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巨人対ロボット

お待たせして、申し訳ありません(←たぶん誰も待っていない)。ようやく、迎えが来ました。

   第八章 巨人対ロボット


 ここに閉じ込められてから、どのくらい時間が経ったんだろう? だだっ広いだけの何もない部屋で、時間の感覚はすっかり麻痺してしまっていた。コクピット内にあったいくつかのパズルも、散々やり尽くして飽きた。

 よくもまあこんな状況で、ミューは六(この世界での二四)年も生きてこれたな。もっともミューの場合、こんなにヒマじゃなかっただろう。女王として君臨して、巨人の国を維持しなければならなかったのだから。

 その上、ロボット開発に精を出し、整備し、巨人から妖精を守り続けてきた。ひとりで何役もこなし、目の回るようなハードワークだったに違いない。気が付いたら、長い歳月が流れていたのかもしれない。

「やっぱり、帰してあげたいよな」

 魂が宿らないロボット達に囲まれた、長い孤独。広い世界にひとりっきりの寂しさは、どうにもならない。

 遠くから近付いて来る規則正しい軍靴の音と、何か重い物を載せた台車の音が聞こえて、オレは考えを中断した。

 オレが閉じ込められた部屋の前で止まり、扉に付いた小窓から巨人の青い目が覗く。

『あれから、随分大人しくなりましたね』

 巨人は、皮肉を込めて苦笑した。オーバーヒートを起こしたのだから、動けないのは当然だ。後ろめたくて、何にも言えない。ロボットは、扉を叩いた中途半端な姿勢のまま、止まっていた。

『そろそろ、給油と蓄電池バッテリの交換が必要かと思いましてね。お持ちしましたよ』

「ご親切に、ありがとうございます」

 エネルギ切れが何より心配だったオレは、素直に礼を言った。

 巨人は鍵を開けて、ドアノブを回す。が、扉は開かない。

『あれ? おかしいな……。くっ! はっ! よいしょっ!』

 ひしゃげて立て付けが悪くなった扉を、巨人は何度も引いたり押したりしている。しばらく苦戦して、ようやく扉は開いた。巨人はうっすら滲んだ汗を袖で拭って、溜め息を吐く。

『ふぅ……、やっと開いた。全く、暴走とはいえ、随分荒っぽいことしてくれましたねぇ。この扉だって安くはないんですよ?』

「すみません」

 本当はロボットの暴走ではなく、ワザとやったのだから始末が悪い。

 巨人は扉を開けると、ドアストッパで固定した。外開きの扉だったので開けられたが、逆だったらロボットが邪魔で開かなかっただろう。

『あ~あ。ヒドいな、こりゃ』

 オレが叩いた側を見て、巨人は顔を歪ませた。扉はボコボコに凹んで、見るも無残な有様だ。

「本当にすみません」

『あとで、修理代を請求させて頂きますよ』

「はぁ」

 それってやっぱり、ミューに請求書が行くんだよな。これだけデカいと、やっぱり結構するんだろうな。何だかオレが動けば動くほど、ミューの負担が増えていっている気がする。オークションでカラスとオレとフェーを競り落とした金、扉の修理代。忘れちゃいけない、オーバーヒートを起こしたロボットの修繕費。女王の所持金で、まかなえる額かなぁ?

 女はゴム手袋みたいなものをはめると、台車に乗せてあったタンクから、手際良く液体燃料を補給した。あれはやっぱりガソリンだろうか?

 やはり「○ンダム」と違って、核エンジンじゃないんだな。ちょっとガッカリ。まぁ、「ミノフ○キー粒子」なんてもの、現実にあったらビックリだし。考えてみれば、あれこそファンタジーの産物だよなぁ。

 燃料は何なのか、聞いてみたい。でも聞いたら、正体がバレてしまう。好奇心を、どうにか押さえ込んだ。今度ミューにあったら、聞いてみよう。

 続いて、別に用意してあったらしい軍手らしき手袋にはめ替えて、バッテリを付け替える。

『はい、終わりましたよ。もうしばらく、待機していて下さいね。今頃、女王様の国へ連絡が届いている頃でしょう。あとは、技術士が来るのを待つばかりですよ』

「そうですか」

 嬉しそうな巨人とは対照的に、オレはがっくりと肩を落とした。ロボットは動かないし、表情もないから、巨人は気付かなかっただろうけど。

 作業が終わると、巨人は台車を押して部屋を出た。変形した扉を苦労してどうにか閉めると、去って行った。

「ミューに、連絡がいったんだ……。心配しているだろうな」

 美しいミューの顔を思い出す。穏やかな優しい笑顔、褒められて照れ臭そうに頬を染めた笑顔、妖精乱獲に怒る顔、近くて遠い故郷を懐かしむ顔、故郷に帰りたくても帰れなかった悲しそうな顔。苦しそうな顔、泣きそうな顔。

 ほんの数十分一緒にいただけなのに、色んな表情のミューを見た。今頃は、心配の色を浮かべているかと思うと、申し訳ない気持ちになる。そんな顔させたかったつもりはなかったのに。

 しばらくすると、巨人が再びやって来る。今度は何だ?

『喜んで下さい、女王様。向こうは条件を呑んで、交渉に応じるそうですよ。いやぁ、やっぱり女王様を人質に取った甲斐がありました』

「そう、ですか」

『はい。もうしばらくの辛抱ですよ』

 巨人は報告だけ済ませると、足早にオレの前からいなくなった。

「ミューが来る、助けに来てくれるんだ」

 そのことは、素直に嬉しかった。でも、オレが解放されたとして、ミューはどうなるんだろう? 少なくとも、数日。長ければ何年も、巨人にこき使われるのだろう。

 しかしミューは、もうすぐ一〇歳になろうとしている。一〇歳を迎えれば、妖精は死んでしまう。とても死にそうには見えないのに。でも、逆らえない運命なのだと、妖精達はみんな知っている。

「ミューが死んだら、ロボットの中に妖精がいることが、バレてしまうかもしれない。バレたら、どうなってしまうんだろう?」

 考えられることは、二つ。

 まず、そのことに気が付いた巨人達は、手当たり次第にロボットを捕まえる。他に操縦している妖精がいるかどうかを、シラミ潰しにする。そして、ミュー以外には操縦士がいないことを知る。その後、ロボットのソフトを書き替えて、自分達の利益になるように使う。

 二つ目に、調査捕獲と称して、片っ端から妖精を捕らえる。そして、動物園の一環として妖精を動く標本として展示。または、ペットショップかなんかで売り買いするのだ。人間における、犬や猫と同じ感覚で。「妖精は絶滅危惧種だから、守ってあげなくちゃいけない」と、言い訳して。普通の中学生の頭でも、分かるようなことだ。

 確かに妖精は守られないと生きられない、弱い存在だ。純真な子供のようでありながら、しかし自分達の力で生きている。動物園で見世物として保護されて、飼育員からエサをもらわなきゃいけないほど弱くはない。

 そもそも妖精は自由を好むから、ケージに入れられた瞬間から、ストレスが溜まってしまうだろう。オレ達子供は、動きを制限されることが一番嫌いなんだ。

「そんなこと許せない。でも、オレのせいでそうなろうとしている」

 何とかしたい。妖精達を守る為には、一体どうしたらいいんだろう?

「要は、巨人が妖精の住む島へ行かせないようにしたら良いんだ。そうすれば、ミューは国へ帰れる」

 だが、国へ帰った時、ミューの知り合いは生きているだろうか? ミューが国を出た時、彼女は四(一六)歳だった。それから六(二四)年が経とうとしている。同世代の友達は生きているかもしれないが、親は確実に死んでいる。親の死に目にも会えなかったミューが、可哀想でならない。

 ミューの知り合いが誰もいなかったとしても、これから作ればいいだけの話だ。ミューは優しくて、賢い。そんな彼女だから、友達を作ることは決して難しいことではない筈だ。きっと妖精達も、受け入れてくれるだろう。

「でも、どうやったら、巨人を止められるんだ? 問題はそこだ。考えるんだ、オレっ!」

 ミューでも出来なかったことが、オレに出来るだろうか? いや、出来るかじゃない。やるんだ! どうすれば、妖精達を守れる? 助けられる? 

 話し合いは、ムダ。監視カメラも感知ゲートも、逆に利用されるだけ。ロボットで迎え撃っても、一時的なものだ。だったら――? 

「そうか、オレだ」

 意外な盲点に気が付いた。妖精達のあの様子だと、近年男子は生まれていない。仮に生まれていたとしても、まだ生まれて間もないかもしれない。つまり今現在、妖精の男子はオレだけ。「妖精の男子」という特別な存在。これは交渉に使えるんじゃないか?

「でもどうやって、相談を持ちかければいいんだろう?」

 思い付いたまではいいが、それから先が思い浮かばない。どうしたら、交渉に持ち込むことが出来るんだろう? ああ、こんな時に相談役がいれば良かったのに。

「あ、ミューがいた」

 ミューはこれから、ここへやってくる。その時、ミューに相談してみよう。きっとミューはオレと違って、何か良い案を考えてくれるに違いない。

 しかしこの作戦には、問題がある。ミューは自分なら、いくら犠牲にしても構わないと思っている。しかし、自分以外の誰かが不運になることを、極端に嫌う。たぶん、自分の国のことで、これ以上オレを巻き込んだらいけないと思っている。

「でもそれを言ったら、お互い様だからな」

 自己犠牲的に、オレを使おうとしているのではない。ただ、ミューがこのままじゃ可哀想だと思った。妖精の国へ帰してあげたい。ただそれだけだ。それだけのことが、大変なんだって分かっているけど。このまま母国の土を踏めずに死んでいくのは、あんまりじゃないか。

「オレだって、家に帰りたいさ」

 でももう、引き返せないところまで踏み込んでしまった。このまま帰るワケにはいかない。今帰ったら、カッコ悪いもんな。だから、オレも出来る限りのことをやらなくちゃ。

 オレが「妖精だ」って言ってロボットから姿を現せば、巨人達だって黙っちゃいないだろう。

「でも、出かたが分からないんだよなぁ」

 やっぱりミューに聞かなきゃ、分からないか。でも、この話を聞いて、出かたを教えてくれるだろうか? いや、たぶん教えてくれないだろうな。だったら、話を切り出す前に出かたを教えてもらうしかない。その上で相談しよう。ミューに相談したら、きっと首を横に振る。

 でも、巨人の国にオレが残ることを条件に、二度と妖精を乱獲しないと巨人達に約束させるんだ。

「文字通り、オレは妖精達の救世主となるんだ。救世主……。何てカッコイイ響きだ」

 思わず、うっとりとしてしまった。


オレがここに閉じ込められてから、二日が経った。と、思う。例の巨人がやってきて、扉に付いた小窓を開けてオレに少し弾んだ声を掛けてくる。

『女王様、お迎えの方が来ましたよ』

「そう、ですか」

 このロボットではない、ほかのロボットに乗って、ミューがやって来たのだろう。助けに来てくれたことは嬉しい。でも後ろめたくて、どんな顔をしていいのか分からない。

 巨人は先日と同じように、立て付けが悪くなった扉を時間をかけて、どうにか開けた。中へ入ってくると、ロボットの姿勢を足を投げ出して座っている状態に変える。さすがにあのポーズのまま、運ぶワケにはいかないだろう。ロボットに、金具付きのワイヤを取り付けた。

『動かしますよ』

 巨人の声を合図に、クレーンでゆっくりと持ち上げられる。ロボットが大型トラックの荷台に乗せられると、ワイヤは外された。替わりに、トラックの荷台に付いていた金具で、ロボットの体を固定される。

『はい、失礼します』

「わっ?」

 来た時と同じように、目隠しをされた。巨人が視界から消えてから数秒後、エンジンが起動する音がしてトラックは走り出す。

「どこへ行くんだろ?」

『謁見の間ですよ』

 独り言だったのに、答えが帰ってきて驚く。独り言に返事をされるって、結構ビビる。

 トラックを運転しているんだから、話など出来る筈はないのに。そういえば、ここへ運ばれてきた時も同じように、声だけが聞こえていた。荷台に、カメラとマイクとスピーカでも付いているのだろうか?

 オレは驚きの声を押さえ込んで、質問する。

「謁見の間?」

『さっきお迎えが来たって、言いましたでしょう? そちらさんが、出向いて下さったので、丁重にお通ししたのです』

 はっ! 女王だと知らずに拾って、女王だと分かった途端拉致監禁したクセに、よく言うよ。と、言いたくて仕方がないところを堪えて、当たりさわりのない返事をする。

「そうでしたか」

『もうすぐ、国へ帰れますよ。良かったですね』

「――っ」

 巨人が軽い口調で言ったので、もう少しでキレるところだった。危ない危ない。ここで怒鳴ったりしたら、今までの我慢は、一体何だったのかってことになってしまう。唇を噛み締めて、どうにかやりすごした。

 オレがだんまりを決め込んでいると、巨人も黙った。失言だったことに気が付いたのか、単に話題が切れただけか。微妙な空気の中、トラックは走り続ける。

 しばらくして、どこかへ辿り着いたのか、トラックは止まる。ロボットはさっきと同じように、クレーンで持ち上げられて、どこかへ置かれた。

 床の上かと思いきや、台車の上だったらしい。ガラガラという音を立てながら、ロボットを運んでいく。一体どこへ連れて行かれるのだろう? 

「あの、目隠しを外してもらえ、ませんか?」

『すみませんね。こちらにも、色々事情がありまして。しばらく我慢して下さい』

「そんなぁ」

 視界が塞がれていると、何があるか分からないから、無性に不安になる。何も知らされない、何も見えないのは恐怖だ。

『さ、謁見の間ですよ』

 巨人の言葉を聞いた瞬間、安心から胸の奥が温かくなる。ようやくミューに会えるんだ! 一緒にいた期間はたった半日、再会は三日後。それなのに、沸き上がる喜び。なんでだろう? 不思議だ。

『ああ~っ、女王様~』

 まもなくロボット特有の、間延びした駅員風のオッサン声が聞こえてくる。ロボットと会うのは三日ぶりくらいなのに、ずいぶん久し振りに聞いた気がする。変な声なのに、懐かしくて嬉しかった。

 この声の主は無人の○ビルドールなのか、それともワザと間延びしたしゃべり方をしているミューなのか。早く確認したくて、仕方がない。

『お約束通り、女王陛下をお返し致します。ですから、条件通りそちらも技術士をお出し願いたい』

 やけに偉そうな、おっさんの声が聞こえる。丁寧なしゃべり方をしているのに、威圧感がある。おっさんはおっさんでも、ロボットとは違って、普通のおっさんの声でしゃべり方も普通だ。ってことは、このおっさんは巨人の偉い人なんだろうか。巨人の王様なのかもしれない。

 ややあって、ロボットの間延びした声が答える。

『私がぁ~、その技術士です~』

『では、早速頼みたいことがあります』

『はい~、何でしょうか~?』

『この機械を、修理出来ますか?』

 この機械って、どの機械だ? 目隠しをされているから、状況がさっぱり分からない。目隠しを早く取って欲しくて、もどかしい。オレの気持ちとは裏腹に、ロボットは相変わらずのんびりした口調で言う。

『はい~、もちろんです~。なんせぇ、私が作ったものですから~』

 ほとんどのロボット達が「俺」だったのに、このロボットは「私」と言った。ってことは、ミューなのか? いや、もしかするとこのロボットはオトリで、ミューは別の場所で待機しているのかもしれない。リモートコントロール出来る装置があれば、この場にいなくても交渉が出来る。

 一体どっちなんだろう? 聞きたい。でもヘタに口を開けば、せっかくの交渉の場が崩れてしまう。中にミューがいようといまいと、彼女は上手く立ち回らなくてはならない。オレは邪魔にならないよう、今はじっと耐えるしかない。

『では早速、修理して下さい。して下されば、女王陛下をお返ししますぞ』

 高圧的な態度は崩さず、おっさんは言った。疑り深いヤツは嫌われるぞ。

 要は、相手の出方を伺っていると、いったところなのだろう。女王陛下を返したとしても、交換条件としてやってきたロボットが、本物の技術士とは限らない。ニセモノを掴まされては、困るのだ。

『直したいのはぁ~、山々なんですけどぉ~。出来ませ~ん』

『なんだとっ?』

 おっさんの声が、驚きの色を帯びた。おっさんは不服そうに、声のトーンを落として続ける。

『直せないのであれば、女王陛下を返すワケにはいきませんな』

『いえ~、何と申しましょ~かぁ。ここではぁ~出来ないってぇ、ことです~』

『何か問題でもあるのですか?』

『ここにはぁ~、修理する道具がないのです~。一旦~、私のぉ、整備工場へ返して頂けないとぉ、直せません~』

『ほう。そうきますか』

 おっさんの含み笑いが聞こえた。空気が張り詰めているのは、見えていなくても分かる。ああ言えば、こう言う。ロボットに、こんなやり取りは不可能だ。この腹黒さは、ミュー本人だろうな。それにしても交渉ってのは、心臓に悪い。

 巨人側としては、何としても技術士をロボットの国へは帰したくない。こちら側は、オレを帰して欲しいが、ミューは渡したくはない。いや、ミューなら自分は犠牲になっても構わないと、思っているだろうが。

 どう考えてみても、巨人側が有利に立っている。身代金を要求する、誘拐犯そのものだな。卑怯極まりない。交渉っていうのは、本来ギブアンドテイクだろ?

 おっさんは少し唸った後、わざとらしく声を大にする。

『では、こうしましょう。修理に必要な物は、こちらで全て用意させて頂きます。希望があれば、何でも取り寄せましょう』

 なるほど、そっちもそうきたか。ロボットはこれに対して、どう返すつもりなんだろう?

『分かりました~』

 意外とあっさり、ロボットは答えた。って、いいのかよっ? ここで技術士であることが証明されたら、このままロボットの国はおろか、妖精の国へも帰れなくなるんだぞっ? いや、確定ではないけど。ああ、口出ししたい!

 いや、待てよ? もしかしたら、何か策があるのかもしれない。ヤキモキしながら、ロボットの出方を待つ。

『え~。ではぁ、まず半田ごてとぉ~、電線とぉ~……』

 ロボットが続々と、機器類や機材の名称を述べていく。すると、慌てたおっさんが待ったを掛ける。

『急にそんなにズラズラ言われたって、すぐには用意出来ませんよ。今、その手に詳しい者を呼びますから、しばらくお待ち下さい。おいっ!』

『はっ!』

 おっさんは誰か(声から察するに女だ)を呼び寄せて、何かを言いつける。その声は小さくて、オレの耳までは届かない。

『はっ! 直ちに』

 その誰かが返事をした後、立ち去る足音が聞こえた。

『今、使いの者が呼びに行きました。その者が来たら、何なりとお申し付け下さい。ワタシは一旦下がります』

 おっさんは早口で言うと、足早に足音が遠ざかって行く。どうやら第一ラウンドは、こちらが取ったみたいだ。

ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。そしてお疲れ様でした。実はこの章のひとつ前に、もう一章あったのですが、何も動きがないつまらない章だったので、削除しました。

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