表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/18

あやかし商店街(参) 十壱

そして、妖の世界と人間の世界を繋ぐ橋に来た。

「さぁ、これから高槻市に行くよ」

「え?これからですか?菖蒲さん、車とか持ってるんですか?あ、もしかして、電車ですか?」

「残念ながら、二つとも外れやの。」

「え??なら…」

どうやって行くのか、と聞こうとする前に、菖蒲は真司の手をギュッと握り橋を渡った。

「え?!あ、菖蒲さん?!」

菖蒲に引っ張られる真司。

そして、橋を渡り鳥居を潜ると景色は元のあかしや橋……ではなく、全く知らない場所に出たのだった。

しかも、どうやら今いる所は建物の隙間で人一人分通れる狭さの所にいた。

「え?!こ、ここ何処ですか?!ていうか…一気に狭く…うぅ、狭いです…」

「ふふふ。出ればわかるよ。さぁ」

菖蒲は真司を手を引っ張り、隙間から外に出た。

真司は、解放感から「ほぅ」と小さく息を吐き、辺りを見回した。

「…あれ?ここ…」

「うむ。高槻市じゃ」

「ええええええ?!?!だ、だって、さっきまで僕達、あやかし商店街に居ましたよね?!」

「うむ。これはの~」

「あ、いたいた!菖蒲様~ぁ!それと人間~!」

菖蒲の言葉を遮るのは、少し離れた所から手を振っている勇だった。

「む?勇か。全く、ここは人間の世界ぞ?もう少し声を落とさんかい」

「あはは…そうですね」

菖蒲は呆れ、真司は苦笑した。


(そういえば、さっきの説明…)


「菖蒲さん。さっき、言いかけた事ですけど」

「む?それは、帰ってから話そうぞ。今は、勇が優先じゃ!」

グッと拳を握り、やる気満々の菖蒲に真司は菖蒲が言いかけた言葉が凄く気になってモヤモヤしていた。


(途中まで言われると気になるなぁ…うぅ…)



「それで、今日は何をなさるんですか?」

菖蒲も真司は例の公園のベンチに座り、勇は又もや菖蒲の膝の上にちょこんとと座っていた。

「うむ。会えぬのなら、飼い主殿に取り合ってみようかと思っての」

「飼い主ですか?」

「うむ」

菖蒲はコクリと頷くと、公園の中央に立っている時計を見た。

「そろそろじゃの」

「「???」」

勇と真司は、これから何が起きるのか全くわからず首を傾げた。

すると、目の前に小さな女の子が小走りで走っていた。

菖蒲は、その女の子に向かって小さく「ふぅ」と息を吐いた。

すると、風が吹き付け女の子は何も無い所で転けてしまったのだ。

真司は菖蒲の不思議な力を目の当たりにし、少しだけポカンとした。

「う、うぅ……ぐず…」

転けて傷が出来てしまったのか、女の子が座り込み右膝を抑えて目に涙を溜めていた。

菖蒲は、ベンチから立ち上がると、その女の子の方へと歩み寄った。

勿論、勇も真司も菖蒲の後に着いて行った。

「これ。女子(おなご)が、そのような傷で泣くでない」

「でも…痛いんやもん…うぅ…」

「ふむ。どれ」

菖蒲は、また、ふぅと息を吐いた。いや、正確には、女の子の怪我をした膝に軽く吹きかけたが正しいだろう。

女の子と真司は、その不思議な光景に呆然となっていた。

それは何故かというと、菖蒲が吹きかけた瞬間、傷はみるみる消えていったからだ。

「ミャー」

すると、勇は女の子の傍に行き、先ほどまで涙を溜めていた女の子の目をペロペロと舐めた。

「…猫さん?」

女の子は、痛みなど忘れたのか、嬉しそうに猫に頬釣りをした。

「あのね、あのね、美希(みき)の所にもね、猫がおるんよ」

「うむ。知っておるぞ。黒猫じゃろ?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ