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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第五章 2学期の戦い
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13話

異空間へ突入してる予定だったのに……

 馬皇たちは復旧を終えた大葉大学の薬物実験棟跡地の前に立っていた。大学の方は未だ夏休みの最中であり人はまばらである。さらに付け加えるなら馬皇が作り出したクレーターは見事埋立てられてはいるがそれ以外は未だに復旧の目途が立っていないのか立ち入り禁止の札と共に柵に覆われて入れない様になってる。


「ふむふむ……。なるほどね」


「分かるのか?」


 大葉大学に着くなり真央が何かを感知したのか納得した様子で言葉に出す。それに対して馬皇は真央にたずねる。


「よく見なさい。あんたでも分かるでしょ? あの時には感じられなかったけど今は確かにここにあるのは分かるわ。それとあんたのブレスの魔力が濃すぎるせいで多分あの時感知できなかったのが分かったわ」


 真央が何もない所を指さす。その先を見て馬皇も納得する。


「……確かに何かあるな。それと俺のせいか?」


「そうね。でもあんたの気持ちも分かるわ。あの時のテンションだったら私でもやるわ」


「そうか」


 真央の肯定に馬皇は若干頬を緩ませる。そして、しばらくの間2人は歪みのある方を眺めて沈黙する。その2人の様子に洋介と由愛はニコニコと笑顔で見続ける。洋介たちの視線に気が付いた馬皇と真央は居心地が悪そうな表情を見せると馬皇は由愛に言った。


「由愛。失礼するぞ」


「は、はい」


 馬皇は周りに人がいないかを確認して馬皇は由愛にたずねる。馬皇の言葉に由愛は肯定すると馬皇は由愛を抱きかかえた。由愛は緊張した様子で馬皇に抱きかかえられるとそのまま柵を飛び越える。それに続いて真央は宙に浮く。


「洋介も着いてくるなら早くしろよ」


「お、おう」


 馬皇たちの行動に洋介は躊躇いがちに答えると馬皇と同じように飛び越える。そして、鉄との合流地点であるクレーターから少し離れた木陰に到着すると洋介がたずねた。


「なぁ? 本当にここにあるのかよ? 俺にはここに別の空間があるなんて信じられないんだが? それ以前に何もないんだが?」


 洋介も感覚を尖らせて辺りを見回すがクレーターの跡地には空白以外に何もないし揺らぎらしきものすら感じられない。そんな場所に馬皇や真央、鉄が言っているような空間が出来上がっているのか信じられないというのは当然であろう。


「ある。あそこだな」


 洋介の問いに馬皇が確信を持った様子で答える。そして指を指すがその先には何も見えない。


「そうね。そこであってるわ。こいつの言う通りに私からもあるって言わせてもらうわ」


 馬皇に続いて真央も同じように答えられると洋介も理解はできないが馬皇たちが同じように指さす所に何かがある事を無理矢理に納得する。


「それにしても正直言ってどこに有るかもわからないようなもんにどうやって入り込むつもりだよ」


「そうですね。私も気になります」


 洋介が聞くと由愛が洋介に同調してたずねる。馬皇たちには感知できるかもしれないがそんなどこに有るのかすらわからない空間の裂け目に入るなど無理な話である。


「それについては簡単よ。馬皇手伝いなさい」


「あいよ」


 真央が馬皇に言うと馬皇は真央に着いて行く。馬皇たちが指を指した方向へ30mぐらいの所へ立つとその反対側には馬皇が立つ。しばらく馬皇と真央の姿を見ていると真央を中心に光りを出し始めた。そして、空中に黒いしみのような物が出来始めてそれがその空間を侵食するように徐々に大きくなり始める。そして、黒い空間のシミは人が一人はいるくらいの大きさになった時に動きを止める。ある程度の事は済んだのか馬皇たちが戻って来る。


「ざっとこんなもんだな。なかなかの出来だろ?」


 馬皇が自信ありげに言うと真央が頭にハテナを付けながら言った。


「そう? 私にはちょっと大雑把過ぎると思うんだけど? もうちょっとしっかりとしたものが作りたかったわ」


「いいだろ。それに気分の問題だろ? 気分の。それに俺にとっては細かすぎとしか言いようがないんだが?」


 馬皇と真央は不満をお互いに意見をぶつける。引く気がないのかにらみ合うと両者は顔を近づける。


「やるの?」


「やるのか?」


 一色触発な状況に洋介は固唾を飲んで見る。


「いつもああなのか?」


「そうですね。いつもの事なんで気にしないでください。2人は仲良しさんです」


「「仲良くない(わ)‼」」


 由愛の発言を聞いてはいたのか馬皇と真央は同時に同じことを喋る。その様子を見て洋介は安心する。


「あ。いつもの2人だ」


 洋介の安心したという言葉に馬皇と真央は問い詰める。


「どういうことだよ? 基本的にこいつとはライバルであって友ではないからな‼」


「私もそんな扱いになるのは遺憾だわ‼ 百歩いえ一万歩譲ってこいつと同じことを言うのは癪だけどライバルであっても友人ではないわ」


 2人が捲し立てるように洋介に言い訳をする様に言うが言っていることはほとんど同じであり似た者同士であることを勝手に周りが理解していくの気が付かないのが馬皇と真央の関係の面白い所である。


「そうだな。お前ら仲が良いな」


 洋介の勝手な理解に馬皇と真央の言葉がまた重なる。


「話聞いてたか‼」


「話聞いてるの‼」


 馬皇と真央は同じことを言っているのが気に入らないのか洋介をそっちのけでケンカを始める。


「……いや、実際に仲いいだろお前ら」


 洋介はそう呟くと飽きもせずに2人は同じことを続ける。洋介は呆れた様子で鉄が来るまで馬皇たちのケンカ(?)を由愛と共に見続けるのであった。

次はこそは突入編です


いつも読んで下さりありがとうございます。

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