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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第四章 裏切りと忠誠と俺たちの夏休み
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真央の戦い

更新しました。

今回は真央サイドです。

「ふむ。まさか空からあの防衛網をかいくぐってくるとは……」


 皆月は驚いていた。一般企業ではまず過剰ともいえる対空防衛装置を掻い潜り目の前に大きな穴を開けて通り過ぎて行った存在に。


 脱走や侵入の防止のために並の軍隊や異能者に対して確実に対策をしていた。それこそ異能者の異能のメカニズムを逆手にとってこのビル全体から半径50mの異能を無効化する装置も発動していた。それを無視して中に入られたのである。


「これは次の施設の強化は急務ですね。後は異能を無効化する装置の見直しも」


 そう言って顎に手を当てて考えていると穴の開いた煙の中から少女らしき怒号が聞こえた。


「ゴホッ‼ ゴホッ‼ あのバカ‼ 信じらんない‼ 絶対許さないんだから‼」


 煙の蔓延した中から出てきたのは馬皇に連れられて飛び込んだはずの真央であった。馬皇が施設に入り込んだ瞬間に真上に放り投げたのである。それも落下の速度を殺す勢いで。そんな無茶苦茶な状態で放り投げられた真央は空中で静止しているみたいに見えるわけだがそのままであれば馬皇が開けた穴に落ちるだけである。そうならないために真央は浮遊の魔法を使って足の突けるところまで移動してきたのである。


「おやおや……。これは招かれざるお客様がいらっしゃいましたか。それにしても異能が完全に無効化できてないじゃないですか。本格的に欠陥品ですね」


 皆月は出てきた相手が空に浮いていることを確認すると機能していない異能無効化装置を作った生産者をどうするのか考え始める。そんな中で真央はようやく足場のある場所までたどり着くと闘技大会の決勝の日にモニターに映っていた人物を見つけて指を指した。


「あんたが親玉ね‼ ケイスケはどこ!?」


「はぁ? ケイスケ? さんですか……。そんな人は知りませんね」


「あんた‼ 確か組織の代表よね‼ どういう事よ‼」


 真央は皆月に対して噛みついていくと皆月は飄々とした態度であっさりと言い返した。


「そんなこと言われましても組織の下っ端なんて上が覚えているはずがないでしょう。それよりもこんなところにまで入ってきて不法侵入と器物破損で訴えますよ」


 皆月の正論に真央は言葉が詰まる。


「うっ‼ ……それもそうね。って‼ 今はそんなの関係ないわ‼」


「これは面倒ですね。しばらく大人しくしてもらいましょうか」


 皆月の言葉に同意しながらも関係ないと完全に開き直って戦闘態勢を取る真央にやれやれと肩をすくめる。そして、目の前に皆月が突然現れた。


「なっ‼」


 真央は対応できずに後ろから蹴っ飛ばされた。


「おや? 思っていたよりも頑丈ですね。それに重い。これは面倒そうな相手です。戦闘は得意じゃないんですがね。それにしても屋久島君は何をしているのだか……」


 皆月はいない屋久島に悪態をつき余裕の表れなのかポケットに手を突っ込む。


「……転移系」


「おや? もうお気づきですか……。なかなか鋭いお嬢さんですね」


 皆月は人を小ばかにするような口調で真央をほめる。その様子に真央の頭に血が上っていく。


「あんた性格悪いわね‼ 腹が立つわ‼」


「そうですか。そうですか。お気に召しましたか。それよりも隣にある装置をよく見なくていいんですか?」


 皆月は楽しそうに笑うと意図的に蹴り飛ばした先にある装置にあるものを指摘してみる。


「何を言って……んの……ッ‼」


 真央は蹴り飛ばされた先の横にある異世界をつないでいるらしき装置を見て絶句した。そこにはケイスケの首から上が装置の中に入れられていたからだ。真央は飛び出した。あの装置を壊して頭だけを持って行った所で真央がどうにかできる訳ではない。そんなことを真央は考えている余裕はなかった。今はとにかく助け出す。方法なんて後から考えればいい。


 真央は前世の姿に変身するとケイスケの頭が入ったガラスのケースに火球と氷球を作り出して交互に当てる。しかし、特殊な加工がされているのか装置そのものが頑丈すぎるのか傷一つ付けることが出来なかった。


「固すぎでしょ‼」


 そう言いながらも真央は攻撃の手を緩めることはしない。


「そうでしょう。そうでしょう。我が組織の特注品ですから。ですが、万が一のことがあります。余計なことはしないでください」


「かはっ‼」


 乾いた音が室内に響き渡った。真央がケイスケの事でいっぱいになり完全に目を離した皆月が真央の背中に銃弾を撃ち込んだのだ。


「おお。これはすごいですね」


「な……何を……撃ちこんだ……」


 新しいおもちゃが思いのほか役に立ったことに喜びの声を上げる皆月と対照的に何故か力が入らなくなって元に戻りながらも気力だけで立っている真央が問う。


「おや? まだ喋れますか。どうせこのまま死ぬんでしょうし冥途の土産にお教えしましょう。これにはある毒が塗ってあるんですよ」


「まさか……」


 真央は皆月が言わんとしている事が予想でき驚愕する。


「そうです。恐らくその予想で正しいと思いますよ。そこにあるサンプルが知識として持っていましてね。異能者の異能をいえ魔法でしたっけ? まあ、異能でいいでしょう。他の異能者にも効いていましたし。要は異能者を殺すためだけにつくられた弾丸ですよ。弾そのものに含まれた特別な薬物が反応を起こして異能を一時的にですが完全に停止させるそうです。一時的とは言っても致命傷を受けていたら完全に死ぬまでは効くので問題ありませんが。それにしても、良かったですね。あれの産物があなたを殺すのですから」


「ちっ‼」


 皆月のいやらしい笑みに真央は睨みつけるが気力で立っていた力が入らなくなり視界が歪む。


「さて。このまま死ぬのを見るのも一興ですがあなたにはこのまま実験体になってもらいましょう」


 皆月は真央を掴みあげる。そして、真央の手首に腕輪を嵌めた。


「うっ‼」


「ふふふ。貴女をこの光の道を使ってあの世界に送り込みましょう。小さいゲートを作っては何人か送り込んではみたんですが大体肉塊になって帰ってくるんですよね。今回は大規模実験なのでおそらくうまくいくでしょう。この先の異世界が私たち人間の住める環境であるかを調べてもらいましょう。死に掛けではありますが渡った先で生きていれば少なくとも我々が渡っても問題ないでしょうしね」


 皆月はそう言って弱弱しく呼吸をしている真央を光の柱の中へ放り投げた。まばゆい光のせいで真央の視界は白くなり、そして真っ黒に染まった。

次回は馬皇サイド予定です。読み辛い所があるかもしれませんがなるべく読みやすくなるように努力しますのでこれからもよろしくお願いします


いつも読んで下さりありがとうございます

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