いち
やれやれ、今日も散々だった。
あのあと先生に見てもらいなんとかなったものの、本当に苦しい目にあった。
ただでさえ学校で苦しい想いをしているのに。
俺の高校は共学で偏差値には中の上くらいだ。
え?なんでそんな病気持ちのくせに男子校に入らなかったかって?…俺だって入りたかったさ。私立の男子校受けたらまさかの不合格。受かる気満々だった俺は他に男子校を受けておらず、仕方なく公立の高校に通うことになったのである。
おかげで毎日がキツイ。隣が男子のときはいいが、この前の席替えで隣が女子になってしまった。しかもそいつは教科書忘れが多く、いつも俺の席にくっつけてくる。おかげで最近は勉強もろくに聞けてない。
まぁ、病院でもらう薬を飲めばある程度は押さえられる。(ただしあまりに近かったり接触したりはNG)今日もその薬をもらいに来たのだ。
「…はぁ、こんな病気早くなおってくれないかなぁ」
帰り道、俺はそんなことを考えながら歩いていた。
そのとき事件が起こった。
「だいたいなんであんな病気に
……えっ!?」
目の前がとんでもない状況にあるのに気付く。
トラックだ。それも暴走気味の。
そしてそこには準備されたようにひょろながい少年がいたのだ。
これはやばい!!
俺はコンマ0、1秒の間に考えた。このままでは間違いなくあの少年はひかれる。でも助けに行ったら俺も危ない。どうすれば…
…えぇい、迷うくらいなら行くしかねぇ!!
「おりゃぁぁあ!!!」
キキー!!!!
・・・・・・・
「……っ痛ぇ…」
…ってことは、俺生きてんのか。
俺は懐を見る。そこにはさっきの少年がしっかりいた。
よかった!俺の判断は正しかったんだ!!
そう思い、ホッと息を着いた瞬間だった。
むにゅ
「いゃん!」
…え?
このやわらかい感触に、甲高い声、まさか…
俺はゆっくりと少年の顔を見た。そして、 一言。
「…お、女の子!?」
そう、俺が助けたのは少年ではなく少女だったのだ。
この時俺は知らなかった。
この事件以降、俺が幾多の災難にあってしまうと言うことを。