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あやかし商店街(参) 八


両親から連絡があり、真司は渋々だが菖蒲と勇と別れた。

そして、真司は車の中で別れ際に話した会話を思い出していた。


《真司。お前さん、明日は暇かえ?》

《え、はい》

《なら、明日のお昼店にきんしゃい》

《わかりました》


「明日、何をするんだろう…?」

流れる景色をボーッと見つつ、真司はぼそりと呟いた。

すると、先程から運転している父がミラー越しに真司をチラリと見た。

「真司、お前さっきまで何処にいたんだ?」

何処にいた、という言葉に真司はドキリとした。


(ど、どうしよう…菖蒲さんと一緒にいたなんて言えないし…)


「えっと、僕にもよくわからない、かな?あはは…ぶらぶら歩いていただけだから」

「そうか。しかし、お前も父さん達と来ればよかったのになぁ~」

「え?」

「今日、酒蔵を見学してなぁ~。いや~ぁ、あれは凄かったよ!なぁ、母さん」

助手席に座って、のほほんとしている真司の母が

「えぇ、そうねぇ~」

と言った。

「そうそう!しかも、美人な人も一緒だったぞ!」

「美人??」

その単語に、ポンッとニコリと微笑む菖蒲の顔が浮かんだ。

「小柄な人で、これぞ和風美人!っていう人だったなぁ~、なぁ、母さ……」

「うふふふふ」

「も、もちろん!!母さんの方が世界一!いや!宇宙一可愛いよ!!美人だよ!!はっはっはっ」

父の台詞とダラダラと流れる冷や汗から、母が今、どんな顔をしているのか想像が付き真司は苦笑したのだった。

宮前家の大黒柱は勿論父親だが、家庭内権限は高校生からの同級生だったといわれる母が持っている。

無論、真司も何故だか、のほほんとしている母には逆らえないでいる。

そもそも、逆らう気すら無いのだから、それはそれでいいのだが…。

真司は、再び流れる景色に目をやった。

「和風美人…かぁ」


(ますます、菖蒲さんっぽいなぁ。でも、父さんが居た所と僕が居た所は少し距離があったし…そんな直ぐに来れるわけないし…)


「別の人かなぁ…?」



―翌日(昼)


真司は、今回もラフな私服姿で池の横を通り、上り坂になっている道を進み、あかしや橋の前にやつてきた。

平日の昼だからか、相変わらず通る人は居なかった。



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