Bという駅で
僕は、いや、私は今専門学校に通っている。農業大と言うだけあるのかどうかは知らないが山奥にあり、近くに馬江駅、読み方はばこう、といういかにも田舎駅といった木造建築の駅舎がある。さてこの馬江駅なのだが、なんでこんなところに、と思うほど美人が改札に立っている。私が最初にここを通った時、思わず二度見した。もちろん、学校の教師生徒共々噂している。曰く、その駅に勤める駅員に嫁いだからそうなったとか、ここら辺の生まれだとか。
話は変わるが、私は目がいい。目利きとかいう意味でなく、観察眼と視力という意味においてである。学校でたっていた噂を聞いて、私はどれも違うと確信を持てた。でも、だとしても指摘する気にはならないし、したくもない。
今日も馬江駅に時間通りに到着、いつものあの人に既に判を押された切符を渡す。いつも通りの笑顔だ。軽く会釈をして学校への坂道を登る。『いっつも手首にバンド巻いてるんだよなぁ…いや、余計な詮索はやめよう…』
私の名前は葦屋香澄。目が痛くなるほど真っ青に晴れた7月、学校に通い始めて三ヶ月の頃だった。
前作のAモコの作品の一部となりますが、
変更が面倒くさいためここから連載となります。