じゅーよん
「いやぁ、皆帰ったあとの教室で二人きりって雰囲気あるよね〜」
「……」
「なんかドキドキしない?」
そういってニコニコしながら俺をみる筑紫さん。あぁ、もう凄くドキドキしてるよ、吐き気つきで。カッターシャツの中は汗や蕁麻疹で大変なことになってるし。
「うむ、じゃあ本題にはいろっかな?」
そういって教壇の方に行きどんと構えた。俺は一番前の席でそんな彼女を眺める。授業かよ。
「委員長〜、はじめてくださーい」
…って、俺もノリノリだし。
「いくつか話すことがあるけど、まず一つね」
そういって彼女は俺に歩み寄ってきた。
そして妙な笑みを浮かべて言った。
「…佐藤くん、女の子に触れないんでしょ?」
「んな!…くっしゅいよ!!」
え?まてまて今何ていった?ってか何でばれてんだよ!?
俺はあわてて彼女から離れた。なんだこのシチュは?筑紫さんがまるで小悪魔のように見える。
「ま、まてよ、どーいう意味だよ?」
「ん?そんな無理しないでいいんだよ?私あなたの病気のこと知ってんだから」
「な、なんのことだよ!?」
なんだこの尋常じゃない汗は。これはアレルギーによるものだけじゃない。俺はかなりテンパっていた。
「ならいいわ、無理やりはかせてあ、げ、る」
するといきなり筑紫さんが俺に飛び付いてきた。俺は何も抵抗できずに後ろに倒れてしまう。
なんか襲われてるみたいだ!!
って興奮してる暇ないぞ!めちゃくちゃ気持ち悪くなってきやがった。
「さぁ、佐藤くんはこの状況に耐えられるかしら?」
「う、うぇ…」
やばい、口から何か出そうだ。死んでしまう。
えぇい、この際秘密にしてる利点なんてねぇ!もう早く病気のことを話して離れてもらわないと!
俺は決心を固め、擦れた声で彼女に訴えようとした。
「わ、わかった!話すから!俺のことを話すか…」
「先ぱーい、図書室閉めますけど荷物忘れて…」
今の状況を説明しよう。
俺が倒れこんでいて、筑紫さんが馬乗りになっている。しかもアレルギーのせいで俺は物凄い汗だく、筑紫さんは相変わらず小悪魔みたいな表情を浮かべてる。
そこに小倉登場。はい説明終わり。
教室に乱入した小倉は何も発することなく数秒静止、そしてきれいに回れ右をしてしまった。
「…荷物は図書室前に置いときますね、変態」
…もう変態じゃないと言えないな。
また意識が遠退いていく中、俺はそんなことを冷静に分析していた。