あやかし商店街(参) 十
はて、それはいつだっただろうか?と考える真司。
すると、白雪の後ろから菖蒲が現れた。
「よう来たな、真司」
「菖蒲さん。」
「うむ。星もおかえり」
「………ん」
菖蒲は星の頭を撫でた。
星は少し気はずかしいそうに頬をほんのり赤らめ俯いた。
でも、撫でられること自体はまんざらでもないらしい。
(何だか嬉しそうだなぁ~…)
ほのぼのとした思いで二人を見る真司。
すると、真司の足元に頬をすり寄せる真っ白な白猫がいた。
「猫?」
(わ…この猫もオッドアイだ)
そう。真司の足元に居る猫の瞳も、右は金色で左はアメシストのような紫色のオッドアイだったのだ。
「…ルナ」
と、星は猫の名を呼んだ。
(ルナ?)
そこで真司はやっと思い出したのだ。
「まさか、君、あの硝子コップの付喪神?!」
「そうだよ~、星ちゃんとルナっていうの!」
「お二人は、先程帰ってきたばかりなんですよ?」
「うむ。真司にも早う会わせたくての。迎えにやったのじゃ」
「なるほど。そういう事でしたか。」
「さて、お互いの挨拶もすんだ所だし、真司や早速出かけるぞ」
そう言いながら、水玉模様の鼻緒に足をスっと入れた。
「では、白雪。店の事は頼んだぞえ?」
「はい。行ってらっしゃいませ」
「お土産買ってきてねー♪」
「……気をつけて」
「ミャー」
「うむ。では、行ってくる」
「行ってきます」
白雪、お雪、星…そして、猫のルナに挨拶をすると、真司と菖蒲は店を後にしたのだった。
✿
そして、真司と菖蒲は店を出ると橋へと向かった。
(菖蒲さんと一緒なら、この通りも普通に歩けるんだけどなぁ)
真司はそう思いながら菖蒲の隣を歩いていた。
そう、真司は今、あやかし商店街の裏道ではなく表の商店街通りを歩いているのだ。
相変わらず、菖蒲が通ると周りの妖達は菖蒲に挨拶をしたり「今からお出かけですか?」と、気の良い会話をかけてくる。
いや、元々、ここの妖達は気の良い妖ばかりなのだが。
ただ、真司がまだ少しだけ…ほんの少しだけ恐がっているだけだ。
(僕も、菖蒲さんを見習わなくちゃっ)
真司は笑顔で妖と話す菖蒲を見て、密かに心に決めたのだった。




