表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/18

あやかし商店街(参) 七

それが気持ちいいのだろう。勇は目を瞑り喉をゴロゴロと鳴らしていた。

「それで、お前さんはあの猫の事が気になるのかえ?」


(うわー、率直に聞いたなぁ…菖蒲さん)


「あはは…」

と苦笑する真司。

勇は鳴らしていた喉を止め、今度はダラダラと冷や汗を掻き始めた。


(うわー…見てわかるぐらい動揺してる…)


「え、えええとですね、菖蒲様。こ、こここれはそそその…」

「ふむふむ。明らかに動揺してるのぉ。初心(うぶ)な奴め」

クスクスと袖口を口元に当てて笑う菖蒲に、勇は恥ずかしそうに顔を隠した。

まるで、両手で顔を洗っているみたいに見えた。

勇は落ち着く為に、軽く深呼吸をした。

「菖蒲様の言う通りです。俺は、あの美猫にほの字でございます。あぁぁぁぁ、言ってしまったぁぁぁ」

挿絵(By みてみん)

「美猫?へぇ、あの猫って美人なんだ」

真司がそう言うと、目をカッと見開いて真司に迫り、胸ぐらを掴んだ。

「お前の目は節穴か?!見たやろっ!?あの美しい横顔…憂いに満ちた瞳は月のような金色で…尻尾も滑らかで……ほぁぁ…」

うっとりとする勇に、真司は苦笑した。

すると、菖蒲が勇を抱っこし再び膝の上に乗せ、ホッとする真司。

「ほれほれ、声が大きいぞ?それに、ここは外。気をつけんしゃい」

菖蒲に言われ、ちょっぴりシュンとする勇だった。

「すみません…つい」

「それで、お前さんはあの猫に告白をするのかえ?」

「ええええ?!」

「あれ?しないんですか??」

「いや…そのぉ…なぁ?」

と、真司に問いかける勇。


(僕に、なぁ?って聞かれても…)


「あはは…」

「こりゃ、はぐらかすんじゃないよ」

「にゃぁ…」

しょんぼりと耳を垂らす勇。

「しかし、菖蒲様。俺は、彼女と話もしたことあらへんのです…」

「え、そうなんですか?」

真司の言葉にコクリと頷いた。

「話す機会が無かったのかえ?」

「はい…。彼女は見ての通り箱入り娘で、部屋から出た所を見たことあらへんのです」

「ふむ」

「それじゃぁ、告白も出来ないですね…」

真司は、考えている菖蒲をジッと見た。

「うむ!」

「「???」」

考えていた菖蒲は、自分一人が何かに対し納得し力強く頷いた。

真司と勇はお互い目を合わせ、菖蒲の頷きに首を傾げた。


(何か、いい案でも浮かんだのかな?)



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ