21話
すいません。遅くなりましたが更新です。
「馬皇も大概だったけど先生とあのおっちゃんも化け物だろ」
遠目からでも確認できる土で出来た城壁。登ろうにもミニ・ユミルでは完全に高さが足りていないほど巨大である。ミニ・ユミル達はまるでイノシシのように壁沿いを走りそこに通り抜けられるスペースがあるのが分かっているかのように走る。そして、鉄と親部が迫りくる巨人たちを正面から1体ずつ1体また1体と屍の山を築き上げていく。
「それにしても思っていたより動きが単調ね」
真央は馬皇たちの周りを飛び洋介が飛び込めるチャンスをうかがいながら考察する。人一人を取り込んだにしては思考が単純すぎる。その考察に対して洋介が馬皇を指さす。ユミルと馬皇が取っ組み合いが拮抗して押したり押し戻された理を繰り返している。しかし、その質量のせいか動くたびに地面が揺れているのが即席の城壁を見ているだけでも分かる。
「あれじゃねえか? 単体自体はそこまで知能なんてないとか? だから、まだ司令塔が完全に実力を発揮できていない事も相まってそこまで命令を回せないとかじゃないのか?」
洋介の指摘に真央は手を顎へ持って行き「ふむ」とうなずいた。
「……それは、あり得るわね。だけど、やっぱりと言うか思いっきり力を込めているから口は閉じられている。それと、足元には新しく生まれたミニ・ユミルが集まっているわね」
さすがにこの状態では洋介をユミルの内に入れることが出来ない。真央はどうやってこじ開けようか考えながら機会をうかがっているとサライラ話しかけた。
「私が行きますわ」
「行くの?」
「はい。いつまでもお父様を見守っているだけでは埒が明かないですもの」
「ついでに馬皇にチャンスを作ってあげられない?」
「お安いご用ですわ」
「なら、お願い」
「任されましたわ」
サライラは槍を呼び、翼を広げて馬皇の背中あたりでいったん静止する。狙いを定めると今度はミニ・ユミルへと急降下する。一番馬皇に近いミニ・ユミルの心臓と頭の部分を移動と同時に貫いて通り過ぎていく。その時のミニ・ユミルの残骸とサライラの動きによって発生した衝撃波で登っているミニ・ユミル達も巻き込まれ落とされていく。
「リンネ‼ フレイム・ジャベリン行きますわよ」
槍に向かってそう言うと槍は少しだけ光る。了承と受け取ったサライラは槍に魔力を与える。与えた魔力を槍が喰らうと槍の先端から炎を纏って行く。その槍をユミルの足元にいるミニ・ユミルへ向かってサライラは全開で投げた。
「さぁ‼ お父様の邪魔するものは消えてしまいなさい‼」
槍はミニ・ユミルの頭を貫きユミルの足へと向かうさすがにまずいと思っているのかミニ・ユミル達が集まり壁となって受け止める。一体また一体と壁になり5体目でようやく半ば刺さったまま目標のユミルの足元で槍は動きを止めた。
「これが本命ですわ」
サライラがそう言うと槍は込めていたサライラの魔力を解き放つ。槍は内に秘めた熱量で周囲を巻き込み燃え上がる。しばらくすると役目を終えたのかサライラの手元に槍が戻って来る。その衝撃によって周りにいたミニ・ユミルたちは焼き払われ爆発の衝撃によってユミルの巨体はよろける。もちろん、馬皇はどうなるか予想出来ていた事とユミル程爆発が近くないことが相まって無事である。
『よくやった‼サライラ』
馬皇は念話を使ってサライラをほめる。
「えへへへぇ」
サライラは馬皇に褒められたことが嬉しすぎるのか戦場の真ん中であっても蕩けた表情で出している尻尾を振る。それでも油断はないのかミニ・ユミル達は自身を足場に使って邪魔をしたサライラへとジャンプして地上へ引きずり落とそうするが、ある時は槍で頭をある時は平行して制御している魔法で出来た槍が襲い掛かり目的は失敗に終わる。
「ガアアアァァァ‼」
一方、馬皇はサライラが起こした爆発によって足元のバランスを崩したユミルに対してここぞとばかりに声を荒げて力で押し込む。ユミルが転倒すると逃がさないと言わんばかりに馬皇は四肢と尻尾を使い全身の動きを封じる。そして、頭を使ってユミルののど元に反撃されない様に牙を突きたてる。
「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ‼」
噛まれた痛みからか押し切られた故の怒りからかユミルは吠える。未だに抵抗するがさすがに同じ大きさだけあってかユミルは振り払うことが出来ない。眷属たちであるミニ・ユミル達も新しく生成そして、吹き飛ばされた者たちを呼び戻すがそれも片っ端から減らされていく。
「ここだ‼ 喰らいなさい‼」
口を大きく開けたチャンスを逃さず真央が氷の柱を出現させユミルに咥えさせる。ユミルは突然の異物に慌てて外そうとするが馬皇がそれを許さない。それに合わせてユリウスは素早くユミルの口元へ運ぶ。
「作戦開始よ‼」
「勇次。守るわ」
「信頼してるっす。洋介行くっすよ」
勇次は菫を抱えユミルの顔に飛び乗る。それに続いて真央が最後に勇次が飛び乗る。
「馬皇様に楯突く愚か者どもめ‼ 皆殺しだ‼」
ユリウスは4人が飛び降りるのを確認するとまた飛び上がり馬皇に張り付こうとしているミニ・ユミルを爪で切り裂き牙で抉る。そして、サライラと共に殲滅へと向かう。
氷の柱へ勇次が走っていき触れる。すると、噛み潰そうとしていた氷のヒビはたちまち再生した。
「っく‼思ってるより噛む力が強い‼」
「私も補強手伝うわ。でもその前に‼ フル・エンチャント」
そう言って真央の魔力が洋介を包み込んだ。
「全体の能力を底上げしたわ。後、中に入っても大丈夫なように保護膜を張ってるからしばらくは溶かされるとか爆音で動けなくなるってことはないと思うわ‼」
「恩に着る‼」
「礼は後よ‼ これだけやってるんだから意地でも成功させなさいよね‼」
「ああ‼」
洋介は真央に返事をするとユミルの中へと飛び込んだ。
まさか、パソコンが壊れるとは……。そして、本来の主人公より主人公している洋介。更新頻度を上げた方が良いのだろうか。と脈絡も取り留めもないことを言ってみる。
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