番外編2 もう1つの絆②
「え、私が?」
ユリは長屋でナエから来た手紙を読みながら驚いた。
「ユリ様、どうなされました?」
旦那になった多聞が聞くと彼女は興奮していた。
「多聞、ホテル猫柳って覚えてる?」
「ええ」
去年の秋、2人は駆け落ちをしてホテル猫柳を訪れた。
「まさかそちらからのお手紙で?」
「そうなの。でも聞いて。
内容がね、奥様とオーナーがホテルで小さな式をするから私にブーケを作って欲しいってお願いされたのよ」
「それはめでたい。あれ、でも確か2人は式はもう挙げているはずでは?」
「そう、それなの。
訳あってあの時は仮初の関係だったみたい」
手紙には詳しく書いてあるから見てとユリは多聞にそれを見せる。
「いやはや、2人には複雑な事情があったんですね。
てっきり仲が良くみえたので連れ添って長く見えたのですが」
「そうね。嫌だわ私、てっきり奥様が式を挙げたものと思って色々図々しい事を聞いてしまっし言ってしまったわ」
ユリ様は一見大人しく見えるがスイッチが入るとどうも熱が入る性格だ。
そんなところが多聞は好きで立派な妻なのだと自負している。
「ユリ様が図々しいなんて今に始まった事じゃありません。
奥様もオーナーもユリ様だから花束を作るようお願いしたのですよ」
ユリからしたら多聞も元、下男にしては図々しいのだが。
「で、他に何が気になっているのです?」
多聞に言われてユリはまた頭を悩ませる。
「そうよブーケ。
私が教えているのはあくまで花道だから、そんな私が奥様のブーケなんて作る事ができるかしら?」
「たまに剣山じゃなくて花瓶に花を生けていたじゃありませんか」
「そうだけど。
結婚式よ。結婚式。
もう、屋敷にある婦人雑誌があれば参考になるのに」
どうしようかしらー?とユリは多聞に助けてよ多聞と無理難題を言う。
「私にせがむという事は本心はやりたいんですよね」
とユリに言うと
「意地悪ね。多聞」
まあ、そうだけどとバレてしまったわと笑う。
「だって私のできる事で頼られたら嬉しいわ。
奥様達にはすごく助けられましたから」
「そうですね」
多聞も頷く。
「それに久しぶりにクロに会えるかもだし」
「ユリ様」
呆れる多聞にユリは何よ!と返す。
そうだ。ユリは熱くなりやすく無類の猫好きだ。
「ああ、クロもだけどしろ子は元気にしているかしら?」
白くて可愛いユリの妹のような、姫のような。
でも遥かにユリより早く歳を取る人生の先輩。
それがしろ子なのだ。
「今頃、屋敷で可愛がられてますよ」
「そうね」
「さあ、ユリ様後で手紙に返事を書かなきゃですね」
多聞はそう言ってユリに笑った。




