14話
突入編です。
「それはともかくそろそろ入るぞ」
馬皇と真央のやり取りを途中で止めると落ち着いたのか馬皇と真央は鼻を鳴らしてお互いに顔を逸らす。そして、鉄が異空間に突入する事を言うとそれぞれは覚悟を決めてうなずいた。空いた異空間の先は真っ暗になっており仲がどうなっているのかは見えない。安全性を考慮して慎重に鉄が一番に入る。しばらくすると大丈夫そうなのか鉄は腕だけを出して入ってくるように指示を出す。真央、由愛、洋介、馬皇と順番に入っていくと穴は自動的に小さくなり消えた。そして、最後に入った洋介が最初に口を開いた。
「なぁ? 1ついいか?」
「なんだ?」
洋介がたずねると馬皇が言った。
「さっきから入った瞬間から見えるあれに寒気が止まらないんだが?」
洋介がや指を指す先には巨大な何かがあった。否、それは巨大なヒトであった。そこまで遠くはないためなのかそれ自体が大きすぎるためか半分程度しか見えていない。しかし、それが人の形を取っているのは分かる。
「私も予想は着くけど私でもあんなデカいの見たことないわ。知ってるんでしょ? 馬皇」
「ああ。あれは……」
「あれはこの世界に生まれた原初の巨人。故に我々はユミルと名付けました」
「誰だ‼」
鉄がそう叫ぶと馬皇が説明しようとした時、横から声が聞こえて一斉に声の方向へ向いて警戒を強める。そこには、やせ細ったような白衣を着た男が立っていた。そして、何よりも特徴的なのはその人間の両手が金属に覆われていた。
「お前は‼ あの時の‼」
「また会いましたね」
あの時に真央が四肢を凍らせ蹴っ飛ばした置田 道家であった。
「どうしてここに‼」
真央は置田にたずねる。
「酷いですねぇ。あの時私は貴女にやられて確かに捕まりましたよ。しかし、夏には私の事を買ってくれていたスポンサー様が助けてくださいましてね。さらに、こんな素晴らしい手足まで用意して下さって」
そう言って手足を見せる置田。置田の手足は機械に置き換わっている。かなり精巧な作りをしているのか見ているだけではその動作には違和感が一切ない。僅かに駆動音が聞こえるがそれも気になるほどではない。
「何が目的だ?」
鉄が敵の目的を探る。馬皇たち警戒するの様子に気をよくしたのか置田は興奮気味に喋り出した。
「そんなの決まっているじゃないですか? あの存在の復活ですよ。見たでしょう? あの存在感を‼ 見る者を圧倒する威圧感に‼ 大きさを‼ そして、この件に関してはスポンサー様と意見が合いましてね。莫大な資金も提供して下さいまして正直私はワクワクしているのですよ‼」
「それでお前が死ぬことになってもか?」
馬皇が置田にたずねる。馬皇は知っていた。あの存在がどんなに厄介であるかを。その含みのある言葉に置田は答える。
「何を言ってるんですか? 私は研究者ですよ? 私の知的好奇心が刺激されるものであれば例え私が死のうが世界を滅ぼそうが知ったこっちゃありません。実行するのなんて当然じゃないですか?」
「そうか。なら、お前は敵だな」
馬皇は置田に殴りかかる。しかし、その攻撃は置田の腕に掴まれた。そして、地面に叩きつける。その後、蹴りを加えて馬皇が飛び出した位置に戻す。
「なに‼」
不意を突いた馬皇の攻撃に反応し反撃まで加える。そのことに鉄は驚きの声を上げる。
「あの腕と足。何かの魔道具になってるわね。それもあんたの発明?」
真央が置田にたずねる。真央の確信を持った様子の問いに置きは驚きを隠せないのか素直に答える。
「本当に規格外ですね。少しだけ駆動しただけでそこまで見透かすとは。だからこそ、危険だ。安全装置解除。戦闘モードへ移行」
置田がそう言うと腕に赤い光が灯る。そして、真央の目の前へと行きなる姿を現した。
「思っていたより速い‼ 鉄先生‼」
「任された‼」
反射的に真央は障壁を使って置田の攻撃を防御する。思いのほか威力があったのか真央が少しだけ後ろへ押される。真央の叫びを理解して咄嗟に鉄がその後ろに控えている由愛や洋介を抱えて距離を取った。
「おや? 思っていたよりも固いですね」
「それはこっちのセリフよ‼ 何を動力にしたらそんな出力が出るの‼」
「それは企業秘密ですね。それも含めての契約ですから。ですが、一つだけ言わせてもらうならあなた達のデータは全てインプットしている」
置田は真央と馬皇に夢中なのか鉄たちを見もしていない。そのことに馬皇たちは心の中だけで安堵すると置田を見る。余裕そうな表情で答える置田に馬皇たちは顔をしかめる。
「何言ってんだ?」
「聞き流しなさい。ただの戯言よ」
真央がそう言うとその言葉が気に障ったのか置田は火緒を引きつらせて叫ぶ。
「そう言っていられるのは今の内だけだ。スペックを見れば君たちを圧倒できるだけの能力を持っているんだよ‼ これは‼」
「燃えなさい」
「ギャアァァァ‼」
周りが見えていないのか馬皇たちを無視して勝手に喋り続ける置田に炎の槍を投げつける真央。置田の腕は勝手に反応して槍を振り払うが払った炎が置田の身体に当たる。慣れないやけどの痛みに置田は叫び声を上げる。
「ほら。確かに私たちの攻撃に反応して防御したり反撃したりしてるけど使いこなせていないでしょ?」
真央がニヤリを笑うと馬皇も同じように笑顔で返す。
「確かにそうだな。要は防御や回避をさせなければいい訳だ」
「そうよ。なら、さっさとケリつけるわよ。まだ、あの巨人の事聞いてないんだから」
「ああ」
馬皇と真央は行動を開始した。
テンプレ? になっているはず。なるべくUPするようにはしますが諸事情によりしばらくは更新頻度が下がるかもしれません。いろいろと肉体が限界なんや……
いつも読んで下さりありがとうございます。
感想、批評、指摘、ブックマークしてくれるとうれしいです。
これからもよろしくお願いします。




