってくる。
「おお‼ 旨そうだ‼」
「だろう?」
鉄は肉を紙皿に乗せると馬皇に差し出した。
「ほら。食ってみろ」
「いいんすか?」
馬皇はいきなり差し出された肉に戸惑ってたずねる。
「なに。肉はまだある若いもんに先に味見させても誰も文句は言わねぇよ」
「むしろ、さっさと食って俺らにも食わせろ」
おっちゃんがそう言うと周りにいる人たちも馬皇に期待する。
「じゃあ、先に……」
馬皇がそう言ってグリフォンの肉を口に入れる。焼きたての身から油が弾けて馬皇は一瞬、熱さで口から出しそうになるが肉のうまさに顔がゆるむ。野生の生き物で筋肉が多いが決して固すぎるとか筋張っているとかはなく程よく野性味あふれた肉の味がシンプルな塩とコショウにマッチする。そして、気が付けば無心で肉をしっかり噛んで味わった馬皇は一言。
「うまい」
その一言と馬皇の様子におっちゃんと鉄たちは気をよくして肉を分けて新しい肉を焼き始める。
「うおっ‼ うっま‼」
「野生の動物って聞いてたけど思ったよりも柔らかいんだな」
「塩以外にも試してみようぜ‼」
「鶏肉用の自家製の特製ダレとか持ってきてるんだがどうよ?」
「ほら? それだけじゃ足りねぇだろ? もっと食べな」
「ありがとうございます」
「まだ肉はある。じゃんじゃん焼くからどんどん行くぞ」
「「「「「おおおぉぉぉ‼」」」」」
鉄の言葉に声を合わせて一斉に返事をすると鉄は気をよくして肉を焼く量を増やす。そして、他の場所ではどこから取り出したのか、ホットプレートを取り出して別の味を焼き始める。馬皇はその匂いに誘われるがままにいろんな味の焼肉を味わうのであった。
更新しました。書いた後思うことは、いまいち生かし切れていない気がするので指摘して下さると有りがたいです。おまけや閑話のイメージ的には某RPGのシステムです。
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