狂ったXmas -大人達+α-
「メリークリスマスっ!」
パーン! と、クラッカーの大きな音が鳴った。仄かに、爆薬特有の匂いが漂う。
クリスマス? はて、そんな日はあっただろうか。
そんなことを考えているうちに、ツインテールを揺らしながら女の子が近寄ってきた。
「ちょっと、時雨? ボクの歓迎を喜ばないのかい?」
そう言われて、ハッと我に返る。
ここは、俺の家じゃないか。
周りを眺めてみると、装飾品が、部屋に敷き詰めんばかりに飾られている。LEDライトは、つけ過ぎて、逆に品がなくなっているし、赤と緑の色が混ざって、みている方が気色悪い。
なんだこりゃ。と思いながら、リビングに歩いていく。
そして、また俺は驚くことになる。というよりも、呆れた。
リビングの白い壁には「Xmas!!」と書いた白い紙が貼られていた。それも、黒のマーカーで。どうみても、走り書きである。
クリスマスツリーに至っては、一本の樹の苗を部屋の中心においてあるだけだ。
「これ程度なら、別にクリスマスなんて祝わなくてもいいのに……」
つい、そう呟いてしまう俺の顔を、こんな適当なクリスマスを作り上げた彼女“狂った子供”は覗き込んだ。




