プロローグ
新章突入です
世界はあの日を境に大きな変化が表れていた。今まで人の想像の中でしか存在しえなかった竜や巨人、スライムやオークといった魔物も現れるようになっっていた。それに合わせているかのように人類の中にも獣人や亜人と呼ばれているような存在に変化しているという事態が発生。それに伴って人と魔物の生存競争が加速していく。それは馬皇たちの通う大馬中学校でもまた……。
「昨日、でっけぇグリフォンが飛んでんの見たんだ。かっこいいよな」
「次は俺だな。昨日、二足歩行するネコが壁の隙間からから出てきて挨拶してきたんだよ。『こんにちわにゃ』って」
佐藤幸太郎が体を大きく広げてその大きさを表そうとする。その横では角松小太郎が喋るネコの真似をしてお辞儀をしている。
「同時に喋んな。分かりづれぇよ」
その様子に呆れた様子で馬皇がコメントすると幸太郎と小太郎はじゃんけんをして幸太郎から同じことを喋りはじめた。
「昨日、でっけぇグリフォンが飛んでんの見たんだ。かっこいいよな」
「ああ。そうだな」
「それだけかよ?」
「肉が美味いぞ」
「そんな感想は求めてねぇよ‼ ってか‼ 喰ったのかよ‼」
「鉄先生が昨日飛んで来たのを狩ってたのを見つけてな。食わせてもらった……。あの人、絶対に文明が滅んでも生きていけるな」
「お、おう。そうか……」
馬皇の遠い目に幸太郎は他に何も言えなくなり肩を落とす。見たこともなかった幻獣が生で見られたのにそれが、肉されて食べられている事実にどう答えればいいのか分からなくなっても仕方がないだろう。小太郎は幸太郎の話が終わったと見てすかさず話を入れた。
「次は俺だな。昨日、二足歩行するネコが壁の隙間からから出てきて挨拶してきたんだよ。『こんにちわにゃ』って」
「返事したのか?」
小太郎の言葉に馬皇は尋ねる。
「ああ。そしたら」
「そしたら?」
幸太郎もその話に興味が出てきたのか小太郎の言葉を繰り返す。
「今日の昼飯にするはずだった菓子パン盗られた……」
「なんだよ。そんな事かよ」
「そんな事ってなんだよ‼ 俺の昼飯が目の前で食われたんだぞ‼ それも結構高かった奴‼」
「その内いいことあるって」
「おい‼ これを見てくれよ‼」
馬皇が小太郎を宥めていると田中洋介が登校してくるなり慌てた様子で会話に乱入してきた。
「そんな慌ててどうした? 洋介もうまそうな魔物の肉でも見つけて食ったのか?」
「なにそれ‼ ものすごく気になるんだけど‼ って‼ そうじゃなくて‼」
馬皇の言葉に軽く突っ込みを入れると洋介は今までかぶっていた帽子を取る。そこにはイヌのような立派な三角形の獣耳が頭の上に乗っていた。後ろを見ると尻尾まで生えている。馬皇たちは洋介の耳をいきなり鷲づかみにした。
「ぎゃっ‼ 何すんだ‼ 以外とこの耳敏感なんだぞ‼」
「わりぃ。気になってつい、な」
「はぁ……」
「なんだ。ケモ耳と尻尾が付いただけかよ」
幸太郎と小太郎は何だそんな事かとため息をついた。
「なんだよ? ノリわるい奴らだなぁ」
「いや。男のケモ耳って誰得だよ? 可愛い女の子のケモ耳ならまだしもよ……」
「確かに……」
小太郎がそう言うと洋介本人もそのことに同意する。
「納得するのかよ……。洋介は変異種ってこと良いんだよな」
「その言い方はあんまかっこ良くねぇけどそう言うことになるな」
最近ニュースになったり外に出て見かけるのは何も魔物が現れるようになっただけではない。人によく似た種族たちが現れるようになったのだ。それは突然だった。元々、普通の人だった者たちがなぜか変化したのである。原因は魔物たちと同じように定かではなくそれを変異種と便宜上は名付けているがファンタジーに出てくる姿が多いために見た目に則った種族名か本人の名前で呼ばれることがほとんどである。
有名どころで言えばエルフ耳、獣耳が今の所一番多く見かける。変わったところでは角が生えた、魚顔になったなどどう反応すればいいのか分からないことも多々あるが。幸いなことに遺伝子を調べたり記憶を調べると大体は親との遺伝子の一部が一致するために確認に関して言えば完全にわからなくなるという事は少なかった。
「うちのクラスでは初めてか?」
そう言って馬皇が周りを見るが変化した者は洋介を除いて誰もいない。逆に洋介の変化に好奇の目を見せる者が多い。
「ああ。野生の力を得た俺に死角はないぜ」
洋介は考えているのかいないのかよく分からない発言をする。すると周りの温度が少しだけ下がったような気がした。
「野生(笑)」
「そのケンカ買うぜ」
「よし。この俺が試してやろうじゃないか」
そう言って小太郎は右腕を机の上に置く。
「なんでそんなに上から目線なんだよ? 小太郎」
馬皇がそう突っ込んでいる間に洋介は小太郎の反対側の席に座り同じように右腕をおく。いわゆる腕相撲である。
「そんなの決まってるだろ? あいつ見てたらなんか腹が立った。だから、これで決める」
「ふふふ。今日の俺は一味違うぜ」
洋介の耳がピコピコと前後左右に動く。感情に合わせて動いているようである意味とても分かりやすかった。
「そりゃ、目が覚めたらいつもと違う自分になってたらそうなるだろ。それと馬皇。スタートの合図くれ」
洋介と小太郎は既に準備万端でありお互い机越しで集中する。
「じゃあ、スタート」
間髪入れずに馬皇がスタートを切ると同時に小太郎の腕は洋介によって倒された。
「「はやっ‼」」
あまりにもあっけない幕切れに様子を見ていた幸太郎さえも馬皇と声が合わさってしまう。
「ふぅ。見たか? これが俺の実力だ」
「こんなこと言うのもあれだがお前が言うな」
腕をほぐして背伸びをして体をほぐす。
「さて、練習も済んだことだし……」
「おっと、再戦か?」
小太郎の言い訳じみた言葉に洋介は良くある三本勝負だと判断して小太郎を挑発する。
「馬皇さん。頼んます」
他力本願な小太郎に見ていた幸太郎はおろかスタートを切った馬皇、相手になっていた洋介さえも何を言えばいいのか分からなくなってしまう。
「お前はそれでいいのかよ? ってか、いつの間にか俺巻き込まれてるし……」
「ああ。何も問題ないね」
小太郎の清々しいほど外道発言に馬皇たちは呆れ果てる。
「まぁ、小太郎はともかく、俺も馬皇とは一度戦ってみたかったんだ」
いつにもまして好戦的になっている洋介に馬皇はため息をつくと言った。
「しょうがねぇな。1戦だけだぞ」
「よし。それでこそ俺の見込んだ漢だ」
洋介に合わせて馬皇も右腕を準備する。
「馬皇。気をつけろよ。思ってたより強かったぞ」
「そうか」
小太郎のアドバイスを聞いているのか聞いていないのかよく分からない返事を馬皇はした。腕を組んだとき馬皇は臨戦態勢に入り今までのお遊び的な教室の場の空気が変わった。
「俺がスタート切るぞ」
そう言って今度は幸太郎が馬皇と洋介が組んだ腕を手で覆う。開始前の緊張感に今まで雑談していたクラスの人間たちも興味が出始めたのか馬皇と洋介の机を眺める。
「スタート‼」
お互いの集中力が最大限に高まった瞬間。幸太郎の合図と共に腕相撲であるが馬皇と洋介の戦いが始まった。
文章が安定しないというか、地の文が小説っぽくなっていないような気がする。少ししたら直そうと思います。今日はもう力尽きた……
いつも読んで下さりありがとうございます。
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